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2026年8月21日(更新:2026年8月21日)
28卒の理系学生で、就活のエントリーシート(ES)や面接対策を進める中、「これまでに挫折した経験を教えてください」と聞かれて困る人もいるかもしれません。ガクチカとは異なり、「挫折と呼べるほど大きな経験がない」「研究でうまくいかなかった話でもいいのか」と迷いやすいテーマでもあります。
挫折経験は、必ずしも大きな失敗である必要はありません。研究や実験、プログラミング、部活動、アルバイトなど、自分が真剣に取り組む中で壁にぶつかった経験も題材になります。この記事では、理系学生向けに、ESで使える挫折経験の考え方から書き方、具体的な例文まで紹介します。
企業は挫折経験から何を見ている?
企業が知りたいのは、挫折そのものの大きさだけではありません。
「どのような目標を持っていたのか」「何がうまくいかなかったのか」「そのとき何を考えたのか」「その後どう行動したのか」といった部分から、その人の考え方や行動を見ています。
仕事でも、すべてが最初から予定通りに進むとは限りません。特に技術職では、設計したものが要求性能を満たさない、実験結果が想定と異なる、開発途中で仕様が変わるなど、試行錯誤が必要になる場面があります。
そのため、挫折経験を伝える際は、失敗した事実だけで終わらせず、うまくいかなかったときに何を考え、どのように行動したのかまで整理することが大切です。
また、最後に大きな成果を出している必要もありません。目標としていた結果には届かなかったとしても、その経験から何を学び、その後の考え方や行動がどう変わったのかまで伝えられれば、自分自身を表すエピソードになります。
理系学生の挫折経験はどこから探す?
「挫折経験が思いつかない」という場合、人生で最も大きな失敗を探そうとすると、かえって見つけにくくなることがあります。
挫折経験は、全国大会で敗退した、第一志望の大学に不合格だった、といった大きな出来事に限りません。大学生活の中で「思っていたよりできなかった」「努力していたのに結果が出なかった」「途中で自信を失った」と感じた場面まで広げて振り返ってみます。
研究・実験
例えば、卒業研究で3カ月以上実験を続けても期待したデータを得られなかった、同じ条件で実験しているはずなのに結果を再現できなかった、中間発表で研究の進め方そのものを見直すよう指摘された、といった経験があります。研究が思うように進まず、「自分には研究が向いていないのではないか」と感じた経験も挫折の一つです。
専門科目・学業
大学に入り、高校まで得意だった数学や物理で成績が落ちた、必修科目の試験で単位を落とした、資格試験に複数回不合格だった、といった経験も考えられます。特に、それまで通用していた勉強方法を見直した経験があれば、その後の変化まで伝えやすくなります。
プログラミング・ものづくり
授業のチーム開発で自分だけ実装が遅れた、ハッカソンで予定していた機能を完成できなかった、ロボコンや学生フォーミュラで設計した部品が目標性能を満たさなかった、といった経験も題材になります。技術的な失敗そのものよりも、壁にぶつかったあとに何を考えて進め方を変えたのかが重要です。
アルバイト・部活動
もちろん、理系だからといって研究や技術系の経験を書く必要はありません。飲食店で仕事を覚えられずミスを続けた、塾講師として担当生徒の成績を伸ばせなかった、運動部でレギュラーから外れた、といった学生生活の経験でも問題ありません。
「一番悔しかったこと」「努力していたのに結果が出なかったこと」「それまでのやり方を変えたこと」を思い出すと、題材を見つけやすくなります。
挫折経験をESに書く5つのステップ
挫折経験をESに書くときは、出来事を順番に並べるだけではなく、自分の考え方や行動が分かるように整理します。基本的には、「目標 → 挫折 → 原因 → 行動 → 学び」の流れで考えるとまとめやすくなります。
①何に取り組んでいたのか
最初に、自分が何に取り組み、どのような目標を持っていたのかを書きます。「大学3年次、4人チームでWebアプリ開発に取り組んだ」「大学2年から個別指導塾で中学3年生の数学を担当した」など、読み手が状況をイメージできる程度まで具体化します。
