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2026年10月13日(更新:2026年10月14日)
同じ製品分野のBtoBメーカーでも、研究開発から製品設計、量産まで幅広く手がける企業もあれば、特定の工程や技術に強みを持つ企業もあります。また、機械設計、回路設計、ソフトウェア開発、材料開発など、どこまで自社で担当するかも企業によって異なります。
今回は、BtoBメーカーの担当工程や技術領域の違いを整理しながら、就職活動で役立つ企業研究のポイントを解説します。
目次
同じ製品に関わるBtoBメーカーでも、担当する仕事は違う
BtoBメーカーの企業研究では、自動車部品、電子部品、半導体、産業機械など、企業が扱う製品に目を向ける学生も多いのではないでしょうか。しかし、同じような製品を作っているメーカーでも、実際に担当している工程や仕事内容は異なります。
例えば、自動車のブレーキ部品に関わるメーカーを考えてみましょう。ある企業では、新しいブレーキ部品の研究開発や製品設計、試作評価などを幅広く担当しています。一方、別の企業では、ブレーキ部品メーカーから依頼を受け、指定された図面に基づく金属加工や量産技術などに強みを持っている場合があります。
この違いは、学生の就職先選びにも関係します。「ブレーキ部品の製品開発に携わりたい」という学生と、「精密な加工技術を追求したい」という学生では、ブレーキ部品に関わるメーカーの中でも、注目すべき企業や職種が変わってきます。
また、担当する工程だけでなく、企業が保有する技術領域にも違いがあります。ブレーキ部品に使用する摩擦材などを自社で研究開発する企業もあれば、外部から材料を調達し、部品の設計や製造技術に力を入れる企業もあります。
また、電子回路やソフトウェアにも違いがあります。例えば、急ブレーキ時などにタイヤがロックするのを防ぐABS(アンチロックブレーキシステム)では、車輪の回転を検知するセンサーや、ブレーキの油圧を制御する電子回路・ソフトウェアなどが使われています。こうした制御技術まで自社で開発するメーカーもあれば、機械部品の設計や製造を中心に担当するメーカーもあります。
メーカーごとに担当工程が異なるのはなぜ?
ものづくりには、研究開発、製品設計、試作・評価、生産技術、量産、品質管理など、多くの工程があります。メーカーごとに担当範囲が異なる背景には、取引先との役割分担や、自社が得意とする技術、これまでの事業の成り立ちなどがあります。
例えば、自動車のエンジンに使われる金属部品を考えてみましょう。もともと鋳造や金属加工を専門としてきた企業では、長年培ってきた技術を活かし、複雑な形状の部品を高い精度で製造することに強みを持つ場合があります。
一方、エンジン全体の開発を担当するメーカーでは、燃費や出力、耐久性などを考慮しながら、部品の仕様や構造を決める設計業務が重要になります。
また、製造技術に強みを持つ企業が新たに設計部門を設けたり、製品開発を中心としていた企業が生産設備の開発まで手がけたりするケースもあります。
つまり、企業がどのような技術を強みに成長してきたのかを知ることも、担当工程を理解する手がかりになります。なお、研究開発を担当する企業が優れていて、量産を中心に担当する企業が劣っているということではありません。
新しい製品を開発する技術も、同じ品質で安定して大量生産する技術も、ものづくりには欠かせないものです。企業研究では、工程の幅広さだけで判断せず、その企業がどの工程に強みを持ち、自分がどのような仕事に携わりたいのかを考えてみましょう。
材料・機械・電気電子・情報、どこまで自社で開発する?
担当工程に加えて、メーカーが自社で扱っている技術領域にも注目してみましょう。
同じ製品分野でも、材料の研究開発から取り組む企業もあれば、機械設計や電子回路、ソフトウェアなどに強みを持つ企業もあります。こうした違いは、技術者の専門分野にも関係します。
① 製品に使う材料を自社で開発しているか
製品の性能は、形状や構造だけでなく、使用する材料によっても変わります。例えば、スマートフォンなどに使われる電子部品には、セラミックや金属など、さまざまな材料が使用されています。
電子部品メーカーの中には、求められる電気的特性や耐久性を実現するため、材料の組成や製造方法から自社で研究開発する企業があります。一方、外部から材料を調達し、部品の設計や加工、製造技術に力を入れる企業もあります。
材料系を専攻する学生は、鉄鋼・化学などの素材メーカーだけでなく、電子部品や自動車部品などを扱うメーカーにも目を向けることで、企業選びの幅が広がります。
② 機械・回路・ソフトウェアをどこまで自社で設計するか
機械設計、電子回路設計、ソフトウェア開発についても、メーカーごとに担当範囲が異なります。例えば、自動車のデジタルメーターには、速度や燃料残量などを表示するディスプレイのほか、電子回路や表示を制御するソフトウェアなどが使われています。
そのため、デジタルメーターを扱うメーカーの中には、筐体などの機械設計に加え、回路設計や組込みソフトウェアの開発まで手がける企業もあります。こうした複数の技術を組み合わせる考え方の一つが、機械と電子制御を融合させた「メカトロニクス」です。
こうした技術は、身近なドラム式洗濯機やロボット掃除機などにも使われています。例えば、ドラム式洗濯機では、ドラムを回転させる機械構造に加え、モーターの回転速度や洗濯工程を制御する電子回路・ソフトウェアなどが使われています。これらの製品に使用するモーターや制御基板などを供給するBtoBメーカーもあります。
