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2026年10月12日(更新:2026年10月12日)
28卒の理系学部生や大学院生のなかには、秋冬インターンや早期選考に向けて企業研究を進めている人も多いと思います。エントリーシート(ES)や面接で志望動機・自己PRを考えるとき、「この企業はどんな人材を求めているのか」を理解することは重要です。
今回は、インターンへの参加やOB・OG訪問ではなく、採用サイトや仕事内容、社員インタビュー、技術情報、経営戦略など、公開されている情報を使って1人でも深掘りできる企業研究の方法を紹介します。
目次
「求める人物像」だけで企業研究を終わらせない
企業の採用サイトを見ると、「主体的に行動できる人」「挑戦を楽しめる人」「周囲と協力できる人」など、求める人物像が掲載されていることがあります。
もちろん、最初に確認しておきたい情報です。一方で、「主体性」「コミュニケーション能力」「チャレンジ精神」といった言葉は多くの企業で使われています。その言葉だけを見ても、その企業では具体的にどのような場面で、その力が必要になるのかまではわからないことがあります。
例えば、同じ「コミュニケーション能力」を求めている企業でも、顧客との要件定義を担当するIT企業と、設計・製造・品質保証など複数の部署と連携するメーカーでは、仕事で求められるコミュニケーションも異なります。
そこで企業研究では、採用サイトに書かれている言葉だけで判断せず、仕事内容や社員の発信、会社の今後の方向性なども確認しながら、求める人物像を具体的にしていくことが大切です。
採用ページの「求める人物像」は、多くの学生が目を通します。その先まで調べられるかどうかは、企業研究で差が出やすい部分でもあります。また、今回紹介するのは、企業の公開情報をもとに、自分1人でも進められる企業研究です。
社員インタビューや外部発信から読み解く
採用サイトの社員インタビューには、実際に働いている社員の仕事への向き合い方や、現場で重視されている考え方が表れていることがあります。
特に確認したいのが、「どんな人と一緒に働きたいか」「どんな後輩に入社してほしいか」「仕事で大切にしていること」といった社員個人のメッセージです。
例えば、複数の社員が「わからないことを自分から質問できる人」「周囲を巻き込みながら仕事を進められる人」と話していれば、自発的に学ぶ姿勢や周囲との連携が重視されている可能性があります。
また、採用サイト以外にも企業や社員が外部へ発信している情報があります。IT企業であれば、エンジニアブログ、技術イベントの登壇資料、エンジニアへのインタビュー、QiitaやZennなどの記事が検索で見つかることもあります。
こうした情報を見ると、使用している技術だけでなく、どのような課題に取り組んでいるのか、チームでどのように開発を進めているのか、エンジニアにどのような考え方が求められているのかを知る手がかりになります。
メーカーでも、研究開発の紹介、技術者インタビュー、技報、製品開発の記事、展示会や技術イベントでの発表などが公開されている場合があります。
例えば、ある製品の開発で何度も試作や検証を繰り返したことが紹介されていれば、技術力だけでなく、試行錯誤を続ける姿勢や、複数部門と連携して開発する力が必要な仕事だと考えることができます。
口コミ・評判サイトから、活躍している社員や評価されている社員の特徴を探す方法もあります。ただし、口コミには個人の主観が含まれ、部署や職種によって環境が異なることもあります。一つの投稿だけで判断するのではなく、複数の情報に共通している特徴がないかを探すくらいの使い方がおすすめです。
仕事内容や仕事の特性から必要な力を逆算する
企業が求める人物像を分析するときは、その会社で実際にどのような仕事をするのかを理解することも重要です。
まずは求人票や採用サイトから、担当する仕事内容や仕事の範囲を確認します。そのうえで、「この仕事では、普段どのような行動が求められるのか」「どのような難しさがありそうか」と考えてみます。
例えば、顧客との打ち合わせが多い仕事であれば、相手の要望を正確に聞く力や、自分の考えをわかりやすく説明する力が必要になることが想像できます。
研究開発や設計の仕事であれば、技術的な課題について仮説を立て、実験や検証を繰り返しながら解決する力が重要になるかもしれません。生産技術であれば、技術的な知識だけでなく、製造現場の人と協力しながら改善を進める力も必要になることがあります。
このように仕事内容まで確認すると、採用ページ上の言葉も理解しやすくなります。例えば、「粘り強く挑戦できる人」と書かれていた場合でも、研究開発職なら何度も実験や検証を重ねる姿勢、生産技術職なら製造現場の問題を一つずつ改善していく姿勢など、仕事によって意味は変わります。
エントリーシート(ES)の自己PRや面接で話す経験を考えるときにも、こうした仕事内容とのつながりを意識すると、企業に合った経験を選びやすくなります。
IT企業・メーカーの具体例から分析する
ここからは、IT企業とメーカーを例に、仕事内容から求められる人物像を考えてみます。
・IT企業の例:プロジェクトマネジメント・要件定義・基本設計を中心に担当する会社
例えば、システム開発の中でも、プロジェクトマネジメント、要件定義、基本設計などの上流工程を中心に担当する企業があるとします。
仕事内容を調べると、顧客との打ち合わせ、要望の整理、システムの提案、プレゼン、開発チームとの調整などを担当することがわかりました。さらに、顧客には官公庁や金融機関なども含まれているとします。
この場合、単に「人と話すことが得意」というだけではなく、相手の要望を正確に理解する力、専門的な内容をわかりやすく説明する力、根拠を整理して伝える力などが仕事で必要になることが想像できます。
