ITエンジニア不足の背景を調査:デジタル化進展における課題やリスキリングへの取り組み

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ITエンジニア不足が叫ばれる昨今、その背景にはどのような要因があるのでしょうか。本記事では、最新のデータを基に「なぜITエンジニアが不足しているのか」を解説し、業界の現状や動向について詳しくレポートします。

なぜITエンジニア不足が起きているのか?

ITエンジニア不足の背景には、以下のような複合的な要因があります。

 

  • デジタル化の急速な進展:企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進が加速し、ITエンジニアの需要が爆発的に増加。
  • 人材育成の遅れ:大学や専門学校のIT人材育成が需要に追いついていない。
  • 少子高齢化による労働力不足:IT業界に限らず、日本全体で若年層の労働力が減少。
  • 専門性の高さ:AI、クラウド、組み込みソフト、セキュリティなど高度な知識が必要な分野が特に不足。

 

これらの要因が相まって、ITエンジニア不足は深刻な社会課題となっています。

 

ITエンジニアの求人倍率と需要の現状

求人市場において、ITエンジニアの需要は他職種と比較しても突出しています。

 

  • dodaの2024年9月データによると、ITエンジニアの求人倍率は12.85倍。
  • 全職種平均の2.82倍と比較して、ITエンジニアが圧倒的な売り手市場であることがわかります。
  • IT以外だと、機電エンジニア6.42倍、専門職(建設・不動産)6.01倍などから、理系職のニーズは高い水準です。

 

求人倍率の高さは、求職者1人あたりの求人件数が多いことを示しています。ITエンジニアにとって多くの選択肢がある一方で、企業側が採用に苦労している現状を反映しています。

 

製造業で進むデジタル化とIT人材不足

・自動車業界等におけるソフトウェア人材の需要増加

ITエンジニアはIT業界だけではなく、様々な業界で活躍しています。その中でも製造業における人材不足は顕著です。

下記事例のように、自動車業界では電動化や自動運転のトレンドから、ハードウェアだけでなくソフトウェアの人材が必要不可欠となっています。

 

  • ホンダ、2030年までにソフトウェア人材を1万人に増員予定。
  • トヨタ、2025年までに約9,000人の社員をリスキリング予定。
  • マツダ、電動化や自動車の知能化などへの対応でソフトウエア関連のIT人材の確保を強化。

参考記事:ホンダ、ソフト人材1万人に倍増 トヨタは9000人再教育(日経新聞)

 

・DX推進の動向

「IPA DX動向2024」によると、DXに取り組む製造業は77.0%です。自動車、電子部品、産業機械、ロボット、船舶、航空機、医療機器、プラント、食品など様々なメーカーにおけるトレンドとなっています。

金融・小売なども含めた業界問わない規模別だと、大企業(1001名以上)は96.6%。中小企業(100名以下)は44.7%であり、多くの企業がDXに向き合っていることが伺えます。

 

これらのようにデジタル技術の活用が広がる中、「経済産業省のIT分野調査」では2030年に約79万人のIT人材が不足すると予測されています。

 

企業のリスキリングへの取り組み

IT人材不足を補うため、多くの企業が既存社員のリスキリングに取り組んでいます。具体的には、企業が社員に対して新たな技術や知識を提供するための教育を行っています。

 

  • 教育プログラム:AI、クラウド、プログラミングなどのスキルを社内で学べる環境を整備。
  • キャリアチェンジ支援:他分野からIT分野への配置転換(部署異動)をサポートする制度。
  • 企業間の連携:産学連携を通じたIT人材の育成が活発化。

 

また社内だけでなく転職市場における動きも活発であり、既卒・第二新卒でITエンジニアの道を歩む方、ネットワークエンジニアからクラウドエンジニアへ挑戦する方、営業として活躍したがWebエンジニアへキャリアチェンジする方など、様々な選択肢が生まれています。

 

まとめ

ITエンジニア不足は、政府・企業・学校などにおけるデジタル化の進展とともに今後も続くことが予想されます。

 

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