理系採用におけるダイレクトリクルーティングの基本|新卒採用・中途採用別に解説

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ダイレクトリクルーティングは、企業側から候補者に直接アプローチできる採用手法です。

求人を掲載して応募を待つだけでは出会いにくい人材にも接点を作れるため、新卒採用・中途採用のどちらでも活用が広がっています。一方で、スカウトを送ればすぐに応募が来るわけではありません。

この記事では、ダイレクトリクルーティングの基本的な考え方と、理系採用における新卒・中途で押さえておきたいポイントを解説します。

ダイレクトリクルーティングとは

ダイレクトリクルーティングとは、企業が候補者に対して直接アプローチする採用手法です。

 

求人媒体では、求人を掲載した後は、基本的に求職者からの応募を待つ形になります。人材紹介の場合も、紹介会社から候補者を紹介されるのを待つ場面が多くなります。一方で、ダイレクトリクルーティングでは、企業がスカウトサービスやデータベースなどを活用し、自社に合いそうな候補者を探して直接声をかけます。いわゆる「待つ採用」ではなく、企業側から接点を作る採用手法です。

 

ただし、単に多くの候補者へスカウトを送れば成果が出るわけではありません。候補者の選定、スカウト文面、返信後の対応、面談設計、振り返りまで含めて運用する必要があります。

特に理系採用では、専攻分野、研究内容、技術経験、開発領域などを見ながら候補者へアプローチできる点が特徴です。機械系、電気電子系、IT系、化学系など、採用したい分野が明確な場合、その分野に沿った専門性を持つ候補者に対して、企業側から接点を作れることは大きなメリットです。

 

一方で、候補者側も複数の企業からスカウトを受け取っている可能性があり、「なぜ声をかけたのか」「自社のどのような点が候補者と合うのか」を具体的に伝えることが重要です。

 

理系人材を取り巻くスカウト環境

理系人材の採用ニーズは高く、新卒・中途を問わず、ダイレクトリクルーティングに取り組む企業は都市部から地方まで年々増加しています。求人倍率が高まり、売り手市場の傾向が続く中で、企業は求人を掲載して応募を待つだけでなく、自社に合いそうな候補者へ直接アプローチする必要性が高まっています。

 

一方で、企業側が「ぜひ会いたい」と思う候補者ほど、複数の企業からも同じようにスカウトを受け取っている可能性があります。そのため単にスカウトを送るだけでなく、候補者が数あるスカウトの中から「少し話を聞いてみたい」と感じる理由を作る必要があります。

 

■スカウトの記載内容(一例)

・なぜその候補者に声をかけたのか
・候補者の専攻や経験が、どの仕事とつながるのか
・他社ではなく、自社で働くことでどのような経験ができるのか
・面談でどのような話ができるのか
・スカウト経由で面談や選考に進むメリットはあるのか

 

このような情報がないと、スカウトは他社のメッセージの中に埋もれてしまいます。

 

また、送信数だけを増やしても、誰にでも当てはまる文面だと反応に繋がりにくいです。特に理系人材はスカウトを複数受け取る傾向から、テンプレや一括配信だとすぐに気づくことも多いです。一定の送信数を確保しながらも、候補者に合わせた個別性を担保することが重要です。

 

ダイレクトリクルーティングの基本的な流れ

ダイレクトリクルーティングは、スカウトを送る前の準備から、返信後の対応、振り返りまでを含めた採用活動です。

 

■基本的な流れについて

・採用したい人物像を整理する
・候補者を検索・選定する
・スカウトに添付する求人を作成する
・スカウト文面を作成する
・候補者にメッセージを送る
・返信後、面談や選考につなげる
・結果を振り返り、改善する

 

最初に重要なのは、採用したい人物像を明確にすることです。どのような専攻、経験、スキル、志向性を持つ人に声をかけるのかが曖昧だと、検索条件もスカウト文面もぶれてしまいます。

 

