就活早期化で変わるインターンシップ設計。三菱地所・富士通の動きから学ぶ理系採用の接点づくり

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就職活動の早期化が進む中で、インターンシップのあり方を見直す企業が出てきています。三菱地所のようにインターンシップを廃止する企業がある一方で、富士通のように短期型から長期有償型へ移行する企業もあります。

特に理系採用では、研究や実験の都合で早期イベントに参加しづらい学生もいるため、「早く接点を持つ」だけではない採用設計の重要性も高まっています。この記事では三菱地所や富士通の事例も交えながら、理系採用で考えたい採用接点の設計について解説します。

就活早期化で見直されるインターンシップ

近年、新卒採用では就職活動の早期化が進み、大学3年生の夏インターンシップが実質的な採用活動の入口として位置づけられるケースも増えています。

 

学生にとってインターンシップは、企業理解や職種理解を深める貴重な機会です。一方で、「夏インターンに参加しないと不利になるのではないか」「インターン選考に落ちると本選考も難しいのではないか」といった不安につながることもあります。

 

企業側にとっても、早期から学生と接点を持てる点は大きなメリットです。しかし、早期接点を増やすほど、人事や現場社員の工数は増えます。また、短期プログラムが形式化してしまうと、学生の企業理解や志望度形成につながりにくい場合もあります。

 

こうした背景から、従来型のインターンシップを見直す企業が出てきています。ニュースでも話題となるほどの代表例が、三菱地所と富士通です。

 

三菱地所はインターンシップを廃止する方向へ、富士通は短期型から長期有償型へと移行する方向へ動いています。両社の取り組みは異なりますが、共通しているのは、インターンシップを自社の採用方針に合わせて再設計している点です。

 

三菱地所はインターンシップを廃止

三菱地所は、2027年卒採用において、インターンシップを廃止する方針を示しています。日本経済新聞でも、就活の早期化が進む中で、同社がインターンシップを取りやめる動きが報じられています。

 

多くの企業が夏インターンシップを早期選考の入口として活用する中で、あえて廃止する判断は、採用市場においても注目される動きです。背景には、就活早期化により、学生が本来取り組むべき学業や課外活動、研究、挑戦の機会が圧迫されているのではないかという問題意識があります。

 

インターンシップの選考が大学3年生の春から夏にかけて始まると、学生は早い段階から就職活動に向き合う必要があります。企業理解を深める機会になる一方で、早期の合否経験によって過度に不安を感じる学生もいます。また、インターンシップ参加者が本選考で有利になる設計が強まると、参加できなかった学生にとっては「自分はもう遅いのではないか」と感じる要因にもなります。

 

三菱地所の動きは、単にインターンシップをなくすというよりも、早期化した採用活動のあり方を見直し、インターン参加を前提としない採用設計へ移行する動きと捉えることができます。

 

参考記事:採用選考解禁、内定率はや8割 負担増で三菱地所はインターン廃止(日本経済新聞)

参考記事:三菱地所「インターンシップを廃止します」 過熱する就活に一石(日経ビジネス)

 

富士通は長期有償インターンへ移行

一方で、富士通はインターンシップを廃止するのではなく、その中身を大きく変えています。

 

富士通は、新卒一括採用や中途採用といった区分にとらわれず、職務内容やスキル、成果に基づいて人材を採用・配置するジョブ型人材マネジメントを進めています。新卒採用においても、採用計画数を一律に定めるのではなく、通年で柔軟に募集する方針を示しています。

 

その流れの中で、同社は数日から数週間の短期インターンシップを見直し、1か月以上にわたる長期有償インターンシップへと移行しています。富士通の長期有償インターンでは、学生が実際のプロジェクトに参加し、社員の一員に近い形で業務を経験します。職種も、ソリューションエンジニア、コンサルタント、データサイエンティスト、研究開発、デザイナーなど幅広く用意されています。

 

これは、短期間で企業理解を促すだけの接点ではなく、学生のスキルや志向、職務適性を実務に近い環境で確認する取り組みといえます。

 

三菱地所がインターンシップを廃止する動きであるのに対し、富士通はインターンシップをより実務型・長期型に変える動きです。方向性は異なりますが、どちらも「早く学生を集めること」自体を目的にせず、自社の採用思想に合わせて接点を設計し直している点では共通しています。

 

参考記事:富士通、新卒一括採用廃止はジョブ型「最後のピース」 インターン400種類に(日経ビジネス)

参考記事:「正直、メリットは薄いと思っていた」──富士通が“新卒一括採用”を捨てて見えた現場のリアル(ITmedia)

 