②何がうまくいかなかったのか
次に、自分にとって何が挫折だったのかを書きます。「研究が大変だった」「アルバイトで失敗した」だけでは、状況が伝わりません。「3カ月間実験しても再現性のあるデータが得られなかった」「担当していた5人のうち3人が次の模試でも目標点に届かなかった」など、期間や人数、数値を交えると具体的になります。
③原因をどう考えたのか
挫折したあと、なぜうまくいかなかったのかを自分なりに考えた過程も整理します。例えば、「実験条件を一度に複数変更していたため、どの条件が結果に影響したのか特定できていないと考えた」「自分が説明する時間が長く、生徒自身が問題を解く時間が不足していたと気づいた」といった形です。
④どのように行動したのか
原因を踏まえて、自分が何を変えたのかを書きます。研究であれば実験条件を整理した、開発であればタスクを細分化した、アルバイトであれば先輩の動きを観察した、部活動であれば練習内容を変更したなど、実際の行動まで具体化します。
⑤何を学んだのか
最後に、その経験を経て考え方や行動がどう変わったのかを書きます。「諦めないことの大切さを学んだ」だけで終わらせるよりも、「結果が出ないときは努力量を増やすだけでなく、方法そのものを見直すようになった」など、挫折前と挫折後の変化が分かる内容にすると伝わりやすくなります。
理系学生向け|挫折経験のES例文
ここからは、研究や開発だけでなく、アルバイトや部活動を含めた挫折経験の例文を紹介します。
※以下は書き方をイメージするための例です。実際のESでは、自分自身の経験や数値に置き換えてください。
例文① 研究・実験|実験データを3カ月間再現できなかった
私の挫折経験は、大学3年次の研究で、約3カ月間、再現性のある実験結果を得られなかったことです。私は金属材料の強度変化を調べる研究に取り組み、同一条件で5回測定した際の数値のばらつきを5%以内に抑えることを目標としていました。しかし、実際には最大20%程度の差が生じ、30回以上実験を繰り返しても原因を特定できませんでした。研究室内では周囲が次の検証へ進む中、自分だけ研究が止まっている状況に焦りを感じました。当初は実験回数を増やせば解決すると考えていましたが、一度作業を止め、過去30回分の実験条件と結果を表にして整理しました。その結果、試料の保管時間や測定前の温度など、毎回統一できていない条件が複数あることに気づきました。そこで、担当教員や先輩にも相談し、条件を一つずつ固定して比較する方法へ変更しました。約1カ月かけて検証した結果、測定前の試料温度が結果に大きく影響していることを確認し、ばらつきを4%程度まで抑えることができました。この経験から、結果が出ないときに作業量だけを増やすのではなく、条件を整理し、原因を一つずつ切り分けて考えることの重要性を学びました。
例文② プログラミング|4人チームの開発で担当機能が2週間遅れた
私の挫折経験は、大学3年次に4人で取り組んだWebアプリ開発で、自分が担当したログイン機能の実装が予定より約2週間遅れたことです。授業では8週間で飲食店検索アプリを完成させる課題があり、私はログイン機能とユーザー情報管理を担当しました。しかし、初めて使用するフレームワークへの理解が不足しており、認証処理のエラーを解消できず、3週目の時点で予定していた作業の半分程度しか終わっていませんでした。自分の担当部分は自分で解決するべきだと考え、1人で調べ続けていましたが、その結果、チームへの共有も遅れていました。そこで、メンバーに進捗を共有し、実装内容を「画面」「データベース」「認証処理」の3つに分けて整理しました。また、1つのエラーについて1時間調べても解決しない場合は、メンバーや担当教員に相談するルールを自分の中で決めました。その後は開発を予定に近いペースへ戻し、最終発表までに必要な機能を実装することができました。この経験から、自分で考えることと、一人で抱え込むことは異なると学びました。現在はチームで作業するときほど、遅れや課題を早い段階で共有することを意識しています。
例文③ ものづくり|学生フォーミュラで設計部品が目標重量を超えた
