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2026年5月2日(更新:2026年5月4日)
理系新卒採用において、大学訪問は有効な採用手法の一つです。
一方で、「大学訪問が良いと聞くが、何をすればよいか分からない」「キャリアセンターに求人票を出しているが、成果につながらない」と感じている採用担当者も少なくありません。
特に理系採用では、大学全体だけでなく、学科や研究室との接点づくりも重要になります。この記事では、理系新卒採用における大学訪問の基本から、訪問先ごとの違い、成果に繋げるためのポイントなど解説します。
目次
理系新卒採用で大学訪問が重要な背景
理系採用は売り手市場の傾向が続いており、採用難易度は年々高まっています。
その背景として、以下のような変化があります。
・就職活動の早期化・長期化
・学生の就活手段の多様化
・接触する企業数の増加
こうした状況から、単にナビサイトに求人を掲載するだけでは、学生に認知されにくくなっています。
また、理系学生の中には、学内求人や推薦を中心に就職活動を完結させるケースもあり、人材企業のサービスだけでは接点を持てない層も一定数存在します。こうした取りこぼしを防ぐという意味でも、大学訪問は重要な手段の一つです。
さらに、大学訪問は媒体掲載や人材紹介と異なり、基本的に費用をかけずに実施できる点も特徴です。近年は理系採用の単価が高騰しており、外部サービスに依存するとコストが上がり続けるという課題もあります。その中で、自社で直接接点を作れる施策として価値も高まっています。
大学訪問を通じて早期から接点を持ち、継続的に情報を届けることは、自社を認知してもらううえで有効な手段の一つです。
訪問する大学の選び方
大学訪問は、やみくもに数を増やせばよいものではありません。大学名だけで判断するのではなく、自社が採用したい職種や専攻分野との相性をもとに選定することが重要です。
まず整理すべきは、自社が採用したい学生像です。
・どの職種で採用したいのか
・どの専攻分野の学生か(機械・電気電子・情報など)
・どのようなキャリアを想定しているのか
この軸が曖昧なままでは、訪問先の選定もぶれてしまいます。その上で、最初の候補として有効なのが、OB・OGが在籍している大学です。自校の卒業生が活躍している企業は、大学側にとっても安心材料になります。
「〇〇大学出身の社員が現在も活躍しているため、今後も接点を持たせていただきたい」といった形で伝えることで、初回訪問でも話を進めやすくなります。
また、可能であればOB・OGに同行してもらうことも有効です。採用担当者だけでなく、実際にその大学を卒業した社員が仕事内容や入社後の経験を話すことで、大学側も学生に案内しやすくなります。
大学訪問における主な訪問先
大学訪問の主な訪問先は、主に「キャリアセンター」「学科ごとの就職担当教員」「研究室」の3つです。
■キャリアセンター(就職課)
キャリアセンターは、大学全体の就職支援を担う窓口です。就職課、キャリア支援課など名称は大学によって異なりますが、学生の就職相談、求人票の管理、学内合同説明会の企画、就活講座の実施などを担当しています。
キャリアセンターへ訪問する主な目的は、大学全体に向けて自社の求人やインターンシップ情報を届けることです。求人票の提出、大学ポータルへの掲載、学内合同説明会への参加相談、業界研究セミナーの案内などが代表的です。
メリットは、学部・学科を問わず広く情報を届けられる点です。大学全体の就職傾向や学生の動き、学内イベントの時期なども把握しやすくなります。初めて訪問する大学であれば、まずキャリアセンターに相談することで、その大学の就職支援体制を理解しやすくなります。
一方で、キャリアセンターは全学部・全学科を対象にしているため、個別の専攻分野に深く入り込んだ対応は難しい場合があります。「機械系の学生に届けたい」「情報系の中でも組み込み志向の学生に届けたい」など、ターゲットが明確な場合は、キャリアセンターだけでは十分に届かないこともあります。
■学科ごとの就職担当教員
次に重要なのが、学科ごとの就職担当教員です。理系の大学では、機械工学科、電気電子工学科、情報工学科、応用化学科など、学科ごとに就職担当の教員が配置されていることがあります。
担当者は教授や准教授などの大学教員が務めることが多く、大学によっては毎年固定の場合もあれば、1〜2年ごとに交代する場合もあります。学科内の求人情報の管理、学生への就職指導、推薦応募の調整、企業との窓口対応などを担っているケースもあります。
