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2026年9月22日(更新:2026年9月22日)
原子力と聞くと、まず原子力発電所を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、発電だけでなく、燃料、廃炉、安全管理、研究開発など、その周辺にさまざまな仕事があります。
今回は、いま原子力を取り巻く動きとともに、この分野に関わる仕事や企業、大学での学びを見ていきます。
目次
いま、原子力を取り巻く環境はどうなっている?
原子力は、ここ数年あらためて動きの大きい分野になっています。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーと原子力をともに最大限活用していく方針が示されました。さらに2026年4月には、経済産業省が次世代革新炉開発ロードマップを公表しています。
一方で、福島第一原子力発電所では長期にわたる廃炉が続いています。また、青森県六ヶ所村では使用済燃料を扱う再処理工場の竣工に向けた取り組みが進められています。
つまり現在の日本では、「既存の原発を動かす」「廃炉を進める」「燃料を循環させる」「次の原子炉を開発する」といった異なるプロジェクトが同時に進んでいます。ニュースでは「原発の再稼働」が注目されることも多いですが、実際の原子力産業を見ると、その周辺にはもっと広い仕事があります。
原子力の仕事は、発電所の中だけではない
原子力発電所は、一つの巨大な設備です。原子炉だけでなく、配管、ポンプ、タービン、発電機、電気設備、計測機器、制御システムなど、多数の機器が組み合わさっています。
そのため、原子力に関わる仕事も一つではありません。設備を設計する人、発電所を運転する人、機器を点検する人、放射線を測定する人、材料や水質を分析する人など、さまざまな技術者が関わっています。
さらに視野を広げると、発電に使用する燃料をつくる仕事、使用済燃料を扱う仕事、放射性廃棄物を管理する仕事、運転を終えた原発を廃炉にする仕事などもあります。
原子力の仕事は、「原発で電気をつくる仕事」だけではなく、その前後まで含めた長い流れの中にあります。
日本原燃、日本原子力発電など原子力を支える企業
原子力に関わる企業というと、東京電力や関西電力などの電力会社を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、原子力を中心に事業を展開する企業もあります。その一つが、青森県六ヶ所村を中心に事業を行う日本原燃です。日本原燃は、ウラン濃縮、使用済燃料の再処理、低レベル放射性廃棄物の埋設、高レベル放射性廃棄物の貯蔵管理、MOX燃料の製造など、原子燃料サイクルに関わる施設を運営しています。
六ヶ所再処理工場は2026年度中の竣工を予定しており、2026年7月末時点で総合工事進捗率は約99%となっています。発電所そのものとは違う場所で、原子力発電を成り立たせる重要な仕事が行われています。
また、日本原子力発電という会社もあります。名前の通り原子力発電を中心とする企業で、茨城県の東海発電所・東海第二発電所、福井県の敦賀発電所などに拠点を持っています。一般的な地域電力会社とは少し異なり、原子力を専門とする企業が存在することも、この業界の特徴の一つです。
さらに、原子力プラントや設備をつくる三菱重工業、日立GEニュークリア・エナジー、東芝エネルギーシステムズなどのメーカーや、研究開発を担うJAEA(日本原子力研究開発機構)など、多くの企業・組織が関わっています。
原子力産業は、電力会社だけで完結しているわけではありません。
廃炉や次世代炉でも新しい技術が使われている
現在の原子力分野を知るうえで、廃炉も外せません。特に福島第一原子力発電所の廃炉では、人が容易に立ち入ることのできない場所で作業する必要があります。
そこで使われるのが、ロボットや遠隔操作技術です。JAEA(日本原子力研究開発機構)の楢葉遠隔技術開発センターでは、福島第一原発の廃炉を進めるため、遠隔操作機器やロボットの開発・実証を行える環境が整備されています。実際の現場を想定したモックアップ設備やVRなども活用されています。
原子力と聞いてロボティクスを思い浮かべる人は少ないかもしれませんが、廃炉の現場では重要な技術の一つです。その一方で、「これからの原子炉」をつくる研究も進んでいます。
2026年に公表された次世代革新炉開発ロードマップでは、革新軽水炉、高速炉、高温ガス炉など、複数の技術について今後の開発の方向性が整理されています。原子力分野には、現在ある設備を安全に使い続ける仕事だけでなく、廃炉を進める仕事や、次の技術を研究する仕事もあります。
原子力専門でなくても関われる
ここまで見ると、「原子力について専門的に勉強していないと働けないのでは」と感じるかもしれません。もちろん、大学で原子力工学や放射線について専門的に学び、その知識を活かして働く人もいます。
しかし、実際の原子力施設はさまざまな技術の集合体です。例えば機械系で学ぶ熱流体、材料力学、構造解析などは、原子炉や配管、ポンプなどの設計・解析につながります。電気電子系であれば、電源設備や計測・制御システムなどがあります。
化学系では水質管理や燃料、放射性物質の分析などとの接点があり、材料系では高温や放射線など特殊な環境で使用される材料の研究があります。さらに、廃炉ではロボットや画像処理、シミュレーションなども活用されるため、情報系や制御系の技術が関わる場面もあります。
原子力を専門に学ぶ道もありますが、機械、電気電子、化学、材料、物理、情報など、それぞれの専門を入口として原子力分野に進むこともできます。原子力は、一つの専門だけで成り立つ分野ではありません。
大学では原子力をどう学ぶ?
大学段階から原子力や放射線を専門的に学べる環境もあります。
例えば福井工業大学には、工学部 原子力技術応用工学科があります。原子力工学コースと放射線応用コースがあり、数学、物理、化学、放射線などの基礎から原子力・放射線技術を学びます。
「原子力」を冠した学科を持つ大学は国内でわずか2校で、もう1校が東京都市大学の理工学部 原子力安全工学科です。東京都市大学では、原子力工学や放射線、安全工学などを学べるほか、大学院では早稲田大学と共同で「共同原子力専攻」を設置しています。
このように、原子力の学び方にも一つの形だけではありません。原子炉そのものを学ぶ大学もあれば、放射線、環境、安全、エネルギーなど異なる視点から研究する大学もあります。そして先ほど触れた通り、原子力分野で働くために、必ずしも大学で原子力を専攻している必要があるわけでもありません。
まとめ
原子力という言葉から最初に思い浮かぶのは、原子力発電所かもしれません。しかし実際には、発電所の設計や運転だけでなく、燃料、放射線管理、再処理、廃炉、ロボット、次世代炉の研究など、幅広い仕事があります。
日本原燃や日本原子力発電のように原子力を中心に事業を展開する企業もあり、JAEAのような研究機関もこの分野を支えています。また、原子力を専門的に学ぶ道がある一方で、機械、電気電子、化学、材料、物理、情報などを学んだ人が、その専門を活かして原子力の仕事に関わることもあります。
ニュースで目にする機会の多い原子力ですが、その裏側にどのような技術や仕事があるのかを知ると、また違った見え方ができる分野です。
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