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2025年10月8日(更新:2025年10月8日)
そんな学生からの質問をきっかけに、今回は都市部での“モノづくりの現場”に注目しました。多くの理工系学生が「メーカー=地方勤務」というイメージを持つ一方で、都市部でも研究・設計・開発に携われる環境は確実に存在します。
今回は東京都23区/横浜市・川崎市/大阪市/名古屋市に限定して、各都市で理系が活躍できる代表的な企業例を紹介します。
目次
東京 ― オフィス街にも潜む「設計・開発の現場」
東京は「メーカーの街」というより、「本社・営業・企画の街」の印象が強いという声を耳にすることがあります。しかし実際には、製品設計やシステム開発を担う技術拠点が23区内にも点在しています。
■東京都23区内で開発を行うメーカー例
・ディスコ 羽田R&Dセンター(大田区)
2022年に羽田R&Dセンターを開設。この研究開発拠点では、半導体製造の精密加工装置・加工ツールおよび周辺技術の研究を実施しています。
・東京計器 本社(大田区)
航空・船舶・産業機器向けの制御・計測システムを開発する老舗メーカー。研究・設計開発等において多様な技術者が活躍しています。
・タニタ 本社(板橋区)
体組成計や健康管理機器の研究・設計を行う本社開発拠点を設置。計測技術とウェルネス分野を融合し、“健康を測るメーカー”として独自の開発を進めています。
・ニコン 本社(品川区)
東京都品川区西大井に新本社を移転・稼働し、コーポレート部門とR&D部門を集約。光学・映像・精密測定の開発機能を強化し、都市型の研究開発拠点として体制を築いています。
・能美防災 本社(千代田区)
国内屈指の総合防災設備メーカーで、火災報知器や消火設備などを開発。都市の防災インフラを支える中心的存在です。
・キーエンス 東京研究所(港区)
東京都港区台場のトレードピアお台場内に研究所を構える。センシングや画像処理などのコア技術を軸に、最前線の研究・設計を行っています。
都市にあるのはオフィスだけではありません。研究と生活が交わる都市型エンジニアリングが、新たな理系キャリアを広げています。
横浜・川崎 ― 都市近郊に広がる研究開発の集積地
横浜・川崎エリアは、首都圏の中でも特にメーカーの研究・開発拠点が集中する地域です。都心から1時間以内というアクセスの良さに加え、広い敷地を確保しやすいことから、各社が先端技術の研究所や開発センターを設置しています。
■横浜市・川崎市内で開発を行うメーカー例
・三菱重工 横浜製作所 本牧工場(横浜市中区)
船舶修理を担いながら、ハードテック分野の共創拠点「Yokohama Hardtech Hub(YHH)」を運営。AIとフィジカル技術を融合し、産学連携による新技術・新ビジネスの創出を目指しています。
・日産自動車 グローバル本社(横浜市西区)
本社内では、コネクテッドカー向けのソフトウェア開発やクラウド連携システム設計などを担い、次世代モビリティのデジタル基盤を支えています。
・パナソニック オートモーティブシステムズ 本社(横浜市都筑区)
車載コックピットシステムやADAS(先進運転支援システム)、xEV向けシステム・デバイスなどの開発を行う拠点。制御・電気電子・情報系の技術を融合し、次世代モビリティを支える製品開発を進めています。
・オートリブ 本社(横浜市港北区)
自動車用安全システムを開発するスウェーデン発のグローバルメーカー。エアバッグやシートベルトなどの安全技術を中心に、理系の専門知識を活かした開発が行われています。
・ミツトヨ 本社・川崎工場(川崎市高津区)
精密測定機器や3次元測定システムを開発する世界的メーカー。精密制御や機構設計など、モノづくりの基盤を支える開発が行われています。
・NEC 玉川事業場(川崎市中原区)
ネットワーク・通信制御・クラウド技術などを開発する中核R&D拠点。5G・AI・量子通信など、次世代技術を担うエンジニアが活躍しています。