キャリアセンターが大学全体を見ているのに対し、就職担当教員は特定の学科の学生とより近い距離にいます。そのため、理系採用では、キャリアセンターだけでなく就職担当教員との関係構築が重要になります。
就職担当教員に訪問するメリットは、特定の学科に沿った情報提供ができることです。また、学科ごとの学生の特徴や就職先の傾向を把握していることもあり、「自社がその学科の学生に合うか」「学生がどのような職種に関心を持ちやすいか」など、採用活動に役立つ情報を得られる場合もあります。
■研究室
さらに踏み込んだアプローチとして、研究室への訪問もあります。理系学生は、学部3年後半から4年、あるいは大学院で研究室に所属し、特定の研究テーマに取り組みます。そのため、研究室単位で学生の専門性や志向性がある程度見えやすくなります。
例えば、自動車業界で制御系の学生を採用したい場合は、エンジン制御やモビリティ研究の研究室にアプローチ。化学メーカーで材料開発に関心のある学生を採用したい場合は、高分子材料や無機材料の研究室にアプローチ、といった進め方が考えられます。
研究室訪問の大きなメリットは、採用ニーズの強い専門領域に近い学生と接点を作りやすいことです。対象は狭くなりますが、その分、自社の仕事内容と学生の研究内容が近い場合には、深い関心を持ってもらえる可能性があります。
一方で、すべての大学教員が就職支援に積極的とは限りません。研究に専念したい先生もいれば、企業との採用目的の接点に慎重な先生もいます。そのため、研究室訪問では、教員側の関心や負担にも配慮しながら進める必要があります。
コンタクトの方法
理系の場合、機械工学科や電気電子工学科など、学科ごとに大学教員(教授・准教授)が就職担当を兼務しているケースがあります。学生との距離が近く、求人管理や推薦対応にも関わるため、重要な接点の一つです。
就職担当教員は、大学ホームページの就職・キャリア関連ページに掲載されていることが多く、「大学名+学部+就職担当教員」などで検索すると、学科ごとの担当一覧を確認できる場合もあります。
コンタクトはメールが基本ですが、多忙なため見落とされることもあります。また、内容によっては優先度が低いと判断され、対応を断られるケースもあります。
そのため、電話番号が分かる場合は電話でのアプローチも有効です。番号が見当たらない場合でも、大学の代表番号に連絡し、「〇〇学科の〇〇先生にお繋ぎいただけますか」と依頼することで取り次いでもらえることが一般的です。
連絡時は、単にアポイントを依頼するだけでなく、自社の概要に加え、「学科の学生にどのような情報を届けたいのか」「どのような形で関わりたいのか」といった目的まで明確に伝えることが重要です。
大学訪問前に準備すべきこと
大学訪問で成果が出るかどうかは、訪問前の準備で大きく変わります。採用担当者が大学に訪問しても、説明が抽象的だったり、自社がどの学生に合うのかを言語化できていなかったりすると、大学側も学生に紹介しにくくなります。
特に理系採用では、仕事内容を学生の専攻や研究内容と結びつけて説明できるかが重要です。「技術職を募集しています」「開発職があります」といった表現だけでは、どの学科の学生に案内すべきか判断しにくくなります。
訪問前の準備は、大きく「自社の整理」と「訪問先の理解」に分けて考えると整理しやすくなります。
■自社について
単なる会社紹介ではなく、「どの学生にとって意味のある企業か」を言語化することが重要です。
・会社概要(事業内容・立ち位置)
・募集職種
・推薦募集の有無
・仕事内容(できるだけ詳細に)
・対象となる専攻分野(機械、電気電子、情報など)
・OB・OGの在籍状況
・過去の採用実績
・学生に伝えたい自社の魅力
特に就職担当教員や研究室への訪問では、「仕事内容の具体性」が重要になります。専門分野に精通した教員だからこそ、業務内容や技術領域について深く質問されることも多く、採用担当者がどこまで理解しているかが信頼にも直結します。
■訪問先について
訪問先の大学についての理解も欠かせません。事前に調べておくことで、会話の具体性が大きく変わります。
・学部・学科の構成
・就職実績や就職傾向
・(教授・准教授の場合)研究室の活動内容
・学内イベント(合同説明会・キャリア講座など)の有無
大学側から見ても、自校の事情を理解した上で訪問している企業と、どの大学にも同じ説明をしている企業では印象が大きく異なります。
