EdTechが変える教育DXの今と未来:理系エンジニアに広がる新たな活躍領域

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教育の現場ではいま、学び方を根本から変える動きが進んでいます。Education(教育)× Technology(テクノロジー)=「EdTech(エドテック)」と呼ばれる分野で、AIやVRなどの最新技術が授業や学習の仕組みに取り入れられ始めているのです。

オンライン授業、動画での予習復習、AIによる理解度チェック──こうした変化は、学生生活の“当たり前”として定着しつつあります。気づけば、学びのスタイルは大きくアップデートされていました。この記事では、EdTechの基礎から国内外の動向、そして大学で進む具体的な取り組み、そして理系就活生の力が発揮できる道までを、コンパクトにわかりやすく紹介していきます。

EdTechとは?

EdTech(エドテック)とは、教育 × テクノロジーを組み合わせ、AI・アプリ・オンラインツールなどを使って“学びやすさ”を高める仕組みのことです。難しそうに聞こえますが、実は普段の学生生活にも当たり前のように入り込んでいます。

 

■身近なEdTechの例
 
・オンライン授業(例:Google Meet、Zoom)
・MoodleやGoogle Classroomでの課題提出
・AIによるレポートチェック
・動画での予習・復習(例:スタディサプリ、Udemy)

 

EdTechが注目されている理由は、単に学習のデジタル化を進めるだけではなく、個々の学び方に合わせて最適な環境をつくれる点にあります。学習データをもとに理解度を把握したり、得意・苦手に応じて進め方を調整できたりと、学びそのものを“自分仕様”に近づけられるようになりました。

 

こうした動きが広がった背景には、文部科学省が進める「GIGAスクール構想」による1人1台端末の普及、オンライン学習の定着、そしてAI技術の急速な進化があります。場所や時間を選ばず学べるようになったことで、地域や学校間の学習環境の差を埋める取り組みも進み、教育全体を支える存在としてEdTechの重要性が高まっています。

 

昨今のEdTechが生み出しているのは、“便利だから使う”という段階を超えた新しい学びの形です。一人ひとりが「どんな方法で学ぶと伸びやすいのか」を自分で選べる時代が、着実に広がりつつあります。

 

日本のEdTech市場の動向

日本のEdTech市場は、ここ数年で急速に拡大しています。大学だけでなく、小中学校や企業研修にもデジタル学習が広がり、教育のスタンダードそのものがアップデートされつつあります。

 

・日本のEdTechは「本格的な成長期」に突入

市場調査によると、日本のEdTech市場は2024年時点で約3,000億円規模に達したと言われています。さらに2030年には7,000億円超が見込まれており、教育分野としては非常に高い成長ペースです。

 

この急成長を支えているのが、教育環境の大きな変化です。
 
・PC、タブレットの普及(学校では1人1台が一般化)
・オンライン授業の定着
・AIによる学習サポートサービスの拡大
・企業・学校に広がる“デジタルで学ぶ”文化

 

こうした土台が整ったことで、EdTechは一気に身近な学習手段へと広がりました。

 

・日本で特に伸びているEdTech分野と企業

① オンライン学習コンテンツ

授業動画やスマホ学習アプリなど、最も伸びている分野。ベネッセの「進研ゼミ」やリクルートの「スタディサプリ」、Z会のオンライン講座、社会人向けのオンライン学習プラットフォーム「Schoo(スクー)」などが代表的です。

他にもAI教材を展開するatama plus(全国3,000教室以上で導入)や、ベネッセとソフトバンクの合弁企業Classi(全国2,500校の高校で利用される学習支援プラットフォーム)など、EdTechサービスの活用が広がっています。

 

② 学習管理システム(LMS)

大学ではMoodle・Google Classroom、中高ではClassiやmanabaが広く導入されています。授業資料の共有、出欠管理、レポート提出がオンラインで完結できる環境を構築することで、教員の負担軽減にもつながっています。

 

③ 英語・資格学習サービス

リクルートの「スタディサプリENGLISH」やAI英会話アプリ「SpeakBuddy」、プログラミング学習の「Progate」などが代表的。社会人の“学び直し(リスキリング)”需要と重なり、大学生から社会人まで幅広く利用されています。