私の挫折経験は、学生フォーミュラの活動で、自分が設計したブレーキ部品が目標重量を大きく超えてしまったことです。大学2年次、私は車両のブレーキ周辺部品の設計を担当し、前年の部品から20%軽量化することを目標としていました。しかし、最初に設計した部品は強度を重視しすぎた結果、目標の850gに対して1,080gとなり、軽量化の目標を達成できませんでした。約1カ月かけて作った設計だったため、当初は一部の形状変更だけで対応しようとしました。しかし、解析結果を先輩と見直す中で、必要以上に安全率を高く設定している箇所が複数あることに気づきました。そこで、荷重条件を改めて整理し、3種類の形状を作成して強度解析を比較しました。その結果、必要な強度を維持しながら820gまで軽量化することができました。この経験から、自分が時間をかけた案であっても、結果が出なければ前提から見直すことが必要だと学びました。
例文④ 学業|大学1年次に必修の微分積分で単位を落とした
私の挫折経験は、大学1年次に必修科目の微分積分で単位を落としたことです。高校では数学を得意としており、大学でも同じように試験前にまとめて勉強すれば対応できると考えていました。しかし、最初の定期試験では100点満点中42点となり、再試験でも合格点に届きませんでした。それまで数学には自信があったため、単位を落としたこと以上に、自分の勉強方法が通用しなかったことにショックを受けました。そこで、翌学期からは試験前だけ勉強する方法を改め、週2回、各90分を復習の時間として確保しました。また、解答を見て理解したつもりになるのではなく、間違えた問題だけをまとめたノートを作り、翌週にもう一度解くようにしました。その結果、再履修時の定期試験では82点を取り、その後の数学系科目でも同じ学習方法を続けました。この経験から、過去にうまくいった方法にこだわらず、環境や難易度に合わせて取り組み方を変えることの大切さを学びました。
例文⑤ 飲食店アルバイト|居酒屋で注文ミスを1カ月に8件出した
私の挫折経験は、大学1年次から働いている約60席の居酒屋で、ホール業務のミスを繰り返したことです。働き始めた際、金曜や土曜の夜には1日100人以上のお客様が来店し、私は5〜7卓を同時に担当していました。しかし、注文の入力漏れや料理の提供先を間違えることが続き、1カ月で8件のミスを出してしまいました。周囲のスタッフは同じ忙しさの中でも対応できていたため、自分には接客の仕事が向いていないのではないかと感じました。そこで、仕事が早い先輩2人の動きを観察したところ、自分は注文を受けるたびに目の前の作業だけを処理し、次に何をするかを考えられていないことに気づきました。それ以降は、ホールを回る前に担当卓の状況を確認し、「注文を取る」「料理を運ぶ」「空いた皿を下げる」を一度の移動でまとめて行うようにしました。また、注文を受けた際はその場で必ず端末へ入力することを徹底しました。3カ月後には、自分が原因となる注文や提供のミスを月1件以下まで減らすことができました。この経験から、忙しい状況ほど目の前の作業だけに集中するのではなく、全体を見ながら優先順位を考えることの重要性を学びました。
例文⑥ 塾講師|中学3年生の数学で模試の点数を伸ばせなかった
私の挫折経験は、個別指導塾の講師として担当していた中学3年生の数学の成績を、半年間ほとんど伸ばせなかったことです。大学2年次から週2回、5人の中学3年生を担当していました。その中の1人は高校受験に向けて数学を50点から70点まで伸ばすことを目標としていましたが、3カ月指導しても模試の点数は48〜55点を行き来し、成果につなげられませんでした。私は自分が分かりやすく説明すれば成績は上がると考えており、授業時間の多くを解説に使っていました。しかし、生徒に途中式を説明してもらうと、公式の意味を理解せず、解き方を暗記している問題が多いことに気づきました。そこで、60分の授業のうち自分が説明する時間を20分程度まで減らし、残りは生徒自身に問題を解いてもらう形へ変更しました。また、間違えた問題は翌週にも同じ形式で出題しました。その後、4カ月後の模試では数学が72点まで上がり、第一志望校にも合格しました。この経験から、自分が一方的に伝えるのではなく、相手がどこまで理解しているのかを確認しながら方法を変えることの大切さを学びました。
例文⑦ 運動部|硬式テニス部で団体戦メンバーから外れた
