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2025年11月6日(更新:2025年11月6日)
理系就活のES(エントリーシート)では、学んだ内容そのものよりも、そこで何を感じ、どのように考え、何を選んだかという「自分らしさ」が評価されます。
研究がまだ始まっていなくても、テーマが固まっていなくても問題ありません。講義や実験、演習の中には、課題に向き合う中で迷った場面や工夫した瞬間、視点が変わったきっかけが必ずあります。そうした“自分ならではの判断や姿勢”を言葉にすることで、その人らしさや強みは十分に伝わります。
本記事では、理系学生がESでつまずきやすいポイントを整理しながら、似た経験でも差がつく「伝え方」を、具体例を交えて紹介します。
理系ESが伝わりにくい理由
理系学生のESは、中身が充実しているにも関わらず「伝わらない」ことが度々あります。その理由は「説明が学内の文脈のままになっている」ためです。
大学では、同じ専攻の仲間や教授と話すため、専門用語や理論をそのまま共有しても理解されます。しかし、採用担当者は文系出身であることも多く、さらに1日に数十〜数百件の書類を読みます。
・専門用語だけで概要が説明されていない
・背景説明に比べて「自分が行った判断」が少ない
・「難しかった」「工夫した」などの抽象表現が多い
など、「結局どんな人か」がつかめず、印象が薄くなることも。
ESは学習・研究したことをそのまま説明する場ではなく、「どのように考え、その考えに基づきどう行動したのか」 を言葉にする場です。行動に至るまでの思考プロセスや判断の基準には、自分ならではの個性や強みが表れます。次のNG・OK表現の対比を参考にしながら整理していきましょう。
NG・OK表現を整理:言い換えと実例
理系ESで目立つのは、内容の中身が伝わらない抽象表現やビジネスでは使わないNGワードです。読み手は「どの程度か/なぜそう判断したか/結果どう変わったか」を知りたいもの。以下のように“系統”ごとに見直しましょう。
① 強調だけで中身がない「感覚ワード」
・非常に/とても/すごく/かなり
→ 強さではなく程度(数値・割合・回数)を示す。
例:
✕「初期誤差が大きく、非常に難しかった」
〇「初期誤差が±15%となり、再現性の担保が難しかった」
② 量をぼかす「あいまい量ワード」
・多くの/たくさんの/様々な/いろいろと/多方面に
→ 件数・内訳・固有名詞で具体化する。
例:
✕「様々な実験を行った」
〇「温度・濃度・撹拌速度を組み合わせて12通りの測定を行った」
③ 評価を丸投げする「自己評価ワード」
・頑張った/成長した/難しかった/挑戦した/努力した
→ 課題・工夫・変化の流れで事実を書く。
例:
✕「頑張って精度を上げた」
〇「測定手順を見直し保持治具を変更して、誤差を±15%から±6%に改善した」
④ 判断が説明されない「根拠欠落ワード」
・自分なりに/なんとなく/とりあえず/うまくやった
→ 判断理由・比較対象・選択基準を添える。
例:
✕「自分なりに工夫した」
〇「温度影響を切り分けるため、恒温下で5回測定して要因を特定した」
⑤ 文体がカジュアルすぎる「口語ワード」
・やっぱり→やはり/なんか→何か/ちゃんと→適切に・正確に/すごい→素晴らしい/ぜんぜん→全く
→ ビジネス文書の書き言葉や件数・内訳・固有名詞で置き換える。
例:
✕「実験が全然うまくいかず、ちゃんと測定するのがとても大変でしたが、自分なりに頑張って成長できました。」
〇「実験初期は測定値が安定せず再現性が低かったため、測定条件(電圧・温度・保持時間)を1つずつ変えて比較しました。その結果、誤差を±15%から±6%まで抑えることができ、自ら計画して検証を進める姿勢を身につけました。」
※マメ知識:ビジネス用の表現は全て覚える必要があるの?
結論、すべて暗記する必要はありません。ただ、就活では「よく使われる言い回し」や「相手に伝わりやすい表現」を知っておくと、文章や会話が丁寧に伝わりやすくなります。一方で、言葉だけを“それっぽく”整えようとすると、不自然で固い印象になることもあります。
企業が採用したいのは「完璧な言葉を使いこなせる人」ではなく、「自分の意図を整理し、相手に配慮して伝えられる人」です。気をつけるポイントを意識しつつ、無理なく使いながら覚えていけば十分。ビジネス表現は「正解に合わせるもの」ではなく、「相手に伝わりやすくするための道具」と考えておきましょう。
差別化につながる「自分ならではの軸」を見つける
ESは“正解を書く場所”ではなく、“自分らしさを言葉にする場所”です。理系は同じ専攻分野だと似た授業や実験を経験しているため、「機械設計を学びました」「C言語でプログラミングをしました」だけでは他の学生と変わりません。
差がつくのは、「その中で何を感じ、どんな選択をしたか」「自分自身はどのような行動をしたのか」「どんな場面で自分らしさが表れたか」という “人柄・価値観・判断の軸” です。
授業や実験・実習においても、見せ方は大きく変わります。
1、大学授業の例(対比):
✕「材料力学を履修し、機械や構造物に力が加わったときの変化について理解しました。」→ 同じ履修をした人も同じことが言える。
〇「材料力学で形の違いによって壊れやすさが変わる点に注目し、実験で試験片の形状を変えて破壊の傾向を比較・検証しました。」→ あなたの視点と行動が見える。
2、実験・実習の例(対比):
✕「4人班で流体実験に取り組み、役割分担をして協力し、無事に測定を終えました。」→ どの班にも当てはまり、自分の思考や工夫が不明。
〇「測定値のばらつきが大きかったため、原因を手順不一致と仮定して操作を記録・標準化。再測定でばらつきを約1/3に低減しました。」
このように差別化は“経験の希少性”だけではなく、「何に気づき、なぜそう考え、何を選んで結果を出したか」を一文で結ぶこと。授業・実験の事実に、自分自身の思考・判断基準・行動を重ねて書くと、人柄と価値観が具体に伝わります。
まとめ|“思考の痕跡”まで示す
評価されるのは成果の大きさではなく、思考のプロセスが読み手に伝わるかどうかです。
・抽象表現は、数値・比較・具体例に置き換える
・「なぜそう判断したのか」という理由を添える
・講義や実験でも、自分の視点と工夫は十分に表現できる
これらを意識するだけで、同じ経験でも伝わり方は大きく変わります。ESは「何をやったか」ではなく、「どのように考え、行動する人か」といった“自分らしさ”を示す文書となります。
また、今回は理系の学業をもとに取り上げましたが、部活サークルやアルバイトなどの課外活動を書く時にも同じ工夫を応用できます。何を表現するにしても、自分らしさをぜひ意識してみてください。
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