理系の進路に“正解”はない:多様な働き方から考える業界選びの3ステップ

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理系の就活では、「どの業界を志望すべきか分からない」「選択肢が広すぎて迷う」という声がよくあります。しかし、理系の専門性は進路を狭めるものではなく、「どこへでも行ける」強みでもあります。

この記事では、理系が志望業界を決めるときに役立つシンプルな3ステップをまとめました。順番に進めるだけで、自分に合った業界が自然と見えてきます。

理系の進路は「想像以上に広い」

理系は「専攻=行く業界」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。機械=自動車、電気=半導体、情報=IT…といった固定パターンにとらわれる必要はありません。

 

理系就活サイト「リケイマッチ」に登録している学生でも、下記のように専攻と異なる業界へ進むケースは珍しくありません。
 
・機械系 → 食品の生産設備設計
・電気電子系 → 化学プラントの電気制御
・情報系 → ロボットの制御ソフトウェア開発
・化学系 → 自動車部品の素材開発
・物理系 → IT領域のコンサルタント
・数学系 → SaaSのWebアプリ開発

 

理系が活躍できる業界は、メーカー・IT・エネルギー・農業・化学だけでなく、コンサル・金融・医療・教育・鉄道・物流など多岐にわたります。専門性は「進路の幅を広げるもの」。この広さを知ることで、キャリア選択の広さ・深さがグッと増します。

 

まずは「自分の得意・興味」を整理する

志望業界を考える前に、「自分がどんな理系タイプか」を整理してみましょう。得意・不得意や興味の方向性を言語化することが、最初のステップです。

 

・面白い・好きだったテーマ

機械、流体、半導体、制御、アルゴリズム、AI、環境化学、材料 など

・得意だった作業・役割

プログラミング、モデル化・解析、実験計画、設計、装置調整、シミュレーション など

・苦手だった作業・役割

細かい測定、長時間の実験、発表、文書作成、個人orチーム作業、マネジメント など

 

「どんな作業なら時間を忘れて取り組めるか」「逆に、どんな環境だと集中が続かないか」を振り返ると、自分が心地よく働ける“技術との向き合い方”が見えてきます。この整理は「どんな技術を軸にしたいか(技術軸)」を考えるうえでの出発点です。

 

主要業界の特徴を理解して、フィールドをつかむ

自分の軸が整理できたら、次は業界ごとの特徴を大まかに知りましょう。 ここで大事なのは「何を作るか」ではなく、「どんな関わり方ができるか」という視点です。

 

■メーカー(自動車・家電・産業機械・食品・素材など)

“ものづくり”と一言でいっても、研究開発・設計・生産技術・品質管理・技術営業など、多彩な職種があります。
現場と連携しながら試作・評価・改良を重ねるプロセスもあれば、材料開発や要素技術を長期的に深める働き方もあります。

 

■IT・情報(Web・SI・組み込み・AIなど)

IT分野はプログラミングのように手を動かす仕事から、アルゴリズム設計・データ解析など抽象思考を求められる仕事まで様々。
また、製造業・金融・医療・公共など他分野と協働も増えており、“クロス領域型”のキャリアも広がっています。

 

■社会インフラ・エネルギー(電力・通信・プラント・建設など)

社会を支える仕組みを設計・維持する仕事です。安全性・信頼性を最優先に、長期スパンでの開発や運用を行うのが特徴。
オフィスワークと現場業務の両方に関わる機会も多く、チームワーク型の仕事が中心です。

 

■コンサル・金融・調査・研究機関など

理系の数理的・論理的思考を活かして、技術調査、分析、経営支援、リスク評価などに関わる人も増えています。
企業の枠を超えて課題に向き合う働き方も、理系キャリアの一つです。

 

どの業界にも「研究職的な働き方」も「現場密着型の働き方」もあります。大切なのは、「どんな関わり方にワクワクできるか」という感覚です。

 

技術軸×課題軸で、進みたい方向性を整理する

業界を選ぶ際は、「どんな技術を使いたいか」と「どんな課題を解決したいか」の2軸で考えると整理しやすくなります。 この2つを組み合わせると、“自分らしい進路”が自然に浮かび上がります。

 

■技術軸(扱ってみたい・深めたい技術)

流体:空力・ポンプ・環境シミュレーション
材料:電池・樹脂・医療材料
制御:ロボット・自動運転・家電制御
情報:AI・IoT・Web・データ解析
解析・数理:物流最適化・金融モデル・医療統計解析

 

■課題軸(興味を持てる社会・生活のテーマ)

暮らしを便利に → 家電・IT・日用品
社会を支える → 電力・通信・インフラ・行政支援
健康・医療に関わりたい → 医療機器・AI診断・バイオ
環境・エネルギーに貢献したい → 化学・素材・再生可能エネルギー
人や組織の成長を支援したい → 教育・コンサル・人材・データ活用

 

■2つの視点を組み合わせてみる

材料 × 環境 → 脱炭素素材、電池材料、リサイクル技術
情報 × 医療 → AI創薬、医療データ解析、ウェアラブルヘルス
制御 × 社会基盤 → 鉄道システム、自動運転インフラ
流体 × 暮らし → 食品生産設備、空調設計
数理 × 経済 → 需要予測、保険リスクモデル

 

これらはあくまで一例です。同じ学科の学生でも、選ぶ軸の組み合わせは十人十色。「正解を探す」のではなく、「自分がやりがいを持てる組み合わせを見つける」ことが、進路選びの本質です。

 

まとめ

理系のキャリアに「唯一の正解」はありません。 ① 自分の得意・興味を知る ② 業界の性質を知る ③ 技術軸×課題軸で方向性を整理する ――この3つを順に進めることで、自分に合うフィールドが少しずつ見えてきます。
 
理系の専門性は、進路を狭めるものではなく「自由に選べる力」。研究や設計もあれば、技術営業や企画、データ分析や教育などの道もあります。迷うのは当然。それだけ選択肢が多いということです。焦らず、あなた自身の“おもしろいと思える方向”を探していきましょう。

 

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