■採用要件整理において確認したいこと

・募集職種
・必要な専攻や経験
・必須条件と歓迎条件
・入社後に任せたい業務
・候補者に訴求できる魅力
・どのような志向性の人に合うか

 

特に大切なのは、必須条件と歓迎条件を分けることです。例えば、メーカー採用で「〇〇製品の設計経験」「CATIA V5の使用経験」「TOEIC 600点以上」、ITエンジニア採用で「Python」「機械学習」「リーダー・マネジメント経験」などをすべて必須にしてしまうと、対象者が極端に少なくなる場合があります。

 

仮に検索でヒットしたとしても、そのような候補者には大手企業を含む他社も優先的にスカウトを送っている可能性があります。条件を高く設定しすぎるほど、候補者の数が減るだけでなく、採用競争も激しくなります。本当に入社時点で必要な条件なのか、入社後に育成できる条件なのかなどの整理は、スカウトの成果をも左右します。

 

■候補者へ特に伝えたいこと

さらに、ダイレクトリクルーティングでは、候補者に何を伝えるかも重要です。同じ求人でも、候補者の志向性によって響くポイントは変わるため、自社の全てを広く伝えるだけでなく、その候補者に合った文面を届けることも重要です

 

技術を深めたい人であれば、技術領域、開発環境、研究開発体制を伝える。裁量を持ちたい人であれば、任される業務範囲、上流工程への関わり方を伝える。社会貢献性を重視する人であれば製品やサービスがどの課題を解決しているかを伝えるなど、「自社の魅力をすべて伝える」のではなく、「その候補者にとって魅力になりそうな情報を選んで伝える」ことが大切です。

 

なお、スカウト文はすべてを一から作る必要はありません。会社紹介や求人概要、面談案内などはテンプレート化しつつ、候補者ごとに「どこに注目したのか」「なぜ自社と合うと感じたのか」を部分的にカスタマイズすることで、効率と個別性を両立しやすくなります。

 

新卒採用で押さえたいポイント

新卒採用におけるダイレクトリクルーティングでは、学生のプロフィールや専攻、学習・研究内容、ガクチカ、志向性などを見ながらスカウトを送ります。

 

特に理系新卒採用では、機械、電気電子、情報、化学、生物、土木建築など、自社の求める専攻分野に絞り、企業側から対象となる理系学生にアプローチできる点は大きなメリットとなります。

 

一方で、新卒向けでは、学生がまだ企業・業界・職種を深く理解していないことを前提にする必要があります。例えば、学生は「メーカーに興味がある」「ITに興味がある」と考えていても、実際の職種や仕事内容までは十分に理解できていないことがあります。機械設計、生産技術、品質保証、組み込み開発、インフラ、データ分析など、それぞれの違いを明確に理解している学生ばかりではありません。

 

そのため、新卒向けのスカウトでは、以下のような情報を分かりやすく伝えることが重要です。

 

・どの専攻や研究内容と相性があるのか
・入社後にどのような仕事をするのか
・学生時代の学びがどう活かせるのか
・若手のうちにどのような経験ができるのか
・なぜその学生に声をかけたのか

 

特に重要なのは、「あなたのプロフィールのどこを見て声をかけたのか」を伝えることです。「〇〇工学専攻の方を募集しています」といった書き方だけでは、学生側から見ると一斉送信に近い印象になりやすくなります。専攻名に触れるだけでなく、学び・関心領域・自社の職種をつなげて伝えることで、個別性が出やすくなります。

 

【伝え方の例】

「〇〇大学で機械工学を専攻され、材料力学や設計演習に取り組まれている点を拝見しました。当社では、産業機器向けの機械設計職を募集しており、構造設計や強度検討の知識を活かせる可能性があると感じ、スカウトいたしました。」

「〇〇大学で電気電子工学を専攻され、回路・制御に関心をお持ちの点を拝見しました。当社の開発職では、〇〇装置の制御設計や評価にも関わるため、学ばれている領域と親和性があると感じています。」

 

