理系採用にAI面接は有効?新卒・中途採用でのメリット・デメリットと候補者体験への注意点

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AI面接は、理系の新卒採用・中途採用において、採用工数の削減や選考品質の平準化につながる可能性があります。

一方で、導入目的が曖昧なまま活用すると、候補者体験の悪化や選考歩留まりの低下につながることもあります。本記事では、AI面接に関心のある方、導入を検討している人事担当者向けに、理系採用におけるメリット・デメリットと導入前に考えるべきポイントを解説します。

AI面接とは

AI面接とは、候補者がWeb上で質問に回答し、その回答内容をAIが分析・評価する面接手法です。

 

近年、採用活動の効率化や面接評価の平準化を目的に、新卒採用・中途採用の両方でAI面接ツールの導入を検討する企業が増えています。AI面接の形式には、録画回答型、テキスト回答型、AIとの対話型、録画内容をAIが解析するタイプなどがあります。

 

多くのAI面接サービスでは、AIによる評価結果だけでなく、候補者の回答内容や録画を後から確認することができます。そのため、AIの評価をそのまま合否に使うだけでなく、面接前の参考情報として活用することも可能です。

 

ただし、AI面接は導入すること自体が目的になってしまうと、効果を発揮しません。自社の採用課題に対して、どの選考工程で、何を確認するために使うのかを整理したうえで検討することが大切です。

 

AI面接が注目される背景

昨今の理系採用では、候補者の専門性や志向性が多様化しており、一人ひとり見極めるべきポイントが異なります。

 

新卒採用では、機械、電気電子、情報、化学、建築、数理など、学生の専門分野はさまざまです。同じ理系学生であっても、研究内容、学んできた分野、興味のある業界、希望職種は大きく異なります。

 

中途採用でも、同じエンジニア職であっても、担当工程、使用技術、開発環境、プロジェクト規模、顧客折衝の有無、マネジメント経験などによって、評価すべきポイントは変わります。

 

一方で、面接官の時間・工数には限りがあります。応募書類だけでは判断しきれない候補者を、企業によっては学歴や就業期間などの表面的な情報だけで見送りにしてしまうケースもあります。また、理系学生は研究室、実験・実習などで忙しく、中途人材も現職の業務があるため、面接日程の調整が難しい場合があります。

 

こうした背景から、面接前の情報収集、初期選考の効率化、評価観点の統一を目的に、AI面接が注目されています。

 

理系採用でAI面接を導入するメリット

AI面接を導入するメリットは、主に以下の4つです。

 

1. 採用担当者の工数を削減しやすい

AI面接を導入する大きなメリットは、採用担当者の工数を削減しやすいことです。

 

通常の面接では、候補者ごとに日程調整を行い、面接官をアサインし、面接時間を確保する必要があります。応募者数が多い新卒採用やインターンシップ選考では、面接の調整・実施だけでも大きな負担になります。

 

AI面接を活用すれば、候補者は都合の良いタイミングで回答できます。企業側も、回答内容を後から確認できるため、日程調整の負担を抑えながら候補者の情報を把握しやすくなります。特に、初期選考や応募者が多いポジションでは、採用活動の効率化に繋がります。

 

2. 面接前に候補者の情報を把握できる

AI面接は、人事・現場担当者の面接前における情報収集としても活用できます。

 

新卒採用であれば、研究内容、学生時代に力を入れたこと、志望理由、希望職種などを事前に確認できます。中途採用であれば、これまでの担当業務、使用技術、転職理由、今後のキャリア志向などを把握できます。質問内容も設定できるので、自社にとって欠かせない情報を質問として盛り込むことも可能です。

 

事前に候補者の回答を確認しておくことで、人が会う面接では基本情報の確認に時間を使うのではなく、より深い質問に時間を使いやすくなります。たとえば、研究内容を事前に説明してもらったうえで、面接では「なぜそのテーマに取り組んだのか」「どのような課題があり、どう乗り越えたのか」を深掘りできます。

 

中途採用でも、職務経歴書だけでは見えにくい担当範囲や課題解決のプロセスを確認するきっかけになります。

 

3. 評価観点を揃えやすい

評価観点を揃えやすいことも、AI面接のメリットです。

 

人による面接では、面接官ごとに質問内容や評価基準が異なることがあります。ある面接官はコミュニケーション力を重視し、別の面接官は技術経験を重視するなど、評価の観点が揃っていないと、候補者を公平に比較しにくくなります。

 

AI面接では、あらかじめ設定した質問に沿って候補者が回答するため、一定の観点で比較しやすくなります。

 

4. 多忙な理系学生や中途人材と接点を持ちやすい

実験・研究で忙しい理系学生、仕事で多忙な中途人材と接点を持ちやすい点も、理系採用では重要です。

 

理系学生は、研究室、実験、授業などの都合で、平日日中の面接に参加しづらい場合があります。中途人材も、現職の業務が忙しく、何度も日程調整を行うことが負担になるケースがあります。

 

AI面接であれば、候補者が都合の良い時間に回答できるため、初回接点のハードルを下げやすくなります。特に、地方大学の学生や、まだ転職活動を本格化していない理系人材に対しては、選考参加の負担を軽くできる可能性があります。

 

理系採用でAI面接を導入するデメリット・注意点

AI面接にはメリットがある一方で、導入前に理解しておきたいデメリットや注意点もあります。

 

1. 面接中にアトラクトがしにくい

AI面接の大きなデメリットは、面接中に企業の魅力を伝えるアトラクトがしにくいことです。

 

