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2023年12月5日(更新:2025年8月10日)
機械設計エンジニアとは
【機械設計の仕事内容】
機械設計エンジニアは、機械やシステムの設計・開発・試験を行い、製品が安全・効率的・経済的に動くようにします。思い描く機械を具体的に形へするため、構想設計・基本設計・詳細設計、試作、テスト、完成まで一連の工程を担当します。
【仕事の詳細について】
機械設計について調べると上記のような説明を色々なサイトで見かける一方、はっきりとイメージできない理系学生さんもいると思います。機械設計の詳細について、さらに掘り下げて解説します。
・コンセプトと全体像の策定
まずは、「どんな機械にするか」というコンセプトを明確にします。用途や性能目標を踏まえ、おおまかな形状、必要な部品、使用する技術や素材などを組み合わせ、製品の全体像を描きます。この段階での方向性が、その後の設計品質や開発スピードに大きく影響します。
・CAD・CAEを使った設計と性能確認
製品について仕様が有る程度固まった固まった後、CAD(設計ソフト)で2D・3Dの図面を作成し、CAE(解析ツール)で強度や性能に問題がないか解析・シミュレーションを行って確認します。
・試行錯誤を繰り返す設計プロセス
設計を進める中では、「この構造だと強度が足りないから素材を変えよう」「形状がコンセプトに合わないので構造を見直そう」といった具合に、何度も試行錯誤を重ねます。強度・安全性だけでなく、環境への影響、コスト、製作期間など検討するため、広い視点で設計スキルを求められます。
・試作品による検証と再設計
必要に応じて試作品を作って検証し、問題があれば再設計を繰り返します。最終的には、工場での量産が可能になるように、寸法・材質・部品構成・加工や組立の方法まで詳細に記載した図面へと仕上げます。その後、量産するための工程に入ることから、生産技術や製造の部署が対応していきます。
※マメ知識:幅広い産業で活きる専門知識
機械設計では四力学(機械・材料・熱・流体)やCADの知識などが必要となり、理系学生(特に機械系や物理系など)が大学で学んだことを存分に発揮することができます。自動車・航空宇宙・ロボット・産業機械・医療機器・家電・船舶など、ものづくりを行うメーカーでは欠かせない存在です。
スペシャリストとゼネラリスト
機械設計エンジニアのキャリアパスは、大きく「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」に分けられます。スペシャリストは特定の技術や分野に深く特化し、専門性を極める道。一方、ゼネラリストは幅広い知識と経験を活かし、複数の分野や部門を横断して活躍する道です。
・スペシャリストのキャリアパス:
機械設計分野でのスペシャリストは、例えば特定の製品カテゴリー(自動車、ロボットなど)において設計技術を極めます。ある製品の構造設計・機構設計に長年携わることで、材料の特性や加工方法、負荷条件に応じた最適設計、CAD・CAEを駆使した解析能力など、その分野特有のノウハウを蓄積します。この道のプロとなることで、「機械設計なら○○さんに聞こう」と社内外から信頼される存在になります。
・ゼネラリストのキャリアパス:
ゼネラリストは、プロジェクトマネジメントや商品企画など、設計・技術に留まらず幅広いスキルを活かして複数の部門やプロジェクトを横断的に管理します。機械設計だけでなく、電気設計や制御設計など他分野のエンジニアとも協働し、製品全体の完成度を高める役割を担います。チームの指導や全体のコーディネートを行い、異なる専門性を持つメンバーをまとめてプロジェクトを推進します。
※補足:企業によって多様なキャリアパス
これらはあくまで代表的な方向性であり、実際のキャリアパスは企業によって様々です。希望によって選べる場合もあれば、両方の要素を同時に求められる場合もあります。特にゼネラリストとしてカバーする範囲は、企業や人によって分かれがち。こうした大枠を理解した上で企業研究やOB訪問を行えば、理解が深まり、より有意義な質問などにも繋がります。
キャリアパスの選択肢
機械設計エンジニアのキャリアパスでは製品設計はもちろん、設計経験を活かした上で多様な選択肢に挑戦できる機会があります。昨今では外部環境の変化や技術トレンドの進化などから新たなキャリアパスも増え続けていますが、ここでは代表的な内容を抜粋します。
・製品設計エンジニア:
新しい機械や装置の設計・開発を行います。精密な設計、材料選定、性能テストを通じて製品の機能性と効率性を高めます。常にイノベーションを追求し、ユーザーのニーズに応える製品を形にします。
・研究開発(R&D):
新技術や新素材の研究を行い、将来の製品開発につなげます。長期的視点での技術革新を目的とし、実用化に向けた基盤を築きます。
・プロジェクトマネジメント:
製品開発プロジェクトの計画、実行、進行管理を担います。予算や納期の管理に加え、チームの調整・指導を行い、プロジェクト全体を成功に導きます。技術力に加えてマネジメント力やコミュニケーション能力が重要です。
・技術営業:
技術知識を武器に顧客に製品の特長や価値を説明し、課題解決を提案します。顧客の声を開発チームにフィードバックし、製品改良にも貢献します。営業活動と開発現場をつなぐ架け橋となる役割です。
・商品企画:
市場ニーズを分析し、新製品のコンセプトや仕様を企画します。機能性や使いやすさを考慮した設計方針を立て、市場投入までの戦略を策定します。市場動向と顧客要望を設計に反映させ、競争力のある製品を生み出します。
キャリアパスはますます多様化しています。AIやデジタル化の進展により、従来になかった新たな役割も生まれ、機械設計エンジニアにとって挑戦の場は広がり続けています。こうした変化を理解し、自分の志向や強みに合った道を選ぶことが、長期的な成長につながります。
まとめ:未来へのキャリア構築
機械設計エンジニアは、技術革新の最前線に立ち、製品開発の核心に関わることができます。そのためには、常に学び続ける姿勢と適応能力が求められます。
入社後の数年、数十年の単位で考えた際、1社で様々なチャレンジを経て成長する道もあれば、複数社で自分自身を磨く道もあります。昨今では転職(中途採用)の需要も高まっており、培った経験を活かして新たな業界・職種でキャリアを形成する事例も増加しています。新卒就活はキャリア形成の第一歩でもあるので、悔いのない選択・意思決定をしましょう。