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- 公開日:2022年10月25日
- 最終更新日 : 2024年10月20日
理系の大学生は文系の大学生に比べて、大学院に進学する学生が多いです。大学院に進学したほうが就活に有利といった話もあります。はたして、大学院に進学したほうが就活に有利に働くのでしょうか?それらを含めて学部卒・大学院への進学のメリットデメリットをそれぞれ詳しく見ていきたいと思います。
大学院の進学率
文部科学省の最新のデータ(令和5年)によると、大学院への進学率は12.5%です。約8人に1人が大学院に進学します。
一方、理系学部は大学院進学率が高い傾向にあります。令和元年の文部科学省のデータによると理学・工学・農学分野の大学院進学率はおよそ40%となっています。
すべての理系学部の大学院進学率が高いわけではありませんが、一定の学部における院進学率は高いと言えます。さらに国立大学は私立大学と比べて施設・設備・教授陣が充実していたり、学費が安いことから、私立大学よりも大学院進学率が高くなっているという傾向があります。
学部卒で就職するメリット
メリットとして、大学院に進学するよりも2年早く就職して、社会人経験を積むことができます。
新卒の学部卒業生は「ポテンシャル採用」といって、今後の成長性を重視した採用方法がとられているケースが多いです。
そのため入社後にしっかり社員教育を受けさせてくれる企業が多いので、研修と実務経験を経て、いち早く実務において活躍することができます。
はやく社会で活躍したい学生にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。
学部卒で就職するデメリット
一方デメリットは、職種によっては学部卒は大学院修了者に比べて不利な場合があります。
研究開発職のような、高い専門性が求められる求人は大学院生を歓迎している場合があります。
特に大手企業や有名企業の研究開発職だと、企業によっては大学院生を歓迎する事例もあります。
しかし、研究開発職でも準大手・中堅・中小企業であれば院や学部を区別せず、学部卒でも歓迎している企業が数多くあります。
研究開発職を希望している学部卒の理系学生は、会社規模に縛られず幅広くチェックすることもおすすめです。
また設計職や生産技術職などの技術職では、大手や中小などの企業規模を問わず、学部卒の理系学生も歓迎しているケースが多いです。
大学院に進学するメリット
大学院に進学するメリットとして、学部より専門性の高い研究ができ、専門性の高い職種につきやすくなるということが挙げられます。
さらに、初任給が学部卒に比べて高いです。
大学院に進学すると、学部卒に比べて2年間自分の専門分野について深く研究できるので、自分の研究分野についての知識を深めることができます。
また、研究開発職をはじめとした専門性の高い職業につきやすくなる事や学部卒に比べて初任給が高い事が挙げられます。
厚生労働省が公表した「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」によると、新規学卒者の学歴別賃金は、男女計で学部卒では約22.6万円であった事に対し、大学院修了者は約25.5万円と約3万円の差がありました。
大学院に進学するデメリット
デメリットとして、大学院に進学する場合、2年間分の学費が発生し、社会人になるタイミングが2年遅れることが挙げられます。
例えば、国立大学の場合でも以下の費用が必要です。
入学金: 30万円
学費: 50万円 × 2年
合計: 約150万円
私立大学では、大学によって学費は大きく異なりますが、一般的に国立大学よりも高くなるケースが多いです。
たとえば、慶應義塾大学大学院(理工学研究科)では以下のような費用がかかります。
入学金: 0円
学費: 110万円 × 2年
合計: 約220万円
このように、学部卒として就職した場合に比べ、大学院進学は短期的には大きな金銭的負担が伴います。
さらに、社会人になる時期の違いも転職活動などのライフイベントに影響を与えることがあります。
たとえば、25歳で転職を考える際、学部卒であれば社会人経験は2~3年ある一方、院卒の場合は社会人経験が0~1年となります(※留年や浪人がない前提)。
この2年の差は、既卒・第二新卒として中途採用を募集している企業に応募する際、転職活動の進めやすさに違いを感じる場面があるかもしれません。
結局学部卒と大学院に進学どっちがいいの?
それぞれメリット・デメリットがありますが、まとめると下記のようになりました。
・研究開発職などの専門職に就きたい場合は大学院に進学する方が実現しやすいが、必ずしも進学が必須という訳ではない。
・明確に研究したいテーマがあり、学部生としての研究活動だけで物足りない場合は院進学という選択もおすすめ。
・同世代と社会人経験2年の差が生じることなど、人によってはメリットにもデメリットにもなり得る。
まとめ
今回は、学部卒で就職するのがいいのか、大学院に進学するのがいいのかといった観点で詳しくまとめてみました。
どちらにもメリット・デメリットがあり正解はありません。
ご自身の目指すキャリアや大学での研究を続けたいかどうかなどをもとに、考えていきましょう。