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- 公開日:2024年11月29日
- 最終更新日 : 2024年11月30日
SIer(エスアイヤー)とは、企業や官公庁などに対してシステム設計や構築、運用を一括して請け負う企業のことを指します。IT業界の中でも特に大規模なシステムを扱うことが多く、プロジェクトを通じて技術力だけでなく、課題解決力やプロジェクトマネジメント能力も鍛えられる環境が整っています。
本記事では、SIerの役割や業態ごとの特徴、そして理系学生がSIerで働く魅力について解説します。
SIerとは何か?
SIerは「システムインテグレーター」の略称で、企業や官公庁などが抱える課題をITを駆使して解決する専門企業です。クライアントが求めるシステムのニーズを詳細に聞き取り、それをもとに設計、開発、運用までを一貫して行うことが主な役割です。
例えば、銀行では資金管理や取引を支える基幹システム、物流企業では在庫管理や配送の効率化を支えるシステムが必要とされます。これらのシステムは、社会のインフラとして重要な役割を果たしています。
SIerは単にプログラムを作るだけではなく、クライアントの業務プロセスや潜在的なニーズを深く理解した上で、最適なシステムを提案します。その過程では、業界特有の知識や最新のIT技術が必要とされます。また、構築したシステムが長期間安定して稼働するよう、運用や保守を継続的に行うことも重要な業務の一つです。
これらの事から、SIerはIT技術を通じて社会やビジネスの課題解決に大きく貢献しています。
SIerの3つの業態:ユーザー系・メーカー系・独立系
SIerには「ユーザー系」「メーカー系」「独立系」の3つの業態があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
1. ユーザー系SIer
ユーザー系SIerは、IT以外を本業とする企業が、自社の情報システム部門を独立させたものです。
親会社の業務や分野に特化したシステム開発が中心で、安定したプロジェクトが多いのが特徴です。
代表例: 伊藤忠テクノソリューションズ、日鉄ソリューションズ、野村総合研究所(NRI)、三菱総合研究所(MRI)
2. メーカー系SIer
メーカー系SIerは、ハードウェアを中心に事業を行う情報機器メーカーが、システム開発部門を独立させたものです。
ハードウェアとソフトウェアの両方を扱うプロジェクトが多く、幅広い技術に触れることができます。
代表例: 富士通Japan、日立システムズ、東芝デジタルソリューションズ、三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)
3. 独立系SIer
独立系SIerは親会社を持たず、独立した経営を行う企業です。
プロジェクトの幅が広く、さまざまな業界に携わる機会があります。
独立系は親会社の影響を受けないことから、自由な社風の企業が多いことが特徴です。
代表例: 富士ソフト、大塚商会、オービック、テックファーム
SIerの魅力と理系学生におすすめの理由
SIerで働くことの魅力は様々であり、この記事では3つの理由を紹介します。
1. 社会を支える仕事に携われる
SIerは、銀行の基幹システムや医療機関の電子カルテシステム、製造業の生産管理システムといった社会インフラを支える重要なシステムから、ECサイトや交通機関の予約システム、スマートホーム向けのIoTサービスなど、私たちの日常生活に密接に関わるシステムまで幅広く手掛けます。
自分の仕事が多くの人々の生活を支える役割を果たすことに、大きなやりがいを感じることができます。
2. 幅広いスキルが身に付く
SIerの仕事では、プログラミングやネットワーク、クラウドなど幅広い技術を学べるだけでなく、プロジェクトマネジメントやクライアント対応のスキルも養われます。
さらに、理系で培ったコンピュータサイエンスの知見や論理的思考力、データ解析力などを活かし、問題解決に取り組む場面が多いのも特徴です。これにより、技術面とコミュニケーション面の両方で成長できる環境が整っています。
3. 最先端技術に触れる機会が多い
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなど、技術革新が激しい分野に関わるプロジェクトが多くあります。
新しいテクノロジーを用いてクライアントの課題を解決する経験を積むことで、エンジニアとしてのスキルをさらに磨くことができます。特に、最新技術を学び続けたい理系学生にとって、チャレンジングでやりがいのある業界と言えるでしょう。
企業によって異なる役割と業務内容
SIerと一口に言っても、企業ごとに携わる業界や扱う技術、そして開発工程での役割が大きく異なります。そのため、自分がどのような仕事をしたいのかを明確にし、それに合った企業を選ぶことが重要です。
・携わる業界や技術の違い
あるSIerは金融業界に特化し、銀行や保険の基幹システムを構築している一方で、別のSIerは製造業のIoTシステムや物流の管理システムを手掛けていることがあります。さらに、AIやクラウドなど最新技術に強みを持つ企業もあれば、既存システムの保守や運用に注力している企業もあります。
自分が興味のある業界や技術が何かを明確にし、それを扱っている企業を見極めることが大切です。
・開発工程や役割の違い
また、企業の立ち位置によって開発工程での関わり方も異なります。
元請けSIer:
クライアントから直接依頼を受ける立場で、システム全体の設計やプロジェクトマネジメントを主導することが多いです。
企業やプロジェクト規模によっては、管理業務や要件定義に集中し、プログラミングに携わる機会が少ない場合もあります。
一方で元請けでも設計やコーディングに深く携わる事ができる企業もありますので、企業ごとの見極めが重要です。
二次請け・三次請けSIer:
元請けSIerの指示のもと、具体的なシステム開発や実装を担当するケースが多く、プログラミングスキルを磨きやすい環境があります。
一方でシステムの発注者とは元請けSIerがやり取りをする事から、仕様検討や技術選定などは携わる事ができない場合もあります。
「発注者にシステムを提案し、プロジェクトを進めたい」「要件定義、設計、実装、運用保守など広く取り組みたい」「プログラミングを主体的にやりたい」など、自分の希望する業務内容に基づいて、どのフェーズに携わりたいのかを考えることが必要です。
【説明会やリサーチを通じた見極めが大事】
自分の理想の働き方を実現するために、SIerごとの違いを理解し、ミスマッチを防ぐことが大切です。就活時には「この企業ではどのような役割を担うのか?」「どの工程に関わるのか?」等、自分が大切にすることは必ず確認しましょう。
確認方法は説明会やインターンシップ、OB・OG訪問、企業HPや口コミサイトなどを通して、情報を収集していきましょう。
例として、技術力を重視したい場合は、その企業で携わることのできる開発工程、技術スタック(PHP/Java/AWS等の技術)、スキルアップ支援体制などを確認することがポイントです。一方、クライアントとの折衝力やプロジェクトマネジメントを学びたい場合は、元請けとしての実績が豊富な企業を探してみましょう。
まとめ
SIerは、ITを活用して社会課題を解決する重要な役割を担う企業です。ユーザー系、メーカー系、独立系といった業態ごとに特徴が異なり、自分に合った環境を見つけることがキャリア選びのポイントとなります。
理系学生にとって、SIerは専門知識を活かしながら幅広い技術や経験を積める魅力的な選択肢の1つです。興味を持った方は、ぜひSIer業界について様々な視点から調べてみてください。
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