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2025年7月30日(更新:2025年7月30日)
生物系・農学系の学生は、生命・環境・食に関わる専門性を活かして、幅広い業界で活躍しています。この記事では、生物・農学系に人気の業界や職種、学部・院卒ごとの進路の違い、意外なキャリアの広がりについてわかりやすく紹介します。
専門を活かせる業界はここ!人気の就職先を紹介
生物系・農学系の学生は「いのち」「自然」「環境」「食」など、人間と社会に密接なテーマを学んできたことから、以下のような業界に人気が集まっています。
◆ 食品・飲料業界
健康志向やサステナビリティへの関心の高まりにより、食品・飲料業界は多様な変化を遂げています。機能性食品や発酵食品、植物由来の原材料の活用など、栄養学や微生物学、農学の知見が求められる領域が増加中です。
製品開発や品質保証、安全性評価などの仕事において、生物・農学系の知識がダイレクトに活きる機会が多くあります。また、原料調達や生産現場の改善といった工程でも、生産環境や作物の理解を活かすことができます。
◆ 製薬・医薬品メーカー
医薬品業界では、病気の予防・治療を支えるための創薬研究や安全性試験、臨床開発などで生物・生化学・分子生物学・薬学といった専門知識が重視されます。
活躍の場は研究開発にとどまらず、製造管理や品質保証、薬事対応、安全性情報管理(PV)など多岐にわたります。人体や細胞、生体反応に対する関心の強い生物・農学系の学生には、人気のある業界です。
◆ 化粧品・日用品メーカー
肌や毛髪といった生体に直接関わる製品を扱うこの業界では、安全性や有効性の評価において生物・農学系の知識が強く求められます。
皮膚科学や香料・乳化の技術、植物由来成分の研究、安全性試験(非臨床)などの分野で、特に生物学・農芸化学・天然物化学の素養が活かされます。また、使用感や効果のエビデンスを裏付ける実験設計にも携わることができ、研究職志向の学生にも人気のある分野です。
◆ バイオ・化学素材業界
バイオ技術を活用して、農薬・肥料・種苗などの農業資材や、医薬品・食品向けの原材料を開発・製造する企業が多く存在します。
また近年は、バイオマス素材や微生物発酵を活用した環境配慮型の素材開発も進んでおり、農学や応用生命科学、生物工学の知識が活かされる分野です。基礎研究から応用技術まで幅広く関われるため、バイオに関心のある学生にとってやりがいのある業界です。
◆ 公務員・JA・研究機関など
生物・農学系の知識を地域や社会に還元する進路として、農林水産省や地方自治体、農業協同組合(JA)、独立行政法人の研究所などが挙げられます。
食品の安全性、農業政策、動植物の保護、環境保全など、公益性の高いテーマに取り組むことができ、研究・技術・行政のそれぞれの立場から貢献することが可能です。民間企業ではない視点から社会課題の解決へ取り組みたい学生に人気のキャリアパスです。
生物・農学系出身者に人気の職種とは?
業界の中でどのような“役割”を担うのか。生物系・農学系の知見が活かせる主な職種をご紹介します。
◆研究・開発職
食品・医薬品・化粧品・農業資材などの新製品や新技術の開発に携わる職種です。
大学・大学院での研究経験が活かされる場面が多く、特に修士以上が歓迎されやすい傾向がありますが、中には学部生・院生を問わず歓迎する企業も。理系学部生として目指す場合、積極的なリサーチやエントリーなどの行動が必要です。
◆品質保証・品質管理(QA/QC)
製品の品質や安全性を守る縁の下の力持ちとして、各業界に欠かせない存在です。
食品や医薬品であれば成分分析、化粧品であれば皮膚への影響、農業資材であれば規格適合性など、対象に応じた検査・評価業務を担います。微生物学、分析化学、環境衛生といった分野の知識が活かされることが多く、学部卒の新卒採用も多いです。
◆生産技術・製造管理
製品が設計通りに安全・安定的に作られるよう、製造ラインの立ち上げや工程改善などを行う仕事です。
設備や治工具の機械設計・電気制御設計など、機電系のスキル習得に挑戦することもあります。製造対象が食品・医薬品・農業資材など生物・農学系の知見に基づくものであれば、自身の学びがプロセス改善や品質向上に直結するので、製造現場から製品を支えたい人におすすめです。
◆技術営業・企画・商品開発
顧客のニーズや課題を理解し、技術的な提案や新たな商品を生み出すポジションです。
農業機械・資材・種苗・バイオ製品などを扱う企業では、専門知識を持った生物・農学系出身者の営業や企画職が重宝されています。また、商品開発においては、ユーザー視点と技術的視点の両方を行き来する柔軟さが求められることから、人と接することが好きで、自分の知識を社会に広げたい人などおすすめです。
◆動物・植物・環境関連職
動物園や水族館での飼育管理、都市緑化や生物多様性保全、環境モニタリングなど、自然と関わる職業も生物・農学系の進路として人気があります。
地方自治体や民間コンサル、研究機関、NPO法人など活躍の場も多様で、動植物の生態に関する深い知識と現場対応力が求められます。学びを通じて自然と社会のつながりを大切にしたい学生にとって、やりがいのあるキャリアパスです。
◆他、さまざまなキャリアパス
ここまで、生物・農学系の専門性を活かせる職種を紹介してきましたが、進路はそれだけに限られません。
バイオインフォマティクスや農業×IoTといったIT系の分野、食品を製造するための機械設備の設計、再生可能エネルギーなどに関わる環境・都市計画、さらには環境教育や農業支援のコンサルタント、営業・接客・販売など、興味や強みを活かして専門分野を越えた道へ進む学生も増えています。
まとめ
生物系・農学系出身者の進路は、想像以上に多岐に渡ります。食品・医薬・化粧品・素材などのモノづくりに関わる道から、公務員・環境保全・教育まで、社会のさまざまな現場で求められています。
どの進路にもそれぞれの良さがあります。「自分は何にワクワクするか?」「どんな場面で力を発揮したいか?」など、自分ならではの視点でキャリアを描いていきましょう!