横浜・川崎は、都市生活と研究開発を両立できる首都圏屈指の技術拠点です。「地方に行かずともモノづくりの最前線に関われる」そんな理系の新しい働き方がここにあります。
大阪 ― “ものづくりの都”の都市型R&D・生産拠点
大阪市内には、エネルギー・化学・医薬・電線・ヘルスケアを中心に、研究所と工場が混在する大規模サイトが点在します。都心アクセスの良さと湾岸の広い敷地を両立できる此花区エリアや、市街地に根ざした生野区・淀川区など、都市型のモノづくりが展開されています。
■大阪市内で開発を行うメーカー例
・住友電気工業 大阪製作所(此花区)
電線・エネルギー関連製品の製造に加え、研究開発部門を併設する同社の中核拠点。大阪市内湾岸の広大な敷地で、製造とR&Dが一体運用されています。
・大阪ガス 先端技術研究所(此花区)
ガス・エネルギー領域の研究開発拠点。此花区・酉島地区で次世代エネルギーやデジタル技術の実証・研究を推進しています。
・住友化学 大阪工場・研究所(此花区)
春日出地区に工場・複数研究所を集積。材料・バイオ・情報電子化学など幅広いテーマの研究と生産を同一サイトで展開しています。
・住友ファーマ 大阪研究所(此花区)
製薬の創薬研究を担う都心近接の研究所。住友化学大阪工場エリア内に位置し、研究棟の増設で機能を強化しています。
・武田薬品工業 大阪工場(淀川区)
医薬品製造の拠点。JR・阪急沿線からの通勤利便と、市街地立地での製造機能を両立しています。
・ロート製薬 大阪工場・研究所(生野区)
スキンケア・OTCを中心に、市街地に構える一体型の工場・研究所。都市型のヘルスケアR&Dと量産体制を兼備しています。
大阪市内は、此花区の湾岸エリアを中心に「工場×研究所の同居」が多く、都心アクセスと大規模設備を両立できるのが強みです。
名古屋 ― 自動車・材料・FAが集積する“市内R&D&製造”
愛知県の工業地帯といえば豊田市や岡崎市などが浮かぶかもしれません。しかし、名古屋市内においても、自動車周辺だけでなくFA機器・材料・セラミックス・食器など多様なモノづくりが都市圏に溶け込む構造となっています。
■名古屋市内で開発を行うメーカー例
・三菱電機 名古屋製作所(東区)
FA(工場自動化)分野の中核製作所。制御機器の設計・開発・生産を市内で一体的に推進する基幹拠点です。
・ブラザー工業 瑞穂工場/技術開発センター(瑞穂区)
プリンター等の製造拠点と、製品・要素技術の開発拠点を市内に集積。再開発により施設更新も進行しています。
・日本ガイシ 本社/名古屋事業所(熱田区)
セラミックスの研究・開発・製造を担う基盤拠点。熱田区での新研究開発棟計画など、R&D機能を継続強化しています。
・ノリタケ 本社事業所(西区)
本社隣接地に生産機能(食器)とエンジニアリング・工業機材の拠点を配置。都市型のマルチ事業サイトです。
・三菱重工 名古屋航空宇宙システム製作所 大江工場(港区)
航空・宇宙分野の設計・研究・部品製作を担う大規模拠点。市内港湾部に立地し、関連工場群とシナジーを形成しています。
・UACJ 名古屋製造所(港区)
アルミ板材の国内最大級一貫生産工場。鋳塊から圧延・仕上げまで市内で完結し、モビリティ・電機用途に供給しています。
名古屋市内は、FA・材料・セラミックス・航空宇宙の実働拠点が市街地~港湾部に凝縮し、設計~量産の動線が短いのが特長です。
まとめ ― “地方か都会か”ではなく、“どんなモノづくりをしたいか”
本記事では都市部の事例を紹介しましたが、ここで紹介し切れないくらい魅力的なメーカー企業がたくさんあります。それは都市部だけでなく、全国各地域においても共通して言えることです。最終的な選択は「関心のある製品・技術」「貢献したい課題」「開発工程」「働き方」「生活スタイル」など、自分なりの大事にしたい軸に沿って考えていきましょう!
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