2025年3月8日(更新:2025年3月8日)
近年、自動車の安全性や快適性を高めるための先進運転支援システム(ADAS)が大きく注目を集めています。理系学生にとっても、ハードウェアやソフトウェアなど、さまざまな切り口から挑戦できる分野です。この記事では、ADASの基礎知識やどのようなスキルが必要とされるか、就活のポイントとあわせて解説します。
ADASとは?
ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)とは、先進運転支援システムのことを指します。車両が周囲の状況をセンサーやカメラ、レーダーなどで検知し、ドライバーの運転をサポートする機能を提供する仕組みです。
例えば、車線逸脱防止、衝突被害軽減ブレーキ、ACC(アダプティブクルーズコントロール)などが代表的な機能として挙げられます。これらの技術は、完全自動運転に近づくための基盤とも言われ、自動運転レベル1~2の重要な構成要素でもあります。
※補足事項:自動運転レベルとは?
国際的に定義された基準で、レベル0(完全手動)からレベル5(完全自動運転)までの6段階に分類されます。具体的には、以下のようなイメージです。
引用:経済産業省「自動運転移動サービスを推進する国の取り組みと展望」
自動車メーカーだけじゃない。自動車部品メーカーも重要
ADASと聞くと、自動車メーカーがメインで取り組むイメージがあるかもしれませんが、実は多くの自動車部品メーカーも重要な役割を担っています。
・センサー(カメラ、レーダー、LiDARなど)の開発・製造
・統合制御ECUやソフトウェアの開発
・制動システムやステアリングシステムの改良
など、車両全体の安全性や利便性を高めるための技術を手掛けるのは、自動車部品メーカーの仕事として大きな領域を占めています。自動車メーカーは車両全体の設計・統合を行いますが、部品メーカーの専門技術によってADASが支えられているのが実情です。
※ADAS開発に取り組む企業例
・デンソー:センサーやECUを含む多彩な製品を提供。カメラ技術やセンサー融合などにも積極的に取り組む。
・ボッシュ:ブレーキやエンジン制御系からADAS向けのソフトウェア開発まで幅広く展開。
・アイシン:トランスミッションやブレーキだけでなく、システム統合や電動化に注力。
・コンチネンタル:タイヤやブレーキだけでなく、先進のセンサー技術やカメラモジュールも開発。
ADAS分野で必要とされるスキル
ADAS開発には、ソフトウェアとハードウェアの両面で幅広いスキルが求められます。
主な技術領域
– センサー技術(カメラ、レーダー、LiDARなど)
– 画像認識やAIアルゴリズムの開発
– 信号処理(ノイズ除去、特徴抽出など)
– エンベデッドシステム(組込み制御、リアルタイムOS)
– 車両運動制御(ブレーキ、ステアリングとの連携)
– 通信技術(車車間通信、V2Xなど)
理系学生の場合、電気電子工学や機械工学、情報工学などの専攻で学んできた知識が活かせる場面が多く、理系学部生も院生もそれぞれの強みを発揮しやすい領域です。
就職後に学べることも多い
ADAS関連は高度な専門知識や経験が必要なイメージがあるかもしれませんが、入社後に学べる範囲が広いのも特徴です。
・入社してから配属部署で基礎的な研修を受けられるケースが多い
・製品開発の流れや安全規格(ISOなど)を、OJTや勉強会を通じて身につける
・ソフトウェア開発や電子回路設計の経験が少なくても、先輩社員がサポートしてくれる
そのため、学部生の場合は「将来の専門性を伸ばす」前提で応募しても問題ありませんし、院生の場合は「研究で培った技術やデータ解析能力を活かせるか」がアピールポイントになります。
まとめ
ADAS(先進運転支援システム)は、自動車の安全性と利便性を高める重要な技術です。自動車メーカーだけでなく、多くの自動車部品メーカーも開発の要として大きく貢献しています。ソフトウェアとハードウェアが密接に連携するため、電気電子、機械、情報など幅広い理系分野の学生にチャンスがあるのも魅力です。
必要とされるスキルは多岐にわたりますが、入社後の研修やOJTで身につけられる領域も広いのが特徴。自動車の進化に欠かせないADAS分野は今後も成長が見込まれ、活躍できる場面は今後さらに広がっていくでしょう。自動車、電動化、自動運転等に関心のある理系学生の方々はぜひ色々と調べてみてください。