このように、単に専攻名を書くのではなく、「何を学んでいる点に注目したのか」「自社のどの仕事とつながるのか」まで書くことで、学生にとっても自分ごととして受け取りやすくなります。

 

また、新卒採用では、いきなり選考へ誘導するよりも、カジュアル面談、説明会、社員座談会など、企業理解を深める接点につなげる方が自然な場合もあります。まずは知られていないことを前提に、自社の認知・理解を深め、興味喚起を促していくことも一つの手段です。

 

■学生のプロフィール内容が薄い場合の考え方

新卒採用では、学生のプロフィール内容が十分に入力されていないこともあります。特に就活初期の段階では、大学名や専攻だけが記載されており、研究内容や経験、希望職種などが詳しく分からないケースも少なくありません。

 

その場合、「プロフィールが薄いから送れない」と考えるのではなく、分かっている情報から仮説を立ててアプローチすることも1つの手段です。例えば、大学や専攻が分かる場合は、以下のような切り口でスカウトを作成できます。

 

・同じ大学のOB・OGが自社で活躍している
・同じ専攻出身の社員が技術職として活躍している
・その専攻と相性の良い職種がある
・その学科で学ぶ内容が、自社の事業や技術領域と近い
・勤務地や働き方、職種の選択肢が学生に合いそう

 

例えば、「〇〇大学のご出身者が当社の開発職で活躍しているため、同じ理系バックグラウンドをお持ちの方にぜひ知っていただきたいと考えました」といった伝え方ができます。また、「機械系の専攻で学ばれている方には、当社の設計職や生産技術職で学びを活かせる可能性があります」といったように、専攻と職種のつながりを示すことも有効です。

 

プロフィール情報が少ない場合は、無理に個別性を出そうとして的外れなことを書くよりも、「分かっている情報をもとに、なぜ案内したいのか」を誠実に伝える方が自然です。一方で、プロフィールだけでは判断しきれない場合ほど、スカウト後の接点設計も重要になります。

 

■スカウト後の接点(一例)

・個別のカジュアル面談を案内する
・複数名を対象とした会社説明会やインターンへ案内する
・OB・OGとの座談会を案内する
・理系学生向けの社内イベント(業界研究など)を案内する 

新卒向けのダイレクトリクルーティングでは、仮説を立ててアプローチし、その後の接点で相互理解を深めていく設計が重要です。

 

中途採用で押さえたいポイント

中途採用におけるダイレクトリクルーティングでは、候補者の職務経験やスキル、転職理由、今後のキャリア志向を踏まえたアプローチが重要です。

 

新卒採用と異なり、中途候補者はすでに職務経験を持っています。そのため、「どんな会社か」だけでなく、「自分の経験がどう活かせるか」「今より良いキャリアにつながるか」を重視する傾向があります。

 

■中途向けの重要ポイント

・これまでの経験がどの業務に活かせるのか
・現職との違いは何か
・任される役割や裁量はどの程度か
・年収や働き方、評価制度はどうなっているか
・今後どのようなキャリアが描けるか

 

特に中途採用では、「なぜ自分に声をかけたのか」が曖昧だと返信につながりにくくなります。例えば、「ご経験を拝見しました」だけでは、候補者から見ると何に関心を持たれたのかが分かりません。これまでの経験、担当工程、使用技術、自社の仕事内容を結びつけて伝えることが重要です。

 

【伝え方の例】

「〇〇業界向けの業務システム開発において、要件定義から実装・運用改善まで一貫して担当されている点を拝見しました。当社でも、製造業向けの基幹システム開発において、顧客課題の整理から改善提案まで関わるポジションがあり、ご経験と親和性があると感じています。」「組み込みソフトウェア開発において、C言語での制御開発や評価まで担当されている点を拝見しました。当社では、〇〇機器の制御ソフト開発を行っており、仕様検討から実装、評価まで一貫して関われる環境があります。」「機械設計職として、構想設計から詳細設計、試作評価まで担当されているご経験を拝見しました。当社の〇〇製品開発でも、既存製品の改良だけでなく、新規仕様の検討や量産化に向けた設計にも関わっていただく可能性があります。」このように、候補者の経歴をただ褒めるのではなく、「その経験が自社のどの業務にどう活きるのか」まで示すことで、候補者にとって話を聞く理由が生まれやすくなります。

