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- 公開日:2024年11月23日
中国地方は、各県がそれぞれの強みを活かした製造業で発展している地域です。広島県の自動車産業、岡山県の鉄鋼と化学産業、山口県の石油化学と造船業、鳥取県の食品加工と電子部品産業、島根県の電子部品やICT産業といったように、各県が多様な産業分野で力を発揮しています。この記事では、中国地方各県における製造業の特徴を詳しく見ていきます。
広島県:自動車・輸送用機器や産学連携
広島県は自動車産業が盛んな地域で、マツダの本社と主要な生産拠点があります。マツダ関連の自動車部品メーカーも多く、ダイキョーニシカワやリョービなどが挙げられます。また、常石造船などの造船業も盛んであり、自動車・輸送機器関連は製造品出荷額において県内で最も高い割合を占めています。
さらに、広島県では鉄鋼業や生産用機器の製造も盛んです。鉄鋼業では、各地域の工業団地が重要な役割を果たしています。これらの分野の発展が、広島の製造業全体の基盤を支えています。
また、広島大学が「デジタルものづくりイノベーション拠点」を2024年9月に開所しており、産学連携による安全性や省エネ性能の研究が進められています。
岡山県:鉄鋼と化学産業が集積
岡山県は、鉄鋼や化学産業が集積する地域です。倉敷市の水島コンビナートにはJFEスチールや三菱ケミカルが拠点を構え、鉄鋼製品や化学製品の生産が盛んです。また、クラレや倉敷紡績といった企業が素材産業を牽引し、地域のものづくりを支えています。
さらに、倉敷市には三菱自動車水島製作所があり、eKワゴンやeKスペース、RVR(ASX、アウトランダースポーツ)、ミニキャブ・ミーブなどの車両を生産しています。同工場は小型車や電気自動車の製造において重要な拠点であり、岡山県の自動車産業を支える存在となっています。
岡山県は食品加工や繊維産業でも歴史が深く、地元の伝統産業と先端技術が融合するエリアとなっています。このように、多様な産業が共存し、地域全体の発展を支えています。
山口県:化学工業や多様な産業
山口県は、石油化学と造船業が盛んな地域で、製造品出荷額では化学工業や石油製品・石炭製品が大きな割合を占めています。周南市には、東ソー、トクヤマ、UBE(旧宇部興産)など日本を代表する化学メーカーの本店が集積し、石油精製から高機能化学製品まで幅広い生産が行われています。これらの企業は国内外での需要に応え、地域経済の中核を担っています。
また、下関市に拠点を構える三菱重工業では、大型船舶やエネルギープラントの製造が行われており、造船業の分野でも高い技術力を誇ります。さらに、長州産業などの企業が再生可能エネルギー技術に注力しており、山口県は持続可能な社会への貢献を目指した取り組みが進められています。
県内では産業の多様性が魅力で、化学・造船に加え、食品製造や機械部品の製造など、異なる分野がバランスよく発展しています。今後も既存産業の強化と新たな技術への挑戦により、山口県は日本の製造業の重要な基盤として成長が期待されています。
鳥取県:食品加工と電子部品産業
鳥取県は、食品加工産業と電子部品産業が盛んな地域です。農産物の豊かな生産を背景に、食品加工分野では、寿スピリッツが地域を代表する企業として、名物土産「因幡の白うさぎ」をはじめとする多彩なブランドの菓子を製造し、全国に鳥取の味を届けています。
電子部品産業では、日本セラミックが高性能センサーや電子デバイスの製造で注目されています。さらに、倉吉市や米子市には地元密着型の中小企業が集積し、農産物を活かした食品加工や電子部品の製造が活発です。
鳥取県では、美しい自然環境を活かした産業と先端技術を融合し、地元資源を活用した持続可能な地域発展を目指した取り組みが行われています。
島根県:電子部品・ICT産業とSDGs推進
島根県は電子部品やICT産業が盛んな地域です。出雲市には出雲村田製作所や島根富士通が拠点を構え、高精度な電子部品やデバイスの製造が行われています。これらの企業は、島根県の製造業を支える重要な存在であり、高度な技術力を活かした製品を国内外に提供しています。
地方創生の取り組みとして、島根県ではICTを活用した教育の改善が進められています。具体的には、県立高校で生徒1人1台のパソコンを活用した学びを推進するなど、次世代のIT人材の育成にも力を入れています。
さらに、出雲村田製作所、島根富士通、島根島津が協力し、「SDGsの推進を目指したまちづくりや環境保全」の取り組みが進んでいます。この企業間連携により、地域の課題解決や持続可能な社会の実現に向けた活動が注目されています。
加えて、島根県松江市とソフトバンクは、DXやICTの活用による物流・人流の発展に向けた事業連携を進めており、持続可能な基盤構築の取り組みが進行中です。これらの取り組みにより、島根県は電子部品製造、ICT技術、地域課題解決の融合で地域の成長を支える重要な拠点となっています。
まとめ
中国地方は各県がそれぞれ独自の強みを持ち、製造業においても地域と連携を深めながら成長を続けています。
そして、理系学生の採用に積極的な企業が多く存在します。一方で機械、電気電子、情報、化学などを専攻できる大学の数が限られており、関東・関西と比較すると「求人数>理系就活生の人数」の乖離が顕著な地域でもあります。そのため県内だけでなく県外の理系学生を採用したいといった声が多く、説明会・面接をオンラインで開催している企業も増えています。
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※参考記事
・北関東の製造業を調査:栃木県、群馬県、茨城県におけるものづくりの特徴について
・首都圏の製造業を調査:一都三県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)におけるものづくりの特徴について
・関西の製造業を調査:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県におけるものづくりの特徴について
・東海地方の製造業を調査:愛知県、三重県、岐阜県におけるものづくりの特徴について
・九州の製造業を調査:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島におけるものづくりの特徴について