また、口頭での説明だけでなく、資料を持参することも重要です。記憶に残りやすくなるだけでなく、そのまま学生へ展開してもらえる可能性もあります。大学側が学生に案内しやすい状態を作ることが、大学訪問の成果を高めるポイントです。
訪問前の準備は、自社の本気度を伝える意味でも重要です。事前にどれだけ整理できているかによって、大学側の反応やその後の関係性にも差が出てきます。
大学訪問を成果につなげるポイント
大学側は、学生にとって有益な情報を提供したいと考えています。そのため、「採用したい」だけでなく、「学生にとってどんな価値があるか」を伝えることが重要です。
■大学訪問で求められる具体性(一例)
・どの専攻の学生が合うのか
・専攻や研究内容が仕事とどうつながるのか
・どのような業務に携わるのか
・同業他社と比較した魅力
・OB、OGの採用実績や活躍事例
一方で、成果が出にくい企業には共通点があります。
■大学訪問で成果が出にくい例
・会社説明が抽象的
・採用ターゲットが曖昧
・他社との違いを言語化できていない
・大学訪問自体が目的になっている
・求人票を渡すだけで終わっている
・学部、学科へのアプローチがない
これらの対策の1つとして、「訪問のゴール」をあらかじめ決めておくことがあります。
・学内で会社説明会を実施できる状態
・学科単位での業界セミナーへの参加
・研究室単位での接点(座談会・紹介など)の創出
といったように、「どの状態で終えると良いか」を社内で揃えておくことで、大学訪問の質や効果を測りやすくなります。
大学訪問は営業活動ではありませんが、プロセスとしては営業に近い側面もあります。単に説明して終わるのではなく、「次の接点につながるかどうか」を意識することが重要です。その上で、訪問後の振り返りや改善を重ねながら、継続的に取り組んでいくことが成果につながります。
大学訪問後のフォロー
大学訪問は、訪問して終わりではありません。むしろ、訪問後のフォローによって成果が大きく変わります。
初回訪問で良い印象を持ってもらえても、その後の連絡が途切れてしまえば関係性は深まりません。学内イベントの時期や学生への案内タイミングに合わせて、継続的に接点を持つことが重要です。
訪問後は、お礼の連絡とあわせて当日の内容を簡潔に整理し、求人票や説明会案内、インターンシップ情報など、大学側が学生に共有しやすい資料を送付します。
また、採用活動の結果報告も関係構築の一つです。応募や内定、入社の有無にかかわらず共有することで、次年度以降の接点につながりやすくなります。
■大学訪問後のフォロー例
・訪問後のお礼連絡
・求人票や説明会資料の送付
・学内イベント時期の確認
・OB・OG情報の共有
・採用状況の報告
・次年度に向けた情報交換
また、初回訪問後のフォローにおいても、OB・OGの協力は効果的です。関係性ができたタイミングで、次の接点としてOB・OGを絡めた施策を提案することで、より具体的な展開につなげやすくなります。
■OB・OGも関わる施策例
・学科単位・研究室単位での座談会の実施
・学生向けの業界理解・職種理解セミナーへの登壇
・研究内容と仕事内容をつなぐキャリア紹介
同じ大学・専攻のOB・OGだからこそ、その人自身の就活体験やキャリアは後輩にとって参考になりやすく、大学教員にも受け入れられやすい施策になります。
また、「実際に働いている人の話を聞ける機会」は学生にとっても魅力的であり、大学側も案内しやすい点が特徴です。
大学訪問は単発の施策ではなく、次の接点をどう設計するかが重要です。初回訪問後のフォローまで含めて設計することで、関係性の深化と採用成果につながりやすくなります。
まとめ
大学訪問は、「やると良い」と言われる施策ではありますが、ただ訪問するだけでは成果にはつながりません。
重要なのは、キャリアセンター・就職担当教員・研究室といった訪問先の役割を理解し、自社の採用ターゲットに合わせて適切にアプローチを行うことです。特に理系採用では、学科や研究室単位での接点づくりが大きな差につながります。
また、訪問時には仕事内容の具体性や専攻との接続を明確にし、大学側が学生に紹介しやすい状態を作ることが求められます。加えて、「どの状態をゴールとするか」を事前に設計しておくことで、大学訪問の質や効果も高まりやすくなります。
そして、大学訪問は初回で完結するものではなく、フォローを含めた継続的な関係構築が前提です。OB・OGによる座談会やセミナーなど、次の接点を設計することで、より深い理解と接触機会を生み出すことができます。
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