理系採用では早期イベントに参加しづらい学生もいる

特に理系学生を採用する企業では、インターンシップの設計に注意が必要です。

 

理系学生は、実験や研究活動、学会準備などにより、文系学生と比べても物理的に動ける日程が限られることがあります。特に実験設備を使う研究や、研究室単位で進めるプロジェクトに関わっている場合、企業側が提示した日程に合わせることが難しいケースもあります。

 

そのため、インターンシップを採用上の重要な接点にしすぎると、参加できた学生とは深く関係を築ける一方で、研究や授業の都合で参加できなかった優秀な理系学生とは、十分に出会いきれない可能性があります。

 

もちろん、理系採用において対面の価値は大きいです。工場見学、研究所見学、実機を使った体験、現場社員との交流などは、オンラインでは伝えきれない情報があります。特にメーカーや技術系企業では、職場環境や開発設備、製品のスケール感を見せることで、学生の志望度が高まることもあります。

 

一方で、すべてを対面参加前提にすると、研究や授業の都合で参加できない学生との接点が限られてしまいます。理系採用が好調な企業では、理系ならではの背景を考慮し、対面インターンだけでなく、オンライン形式のイベント、職種理解セミナー、少人数座談会、録画コンテンツ、個別面談などを組み合わせるケースも増えています。

 

たとえば、夏に対面インターンへ参加できなかった学生に対して、録画コンテンツ提供やオンライン形式のイベントを実施する。春以降に初めて応募した学生にも、インターン参加者と同じように企業理解を深められる導線を用意する。あくまで一例ですが、早期イベントに参加できた学生だけでなく、後から自社を知った学生にも応募しやすい機会を用意することが重要です。

 

企業人事が考えたい採用接点の設計

企業人事が考えるべきなのは、インターンシップを実施するか、廃止するかという二択ではありません。

 

重要なのは、自社にとってインターンシップや早期イベントが何のためにあるのかを明確にすることです。認知拡大が目的であれば、必ずしも選考型インターンである必要はありません。オープンカンパニー、業界研究セミナー、職種理解イベント、社員座談会、スカウト後のカジュアル面談などでも、学生に自社を知ってもらうことはできます。

 

一方で、専門性の高い職種やジョブ型に近い採用を進める場合は、短期イベントよりも長期有償インターンや職務別プログラムの方が適している可能性があります。

 

また、就活早期化が進むほど、学生側には「夏インターンに参加していないと不利なのではないか」という不安が生まれます。特に理系学生の場合、研究や実験の都合で夏に動けなかったにもかかわらず、「もう遅いのではないか」と感じて応募をためらうことがあります。

 

そのため、企業側は採用ページやスカウト文面、説明会などで、秋冬以降の応募者にも機会があることを明確に伝える必要があります。

 

■メッセージ例

・インターンシップに参加されていない方も、本選考への応募を歓迎しています。

・研究・授業・実験などの都合で早期イベントに参加できなかった方にも、選考前に職種理解の機会をご用意しています。

・インターン参加有無のみで選考上の有利不利を判断することはありません。

・秋冬以降に当社を知った方にも、個別面談や説明会を通じて理解を深めていただける機会があります。

 

このような一文があるだけでも、学生の心理的なハードルは下がります。

 

また、ニュースとして大きく取り上げられていない企業の中にも、独自の思想や採用戦略から、今の学生に合った採用活動を模索するケースは増えています。

 

インターンの開催時期を夏に集中させず、秋冬にも複数回実施する企業。対面イベントに加えて、オンラインで職種理解の機会を用意する企業。インターン参加者だけでなく、本選考から応募した学生にも丁寧に情報提供する企業。理系学生の研究・実験スケジュールを踏まえ、柔軟に面談日程を調整する企業。

 

「早く会うこと」だけが目的化すると、学生にも企業にも負担が増えます。自社がどのような学生と出会いたいのか。その学生は、いつ・どのような制約の中で就職活動をしているのか。そして、どの接点で何を伝えれば、応募や志望度形成につながるのかを整理することが今後の採用活動では重要となります。

 

まとめ

就活早期化が進む中で、インターンシップのあり方を見直す企業が出てきています。三菱地所はインターンシップの廃止、富士通は長期有償型への移行と方向性は異なりますが、共通しているのは、自社の採用方針に合わせて学生との接点を設計し直している点です。

 

特に理系採用では、実験や研究の都合で早期イベントに参加しづらい学生もいます。理系学生の新卒採用に課題を感じている企業は、早期接点の有無だけで判断せず、自社に合った方法で学生が応募しやすい導線を整えることが重要です。

 

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