そこで採用サイトを見ると、「相手の立場に立って考えられる人」「周囲と協力しながら仕事を進められる人」と書かれていたとします。ここまで確認すると、求める人物像として書かれている言葉と、実際の仕事内容がつながって見えてきます。
例えば面接で「コミュニケーション力があります」と伝える場合でも、単に人と話すことが好きという話ではなく、相手の意図を聞きながら考えを整理した経験や、複数人の意見を調整した経験の方が、この企業では仕事とのつながりを説明しやすいかもしれません。
・メーカーの例:生産技術職を募集する会社
メーカーの生産技術職では、生産ラインの設計、設備導入、生産効率の改善、不具合の原因調査などを担当することがあります。
仕事では、設備のデータを確認したり、実際の製造現場を見たりしながら、なぜ問題が発生しているのかを調べる場面があります。一度の検証で原因がわかるとは限らず、条件を変えながら何度も確認することもあります。また、設計部門や製造部門など、複数の部署と協力して改善を進める場合もあります。
この仕事内容からは、技術的な課題を分析する力、試行錯誤を続ける粘り強さ、周囲と協力する力などが必要になると考えられます。採用ページに「物事を諦めず取り組める人」「周囲と協力して行動できる人」と書かれていれば、その言葉が仕事内容とどのようにつながっているのかも理解しやすくなります。
理系学部生や大学院生であれば、実験、実習や研究活動などの経験から、その仕事につながりそうな強みを探すこともできます。
このように、仕事内容→仕事で必要になる力→企業が掲げる求める人物像という順番で確認すると、その会社が求めている人材をより具体的に考えられます。
IR資料や経営戦略から今後求められる人材を考える
上場企業を志望している場合は、IR資料も企業研究に活用できます。
中期経営計画や統合報告書などには、今後どの事業に力を入れるのか、会社がどのような課題を抱えているのか、人材育成や組織づくりをどのように進めていくのかが掲載されていることがあります。
例えば、メーカーが今後の戦略として「製造現場のDX推進」を掲げている場合、将来的にはデータ活用や新しい技術への理解、既存の業務を改善していく姿勢などが社員に求められる可能性があります。「海外事業の拡大」を掲げている企業であれば、海外拠点との連携や、異なる文化・考え方を持つ人と協力する力が重要になる可能性があります。
IT企業でも、新規事業の拡大、AI活用の強化、クラウド事業への投資など、会社がこれから力を入れようとしている領域を確認できます。
また、企業によってはIR資料で人材戦略について説明していることもあります。経営戦略としての内容がそのまま新卒採用の評価基準になるとは限りませんが、「会社がこれからどこに向かおうとしているのか」を知ることで、将来的にどのような社員が必要になるのかを考えるヒントになります。
非上場企業でも、経営者インタビュー、プレスリリース、事業に関するニュース記事、イベントでの登壇内容、SNSやYouTube動画などから会社の方向性を調べられる場合があります。企業名を検索したときに、採用サイト以外でどのような情報が公開されているのかまで確認すると、新しい発見があるかもしれません。
新卒採用では「今できるか」だけが見られるわけではない
ここまで仕事内容や経営戦略から求められる能力を分析してきましたが、注意したいことがあります。
仕事で必要になる能力と、新卒採用でそのまま求められる能力は必ずしも同じではありません。
新卒採用では、入社後に仕事を覚え、育成していくことを前提としている企業も多くあります。例えば、入社後に顧客との高度な折衝が必要になる仕事だからといって、学生の段階から高い水準のコミュニケーション能力まで求められるとは限りません。
それよりも、相手の話を理解しようとする姿勢、自分の考えを整理して伝えられるか、新しいことを素直に学べるか、入社後に成長していけそうかといった部分が見られることもあります。
メーカーの技術職でも同様です。入社後には高度な専門知識や製品知識が必要になる仕事でも、新卒採用では、研究や実験でわからないことを自分で調べた経験、失敗したあとに改善した経験、新しい分野を学んだ経験などから、学習意欲や伸びしろを見られることがあります。
つまり、外部向けに発信されている「仕事で活躍している社員の特徴」が、そのまま新卒採用で求められる人物像とは限りません。一方で、将来その仕事で活躍するために必要な能力を知ることは、新卒段階でどのような素養や姿勢が重視されそうかを考える材料になります。
「この仕事ではどんな力が必要なのか」だけで終わらず、「その力を将来身につけられそうな人には、どんな特徴があるのか」まで考えてみると、企業研究をESや面接にもつなげやすくなります。
まとめ
企業の採用サイトに掲載されている「求める人物像」は、多くの就活生が確認する情報です。一方で、仕事内容、社員インタビュー、技術的な発信、口コミ、IR資料や経営戦略まで確認すると、その会社がなぜそのような人物を求めているのかをより具体的に考えられます。
企業のことを深く理解できていると、志望動機や自己PRでも、その会社の仕事内容や方向性を踏まえて話しやすくなります。面接でも「自社のことをよく調べている」「仕事への理解が深い」と感じてもらえる可能性があります。
もちろん、応募するすべての企業について、ここまで詳しく分析するのは大変です。28卒の秋冬インターンや早期選考で複数の企業を受けている場合は、まず基本的な企業研究を行い、その中でも志望度の高い企業や、2次面接・最終面接など選考が進んだ企業について、公開されている情報をもう一歩深く調べてみてください。
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