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2025年10月24日(更新:2025年10月24日)
近年、アプリやシステムを「プログラミングをほとんど書かずに」作ることができる“ノーコード”や“ローコード”開発が注目されています。IT業界の働き方を変える技術として、企業だけでなく大学・研究室レベルでも導入が進んでいます。この記事では、ITに関心のある理系学生が知っておきたいノーコード/ローコードの基本と、その活かし方を3つの視点から紹介します。
ノーコード・ローコードとは?
ノーコードとは、コードを一切書かずにアプリやWebサービスを作れる開発方法です。テンプレートやボタン・フォームなどのパーツを画面上で配置するだけで、誰でも簡単にアプリを完成させられます。
一方のローコードは、基本の作り方は同じですが、必要な部分だけ少しコードを加えて機能を広げられる手法。ノーコードよりも自由度が高く、より複雑なアプリ開発に対応できます。
これに対して、エンジニアがゼロからすべてのコードを書く従来の方法をプロコードと呼びます。プロコードは自由度が高い一方で、開発に時間やコストがかかるというデメリットがあります。
■ なぜ注目されているのか
昨今の日本では、深刻なIT人材不足が課題となっています。多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めようとしているものの、「システムを内製化したいのに人が足りない」「外注費が高すぎる」といった悩みを抱えています。
そこで注目されているのが、ノーコード・ローコードツールです。専門的なプログラミング知識がなくてもアプリを作れるため、ITリソースが限られている現場でも、スピーディかつ低コストで開発を進められるのが大きな魅力です。
■ 3つの主なメリット
・スピード:従来の開発では1〜3か月かかるところを、ノーコードなら数日〜1週間でアプリを作成可能。
・コスト:外注せず自分たちで開発できるため、費用を抑えながら何度でも改良できる。
・品質:コードを自動生成するため、人為的なミスが少なく安定したアプリを作りやすい。
「誰でも開発できる」この仕組みは、ITの専門家だけでなく学生や非エンジニアにも門戸を開く新しい流れです。理系学生にとっても、研究や日常の課題を“自分で解決できる力”を伸ばすツールとして注目されています。
代表的なツールとできること
ノーコード・ローコードの世界には、さまざまなツールがあります。ここでは、学生でも扱いやすく、実際に企業や教育現場で使われている代表的なツールを紹介します。それぞれの特徴を知ることで、「自分ならどんなアプリを作れそうか」がイメージしやすくなります。
■ ノーコードツール
ノーコードは、コードを書かずにドラッグ&ドロップなどの直感操作で開発できるのが特徴です。プログラミング初心者でも、数時間でアプリを形にできるツールが多く登場しています。
・Bubble(バブル) — Webアプリを視覚的な操作で作成/用意されたパーツを直感的にドラッグ&ドロップ
・Glide(グライド) — スプレッドシートをそのままアプリ化/データ管理や出欠確認などに便利
・Airtable(エアテーブル) — 表計算+データベース型/研究ノートやタスク管理などに便利
・STUDIO(スタジオ) — ホームページ等をノーコードで制作/非エンジニアでも視覚的にサイトが作れる
・Adalo(アダロ) — スマホアプリをノーコードで構築/既存のテンプレートやコンポーネントで迅速に開発
・kintone(キントーン) — 国産業務アプリツール/チーム内の日報・申請・共有を効率化
・MotionBoard(モーションボード) — データをグラフ化・可視化/実験結果や分析レポートなどに活用
■ ローコードツール
ローコードは、基本はノーコードのように操作しつつ、必要に応じてコードを少し追加して機能を拡張できるのが特徴です。企業の業務アプリや、より複雑な研究支援システムを作るときに力を発揮します。
・Microsoft Power Apps(パワーアップス) — Excel感覚で業務アプリ/Teams・SharePoint連携が強い
・AppSheet(アップシート) — スプレッドシートから即アプリ化/入力フォーム・承認フローに最適
・OutSystems(アウトシステムズ) — 大規模開発向けローコード基盤/ビジュアル設計+必要箇所をコード拡張
・Mendix(メンディックス) — 製造・IoTで実績/データモデルとUIを結んで素早く構築
・Salesforce Platform — CRM基盤上で開発/ワークフロー自動化・業務プロセスに強い
・Wagby(ワグビィ) — 国産・業務アプリに強い/画面・業務フローを自動生成
・SmartDB(スマートDB) — 文書・申請・承認のデジタル化/大企業の業務デジタル化を推進
■ できることの一例
・実験データの記録・自動グラフ化アプリ
・研究チームのタスク共有・進捗管理ツール
・サークルや学生団体の出欠・申請管理アプリ
・アンケート集計やレポート自動化ツール
・研究成果・ポートフォリオの紹介サイト
・エントリー企業の管理・選考進捗をまとめる就活ダッシュボード
・自己PR・ガクチカ・ESを自動整理・検索できるマイデータ管理ツール など
「難しそうなシステム開発」を自分の手で形にできるのが、ノーコード・ローコードの魅力です。“使う側”から“作る側”へ──理系学生にとって、研究にもキャリアにもつながるスキルの入口になっています。
実際にどう活かせる?キャリアの広がり
ノーコード・ローコードを使いこなすことで、理系学生の強みをさらに活かせます。これは単なる「便利ツール」ではなく、アイデアを形にするための“開発の民主化”ともいえる動きです。
■ 研究や授業での活用
実験データの記録や分析、研究チームのタスク共有など、日々の作業を自動化できます。手間のかかるExcel整理から、GlideやAirtableで“動くアプリ”に変えるだけで研究の効率が大幅にアップ。授業内でも、アプリを使った課題提出やプレゼン資料の可視化など、新しい形のアウトプットが可能になります。
■ インターン・就活でのアピール
企業のDX推進が進むなか、「自分で仕組みを作れる学生」は非常に評価が高いです。Power Appsやkintoneで業務改善アプリを作るだけでも、「課題を見つけ、自分で解決策を形にできる力」としてアピールできます。
理系学生の中には「研究データ管理アプリを自作して教授に評価された」「インターンで業務自動化アプリを提案して社内で導入された」「ガクチカとして面接で話したら高く評価されて話が盛り上がった」という事例もあります。
■ 将来のキャリアにも活きる
ノーコード・ローコードのスキルは、理系学生のキャリアを広げる強力な武器になります。製造、研究、データ分析、IT業界など、あらゆる分野で活用が進んでおり、“自分の専門×開発スキル”の組み合わせが高く評価される時代です。
ノーコードでは実験データの自動集計アプリや研究チームのタスク共有ツールなどを自作可能。ローコードでは、より複雑な機能拡張やシステム連携を通じて「開発者目線で仕組みを設計する力」を身につけられます。こうしたスキルを持つ人は、社会で“技術と業務の橋渡し役”として重宝されます。
まとめ:理系だからこそ「ノーコードを使いこなす時代」へ
ノーコード・ローコードは、理系学生にとって“アイデアを形にする新しい手段”です。研究や授業、就活の場でも活かせるうえ、社会に出てからも強みになります。技術を理解し、仕組みで解決できる人は様々な企業から求められる時代。その第一歩として、ノーコードを触ってみることも1つの選択肢として検討してみてください。
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