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2025年11月13日(更新:2025年11月13日)
冷蔵庫や洗濯機、エアコン。長く暮らしを支えてきた家電はいま、“考えるモノ”へと進化しています。AIやIoTの発展により、家電が自ら判断し、生活に寄り添う時代が到来。この記事では、世界と日本の家電市場の動向から、技術開発の最前線までを理系目線で分かりやすく紹介します。
目次
世界と日本の家電市場――いま「暮らしの技術」が熱い!
家電業界はいま、AIやIoTの進化によって再び活気を取り戻しています。家電製品の世界市場規模は2024年に7,113億6,000万米ドルとなり、2025年の7,476億4,000万米ドルから 2033年には1,130億5,000万米ドルに達すると予測されています(マーケットリサーチセンター調べ)。
かつて“成熟産業”と呼ばれた分野が、いま再び“成長産業”として注目を集めています。なかでも注目はスマート家電。Wi-FiやAIを活用し、冷蔵庫が食材を管理、エアコンが生活リズムに合わせて温度を自動調整。“暮らしを設計する家電”が次々と登場しています。
さらに環境意識の高まりも市場を後押し。EUでは省エネ・リサイクル基準の義務化が進み、日本でもAIが電力を自動最適化するスマート省エネ家電が注目されています。オンライン販売も拡大し、誰でも最新技術にアクセスできる時代になりました。
日本の家電産業の歩みと現在――“黄金期”から再挑戦へ
かつて日本の家電は、世界をリードする存在でした。戦後の高度経済成長期には、冷蔵庫・洗濯機・テレビが“三種の神器”として普及し、パナソニック、ソニー、シャープ、東芝、日立などが次々と革新を生み出しました。
しかし2000年代に入ると、中国・韓国メーカーの台頭、リーマンショック、円高が直撃。日本企業は「高品質・高機能」を追求した結果、価格やスピードで後れを取る結果となりました。
それでも日本メーカーは再挑戦を続けています。AI・IoTを取り入れたスマート家電や、省エネ・高齢化対応など“日本らしい技術”で再び注目を集めています。
- パナソニック:AIカメラ付き冷蔵庫で食材を識別し、レシピや省エネ運転を自動提案。
- 日立製作所:「AIお洗濯」機能で洗濯物の量・汚れを判断し最適運転。
- シャープ:「COCORO HOME」シリーズで家電をスマホ連携。
- 東芝ライフスタイル:「IoLIFE」シリーズで遠隔操作や稼働確認を実現。
- ソニー:家電×通信×見守りを融合した「MANOMA」を展開。
かつて世界をリードした日本の技術は、いま再び“暮らしを豊かにするテクノロジー”として進化を遂げようとしています。
世界の家電――個性あふれる“次の主役”たち
世界の家電市場では、各国が独自の方向で未来を描いています。AI、IoT、環境対応など、それぞれの国が自国の強みを生かした進化を遂げています。
■アメリカ
スマートスピーカーやホームAIを中心に、テック企業が家電を“統合プラットフォーム”として再定義。
Googleの「Nest」やAmazonの「Alexa」シリーズが照明・空調・セキュリティを一体管理し、暮らしをまるごとデジタル化しています。
- Google:温度や照明をAIが学習し、自動で調整する「Nest」シリーズ。
- Amazon:音声で家電を操作する「Alexa」対応機器を拡充。
- Apple:「HomeKit」で家電をシンプルに連携管理。
■中国
家電とIoT、さらにはモビリティや再生エネルギーを組み合わせた「スマートエコ生活」を提唱。
ハイアール、シャオミ、MideaなどがAI制御とエネルギー効率を両立した製品を続々投入しています。
- ハイアール:IoT基盤「hOn」で冷蔵庫・洗濯機をネットワーク化。
- シャオミ:家電とスマホ・EVを統合する「Mi Home」構想を展開。
- Midea:スマート空調・給湯システムを通じて家庭の省エネを推進。
■ヨーロッパ
環境意識の高さを背景に、「サステナブル家電」へと大きく舵を切っています。
修理・再利用を前提とした設計や、リサイクル素材を使う製品が増加。高級感とエコ性能を両立しています。
- ボッシュ:エネルギー消費を自動最適化するAI搭載洗濯機。
- ミーレ:長寿命と再利用可能素材にこだわった高耐久モデル。
- エレクトロラックス:リサイクル素材比率の高い冷蔵庫を展開。
■韓国
デザイン性とデジタル体験の融合で、世界のトレンドをリード。
家電を「見せる家具」として再定義し、スマホとの連携で生活全体をスマート化しています。
- サムスン電子:冷蔵庫に大型ディスプレイを備えた「Family Hub」。
- LGエレクトロニクス:全家電を統合管理する「LG ThinQ」プラットフォーム。
- SKマジック:デザイン性と環境性能を両立したキッチン家電を展開。
各国の家電は、テクノロジーや文化の違いを映す鏡のようです。アメリカは“つながる暮らし”、中国は“エコとスピード”、ヨーロッパは“持続可能性”、韓国は“体験とデザイン”。世界の家電は、それぞれの価値観をのせて次の時代へと進化を続けています。
技術開発の最前線と、理系が関わるフィールド
IoTとAIの進化により、冷蔵庫や洗濯機が自ら考えて動く“スマート家電”が一般化しています。遠隔操作、省エネ制御、利用データの学習など、暮らしをより快適にする技術が次々と実用化されています。
家電開発を支えるのは、機械・電気・情報だけでなく、多様な理系分野の知見です。それぞれの専門が、家電の「動き」「つながり」「素材」「環境」などを支えています。
- 機械系:モーターや構造設計、放熱設計など“動く仕組み”をつくる。耐久性や静音性の向上も重要なテーマ。
- 電気電子系:センサー・基板・電源などの回路を設計し、安全で効率的な電力制御を実現。省エネや高信頼化の要となる。
- 情報系:AI制御、アプリ連携、クラウド通信など、家電を“考える・つなぐ”存在へ進化させる中枢技術。
- 物理系:光学・熱・音・磁気などの現象を解析し、温度検知や静音化、画像認識などの高精度制御に応用。
- 化学・材料系:樹脂・金属・絶縁材など新素材の研究を通じて、軽量化・耐久化・リサイクル性を高める。
- 生物・バイオ系:除菌・脱臭・空気清浄技術に微生物や酵素の知見を応用。健康・衛生家電分野で活躍。
- 土木・環境系:製造や廃棄の環境影響を分析し、リサイクルやエネルギー循環を考慮した社会設計を担う。
家電の進化は、ひとつの専門だけで成り立つものではありません。異なる分野の知識が交わり、チームとして新しい暮らしをつくる――その協働の中に、理系の力が生きています。
まとめ
家電はいま、AIやIoT、サステナビリティを軸に再び進化のステージへ。日本の技術もスマート家電や環境対応で新たな強みを磨いています。通信・AI・制御・デザイン――分野を越えて協働するエンジニアたちが、次の暮らしを形づくっています。
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