通常の面接であれば、候補者の関心や不安に合わせて、事業内容、仕事内容、開発環境、キャリアパス、社風などを伝えることができます。たとえば、学生が「自分の専攻を活かせるか不安」と感じている場合、面接官が具体的な配属例や若手社員の活躍事例を伝えることで、志望度が高まることがあります。

 

中途採用でも、候補者の希望に合わせて、技術スタック、裁量、働き方、評価制度、プロジェクト内容を説明することで、入社意欲を高められる可能性があります。

 

しかしAI面接では、基本的に候補者が一方的に回答する形式になりやすく、企業側からその場で魅力づけを行うことができません。

 

2. 候補者体験が悪くなる可能性がある

AI面接は便利な一方で、候補者によっては「機械的に判断されている」と感じることがあります。

 

特に、AI面接を最近知った企業が、流行に乗る形でそのまま導入してしまうと、候補者体験が悪化する可能性があります。たとえば、目的が候補者に説明されていない、質問内容が一般的すぎて理系との関連が薄い、会社の魅力を知る機会がない、慣れない形式で手応えを感じられない、などのケースです。

 

このような状態では、候補者が不安や不信感を持ちやすくなります。結果として、途中辞退や選考離脱が増え、歩留まりが悪化する可能性もあります。

 

AI面接を導入する場合は、「なぜ実施するのか」「どのように選考に活用するのか」「AIだけで判断するのか、人も確認するのか」を候補者にわかりやすく伝えることが大切です。

 

3. 専門性を正確に判断しきれない場合がある

専門性を正確に判断しきれない場合がある点にも注意が必要です。

 

理系採用では、専門領域の違いが大きいため、AI面接だけで正確に判断するのは難しい場合があります。たとえば、同じメーカー技術職でも、研究、設計、生産技術、品質保証では求められる経験や資質が異なります。情報系でも、Web開発、インフラ、データ分析、社内SEでは評価ポイントが変わります。

 

AI面接で候補者が一定の回答をしていたとしても、その経験が自社の業務に合っているかは、人事や現場担当者が確認する必要があります。

 

4. 回答のうまさに評価が寄りすぎる可能性がある

AI面接では、候補者の話し方や回答の構成が評価に影響しやすくなります。

 

そのため、実力があっても面接で話すことが苦手な学生や、研究内容をまだうまく言語化できていない学生が不利になる可能性があります。こうした学生は、人による面接で深掘りされることで、強みや専門性の高さが引き出される場合もあります。

 

理系人材の中には、自己PRは得意ではないものの、実験、設計、解析、開発、改善活動などで力を発揮する人もいます。

 

AI面接を導入する前に整理したいこと

AI面接は、ただ導入するだけでは効果が出ません。「最近よく聞くから」「他社も使っていそうだから」という理由だけで導入すると、候補者にとっては負担が増えるだけになる可能性があります。

 

導入前には、主に以下の3つを整理しておくことが重要です。

 

1. AI面接で解決したい採用課題を明確にする

まず整理したいのは、自社がAI面接で何を解決したいのかです。

 

たとえば、応募者数が多く一次選考の工数を削減したいのか、面接前に候補者の志望度や経験を把握したいのか、面接官ごとの評価のばらつきを抑えたいのか、地方学生や多忙な候補者の選考参加ハードルを下げたいのか、面接当日の深掘り質問の質を上げたいのか。

 

目的によって、AI面接を入れるべき選考工程や、候補者に聞くべき質問は変わります。導入目的が曖昧なままだと、候補者にとっては「なぜAI面接を受ける必要があるのか」が分かりにくくなります。

 

結果として、流行に乗っただけの施策になり、候補者体験の悪化や歩留まり低下につながる可能性があります。

 

2. 新卒採用と中途採用で確認する内容を分ける

理系新卒採用では、ポテンシャルを見極めることが中心になります。そのため、AI面接では、研究への取り組み方、課題解決の姿勢、学習意欲、チームでの経験などを確認する設計が向いています。

 

一方、中途採用では、職務経歴書だけでは見えにくい実務経験を確認することが重要です。担当工程、使用技術、課題解決経験、チームでの役割、今後のキャリア志向などを事前に確認しておくことで、現場面接で深掘りしやすくなります。

 

3. 候補者への説明を丁寧に行う

AI面接を導入する場合は、候補者に対する説明も重要です。候補者にとって、AI面接はまだ慣れない選考形式である場合があります。

 

特に新卒採用では、AI面接そのものに不安を感じる学生も多いです。そのため、AI面接を実施する目的、回答にかかる目安時間、選考での活用方法、人事や面接官が確認する範囲、次の選考案内の流れなどを事前に伝えておくことが大切です。

 

説明が不足すると、候補者は「AIだけで判断されるのではないか」「録画をどのように見られるのか」「回答後に何が起こるのか」といった不安を持ちやすくなります。

 

まとめ

AI面接は、理系の新卒採用・中途採用において、採用工数の削減や面接前の情報収集に役立つ手段です。一方で、面接中にアトラクトがしにくいこと、候補者に機械的な印象を与えること、専門性を十分に判断しきれないことなどには注意が必要です。

 

流行に乗る形でただ導入するだけでは、候補者体験の悪化や選考歩留まりの低下につながる可能性もあります。まずは自社の採用課題を整理し、どの選考工程で、何を確認するために使うのかを明確にすることが大切です。

 

課題によっては、AI面接よりも選考フローの見直し、面接トレーニング、評価基準の言語化を優先した方が良い場合もあります。手段にとらわれず、自社の採用課題と候補者体験の両方を踏まえて、AI面接を活用するかどうか判断しましょう。

 

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