ただし、製品に使われる技術をすべて自社で開発しているとは限りません。制御基板を外部メーカーから調達したり、ソフトウェア開発の一部を委託したりする場合もあります。
機械系・電気電子系・情報系の学生は、製品に使われている技術だけでなく、そのメーカーが自社で担当する設計・開発業務まで確認することが重要です。
担当工程・技術領域を企業研究で調べる方法
では、志望するメーカーがどのような工程や技術を担当しているのか、具体的にどこを調べればわかるのでしょうか。企業サイトの製品情報だけでなく、取引先との関係や開発事例、採用情報などを組み合わせて確認してみましょう。
① どのメーカーに、何を納めているのか
特に企業向けに製品や部品を販売するBtoBメーカーでは、取引先との関係を調べることが重要です。例えば、自動車業界では、トヨタやHondaなどの完成車メーカーに直接部品を供給する企業を「Tier1(一次サプライヤー)」と呼びます。
さらに、Tier1に部品を供給する企業を「Tier2(二次サプライヤー)」と呼びます。自動車のシートを例にすると、完成車メーカーにシートを納めるTier1が、シートに使う金属フレームや調整機構などの部品をTier2から調達する、といった関係です。
ただし、Tier1だから製品開発が中心、Tier2だから加工や製造が中心というわけではありません。Tier2でも独自の技術を持ち、設計・開発を行う企業があります。
また、自動車以外でも、産業機械メーカーにモーターを納める企業や、家電メーカーに電子部品を供給する企業など、さまざまな取引関係があります。
「どんな製品を作っているか」に加えて、「どのメーカーの、どの製品に使われる部品を納めているか」まで調べると、企業の立ち位置を理解しやすくなります。
② 指定されたものを作るのか、自社で考えて開発するのか
同じBtoBメーカーでも、顧客との仕事の進め方は異なります。例えば、産業機械に使われる金属部品メーカーでは、次のようなケースが考えられます。
・顧客から提供された図面に基づいて、指定された形状の部品を加工する
・顧客が求める性能や条件に合わせて、自社で部品の形状や構造を設計する
・自社で開発した部品や製品を、複数のメーカーに提案・販売する
一つの企業が、これらの仕事を複数担当している場合もあります。また、顧客から図面を受け取って製造する場合でも、加工方法や生産工程は自社で考えることがあります。
製品の仕様や設計を誰が決めるのか、製造方法をどこまで自社で考えるのかによって、技術者の担当業務は変わります。企業サイトの開発事例や技術紹介などから、顧客との役割分担を確認してみましょう。
③ 技術紹介・研究開発ページを確認する
企業サイトにある技術紹介や研究開発ページでは、その企業が得意とする技術を調べられます。例えば、医療機器向けの精密部品を製造するメーカーであれば、精密加工技術や材料技術など、どの分野に力を入れているのかを確認します。
製品紹介だけではわからない場合でも、研究開発ページや技術資料などに、具体的な開発内容が掲載されていることがあります。完成した製品の特徴だけでなく、その性能を実現するために自社でどのような技術を開発しているのかに注目しましょう。
④ 募集職種と対象専攻を確認する
採用サイトでは、募集職種と具体的な仕事内容を確認します。例えば、同じ「開発職」でも、新しい材料の研究、製品の構造設計、量産に向けた工法開発など、担当業務は異なります。
また、募集対象の専攻も参考になります。例えば、化学系の学生を材料開発職として募集する企業や、情報系の学生を組込みソフトウェア開発職として募集する企業などがあります。
ただし、幅広い専攻から採用する企業も多く、募集学科だけで仕事内容を判断することはできません。対象専攻と募集職種、具体的な仕事内容をセットで確認することが重要です。
⑤ 社員インタビューや説明会で確認する
企業サイトだけでは、自社で担当している範囲がわからないこともあります。その場合は、社員インタビューを読んだり、会社説明会や面談で質問したりする方法があります。
例えば、次のような質問が考えられます。
・製品の仕様や設計は、どこまで自社で担当していますか?
・顧客から指定された製品だけでなく、自社で開発・提案する製品もありますか?
・材料や電子回路、ソフトウェアなどは、どこまで自社で開発していますか?
・希望する職種では、研究開発から量産までのどの工程に携わりますか?
また、企業全体で幅広い技術を扱っていても、希望する事業部や配属先で同じ仕事ができるとは限りません。興味のある製品や技術がある場合は、それを担当する部署や職種まで確認しておきましょう。
まとめ
メーカーの企業研究では、扱っている製品だけでなく、その製品のどの工程を担当し、どのような技術を自社で開発しているかにも注目することが大切です。
同じ製品分野でも、研究開発や設計に強みを持つ企業、生産技術や加工技術を得意とする企業など、それぞれに特徴があります。また、BtoBメーカーでは、どの企業に何を納めているのか、顧客から指定されたものを作るのか、自社で設計・開発するのかも重要なポイントです。
製品への興味に加えて、自分が携わりたい工程や技術分野まで考えることで、より自分に合った企業や職種を探しやすくなります。
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