 

④ AI学習支援ツール

生成AIを活用したレポート添削・要約・質問応答ツールが続々と登場。最近では「すららネット」がAIチューターを導入するなど、EdTech企業が教育現場のAI化をリードしています。大学や企業でも「ChatGPT」や「Claude」を活用する動きが広がり、AIが“学びの伴走者”になる時代が訪れています。

 

マメ知識:理系就活生が挑戦できる職種・役割の一例
 
・Webエンジニア:学習配信や受講管理の基盤を開発。
・AI/機械学習エンジニア:推薦、個別最適化、要約、添削、音声認識などのモデル設計。
・データエンジニア/アナリティクス:学習ログを可視化し意思決定を支援。
・SRE/プラットフォーム:高トラフィック授業配信の信頼性・スケーラビリティを担保。
・XR/HCIエンジニア:実験・実習をVR/ARで再現。
・プロダクトマネージャー:学習科学×データを踏まえUX設計~実装の橋渡し。

 

※関連記事:EdTech領域でリケイマッチ導入企業のエンジニアインタビュー

株式会社Schooエンジニアインタビュー:上場企業での仕事、職場の魅力、理系就活体験談


 

世界のEdTech市場の動向

世界では、日本以上のスピードでEdTechが広がっています。特にアメリカ・中国・インドは、教育のデジタル化を強力に進めていて、多くのEdTech企業がユニコーン企業へ成長しています。

 

■世界のEdTechは“とにかく伸びている”

教育のデジタル化は、すでに巨大な産業になっています。
・2018年:約17兆円
・2025年:約38兆円(約2倍)

 

さらに、タブレットを使った授業やAI教育を含む「EdTech+スマートクラスルーム」市場は、
・2024年:155兆円 → 2032年:545兆円予測
・年成長率:16.9%

 

世界的に見てもトップクラスの成長産業です。アメリカの「Coursera」や「Khan Academy」、インドの「BYJU’S」、中国の「VIPKid」などが代表例。これらの企業が持つAI・映像配信・ユーザー解析技術は、日本の教育DXにも大きな影響を与えています。

 

■なぜ世界でこんなに広がったのか?

EdTechが世界的に広がった背景には、次の3つがあります。

・コロナ禍でオンライン授業が必須になった
・スマホ・インターネットの普及が進んだ
・投資が増えて新しいサービスが生まれやすくなった

 

特に新興国では、スマホが「唯一の学習手段」になるケースも多く、モバイル学習が一気に浸透しています。

 

大学における事例など

大学で進むEdTechの活用は、学生向けに見てもとてもわかりやすい変化として現れています。大学ではコロナ禍をきっかけに、授業の形が一気に変わりました。東京大学ではわずか2カ月で全授業をオンライン化し、そのままデジタル環境が標準に。早稲田大学や慶應義塾大学でもMoodleやZoomが標準化され、LMSや録画授業は学生にとって欠かせないツールになっています。

 

オンライン授業のメリット

・どこからでも授業に参加できる
・倍速で見られる
・資料共有や復習がしやすい

 

AIを活用した自動字幕生成(例:Google Cloud Speech-to-Text)や翻訳機能、レポート自動添削なども普及。筑波大学や大阪大学では、AIで授業内容を要約・検索できる取り組みが進められています。

また、大学ではEdTechと研究の融合も進行中です。情報系や教育工学系の研究室では、「AI教材の最適化」「個別学習アルゴリズム」「学習データ解析」などをテーマに研究する学生も増えています。

 

まとめ

EdTechは、教育のあり方を根本から変える大きな波です。国内外で市場が拡大する中、大学教育や学生生活にもその影響は確実に及んでいます。理系学生にとっては、EdTechは「学びの効率化ツール」であると同時に、「自分の成長を支えるインフラ」、そして「技術者として挑戦できる新しいフィールド」です。

 

AI時代を生きる私たちは、単に知識を得るだけでなく、「どう学び続けるか」を問われています。EdTechを上手に使いこなすことは、未来の社会で“成長し続けられる力”を身につけることにつながるでしょう。

 

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