 

また、中途候補者の中には、すぐに転職を考えていない潜在層も多くいます。その場合、いきなり応募を求めるのではなく、まずは情報交換やカジュアル面談として接点を作る方が有効です。中途採用では、現職での不満や転職理由が明確な候補者もいれば、良い機会があれば話を聞きたいという段階の候補者もいます。

 

そのため、スカウト文面でも、選考への誘導だけでなく、以下のような接点を用意すると反応しやすくなることがあります。

 

■スカウト後の接点(一例)

・まずは情報交換として話す
・現場社員と技術的な話ができる場を用意する
・現在の経験が活かせるポジションを個別に説明する
・転職意欲に関わらず、キャリア相談に近い面談を案内する

 

中途採用におけるダイレクトリクルーティングは、短期的な応募獲得だけでなく、候補者との関係構築の手段として考えることも大切です。

 

返信後の対応で押さえたいこと

ダイレクトリクルーティングでは、スカウトを送ることだけでなく、返信後の対応も重要です。企業側から声をかけたにもかかわらず、返信後の対応が遅いと、候補者の温度感は下がってしまいます。特に候補者は複数社とやり取りしていることも多いため、スピーディで丁寧な対応が求められます。

 

返信があったら、まずはお礼を伝え、次のアクションを分かりやすく案内します。

 

・返信へのお礼
・面談候補日の提示
・面談の目的
・当日話す内容
・参加者

 

また、スカウト文で伝えた内容と、返信後の案内に一貫性を持たせることも重要です。例えば、「まずは情報交換」と伝えていたにもかかわらず、返信後すぐに正式応募や選考書類の提出を求めると、候補者に違和感を与える場合があります。

 

ダイレクトリクルーティングでは、候補者側が最初から強い志望度を持っているとは限りません。企業側から声をかけているからこそ、返信後は相手の温度感に合わせて、丁寧に次の接点へつなげることが大切です。

特に理系採用では、候補者が知りたい情報に合わせて、採用担当者だけでなく現場社員や技術職の社員を巻き込むことも有効です。仕事内容や技術環境、開発体制などを具体的に伝えられる人がいることで、候補者の理解は深まりやすくなります。

 

また、返信後の対応も含めて、結果を簡単に振り返ることが重要です。送信数、返信率、面談設定率などを確認することで、どの段階で改善が必要かが見えやすくなります。

 

スカウト文から返信対応まで一貫して設計することで、候補者に安心感を持ってもらいやすくなります。

 

まとめ

ダイレクトリクルーティングは、企業が候補者へ直接アプローチできる採用手法です。

 

求人を出して応募を待つだけでは出会いにくい人材にも接点を作れるため、新卒採用・中途採用のどちらでも有効な手段になります。一方で、スカウトを送るだけで成果が出るわけではありません。採用したい人物像を明確にし、候補者に合わせて訴求内容を変え、返信後の対応まで丁寧に行う必要があります。

 

■新卒採用の場合

専攻や研究内容と仕事のつながりを分かりやすく伝えることが重要です。プロフィール内容が薄い場合でも、大学や専攻、OB・OGの活躍事例など、分かっている情報から仮説を立ててアプローチできます。

 

■中途採用の場合

これまでの経験がどの業務に活かせるのか、入社後にどのような役割やキャリアがあるのかを具体的に伝えることが求められます。

 

ダイレクトリクルーティングは、単なるスカウト配信ではありません。候補者との接点を作り、相互理解を深め、自社に合う人材と出会うための採用活動です。基礎を押さえたうえで、新卒・中途それぞれに合った運用を行うことが、成果につながります。

 

■関連情報

【企業様向け】

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