私の挫折経験は、大学の硬式テニス部で、2年次の秋に団体戦のメンバーから外れたことです。私は大学入学後、週4日の部活動に加えて週2回自主練習を行い、2年次の春には団体戦メンバー8人に選ばれました。しかし、秋の選考では部内戦で6試合中2勝4敗となり、メンバーから外れました。練習量には自信があり、周囲より練習しているつもりだったため、結果が出なかったことに大きな悔しさを感じました。そこで、試合動画を5試合分見直し、先輩にも意見を聞いたところ、ラリーでは互角でも、短いボールが来た際のミスが多いことが分かりました。それまでは得意なストロークを中心に練習していましたが、その後は自主練習の半分をネットプレーや短いボールへの対応に変更しました。また、練習試合ごとに自分のミスを「ネット」「アウト」「判断ミス」に分類して記録しました。翌年春の部内戦では6試合中5勝し、再び団体戦メンバーに選ばれました。この経験から、努力しているという感覚だけで判断せず、結果が出ないときには自分の弱点を客観的に確認し、取り組み方を変える必要があると学びました。
挫折経験を書くときに注意したいポイント
挫折経験は、エピソードを選ぶだけでなく、どこまで具体的に書くかによっても伝わり方が変わります。
・状況がイメージできる情報を入れる
「研究で結果が出ませんでした」「アルバイトでミスをしました」だけでは、読み手は挫折の程度をイメージできません。
「3カ月間、30回以上実験しても再現できなかった」
「60席の居酒屋で、1カ月に8件の注文・提供ミスを出した」
「団体戦メンバー8人から外れた」
など、期間や人数、回数、目標値といった情報を入れると、状況が具体的になります。ただし、数字を多く入れれば良いわけではありません。挫折の大きさや変化を理解するために必要な数字を選びます。
・専門的な説明が多くなりすぎない
研究や開発について書く場合、専門用語を多く使うと、採用担当者が状況を理解しにくくなることがあります。
研究テーマや技術について詳しく説明するよりも、「何を目標としていたのか」「どこで止まったのか」「何を変えたのか」が分かる情報を優先します。例えば、材料の専門的な評価手法について説明するより、「同じ条件で測定しても数値が最大20%ばらついた」と書いた方が、問題の状況はイメージしやすくなります。
・成功体験だけにならない
挫折経験を書いているうちに、「努力して成果を出しました」というガクチカに近い内容になることがあります。
挫折経験では、成果だけでなく、
「自分で解決しようとして抱え込んでいた」
「練習量を増やせば結果が出ると思っていた」
「自分が説明すれば相手も理解できると思っていた」
といった、当時の自分の考え方や不足していた部分まで振り返ると、その後の変化が伝わりやすくなります。
・挫折の大きさだけで題材を選ばない
人生で一番大きな失敗である必要はありません。研究や部活動で大きな挫折を経験していても、自分が何を考えてどう動いたのかを説明できなければ、ESでは書きにくくなります。
一方で、アルバイトのミスや授業の単位など、一見すると小さな経験でも、原因を考え、行動を変えた過程を具体的に説明できれば、十分に挫折経験の題材になります。「どれだけ大変だったか」だけでなく、「その経験から自分の何を伝えられるか」という視点で選ぶことも大切です。
まとめ
挫折経験のESでは、「どれほど大きな失敗をしたか」だけが重要ではありません。研究で実験結果を再現できなかったこと、チーム開発で自分の担当が遅れたこと、専門科目で単位を落としたこと、アルバイトでミスを続けたこと、部活動でレギュラーから外れたことなど、自分が真剣に取り組む中で壁にぶつかった経験であれば題材になります。
「目標 → 挫折 → 原因 → 行動 → 学び」の順番は、伝わりやすい書き方の1つです。さらに、期間や人数、回数、点数、目標値などを加えることで、初めて読む採用担当者にも状況が伝わりやすくなります。理系学生の場合は研究や開発など専門的な経験を題材にすることも多いですが、無理に理系らしい経験を選ぶ必要はありません。
これまでの学生生活を振り返り、「思うようにいかなかったとき、自分は何を考えてどう動いたか」を具体的に説明できる経験から考えてみてください。
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