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2026年8月4日(更新:2026年8月5日)
求人作成やスカウト、面接準備、採用データの分析など、採用業務におけるAIの活用範囲は広がっています。
特に理系採用では、専門的な情報を整理し、採用担当者と現場、候補者の認識をつなぐ手段としても活用できます。今回は、新卒・中途を問わず、理系採用でAIをどのように活用できるのかを紹介します。
目次
理系採用でAIを活用するメリット
採用業務におけるAI活用というと、求人情報やメールの文章作成を思い浮かべる方も多いかもしれません。実際はそれだけに留まらず、情報の整理、専門用語の説明、面接質問の作成、採用データの分析、課題の洗い出しなど、さまざまな場面で活用できます。
特に理系採用では、職種や技術分野によって、必要な知識・経験が大きく異なります。採用担当者がすべての技術に詳しいとは限らず、現場社員から聞いた内容を十分に理解できなかったり、候補者に分かりやすく伝えられなかったりすることもあります。
AIを活用すれば、専門的な情報を採用担当者向けに整理したり、候補者にも伝わる表現へ言い換えたりできます。採用担当者と現場社員、候補者の間にある知識や認識の差を埋める補助役としても有効です。
また、AIの魅力は、作業時間を短縮できることだけではありません。これまでの採用活動や候補者とのやり取り、媒体ごとの数値などをまとめて整理することで、人だけでは気づきにくい課題や選択肢を見つけるきっかけにもなります。採用担当者がより多くの視点を持つための相談相手やアドバイザーとして活用することもできます。
専門知識の理解や採用要件の整理に活用する
・専門用語や技術への理解を深める
理系採用では、職種によってさまざまな専門用語が登場します。技術名や製品名を知っていても、実際の業務でどのように使われているのか、似ている技術と何が違うのかまでは分からないこともあります。
AIに専門用語を入力すれば、初心者向けの説明や、関連する技術、想定される業務などを整理できます。例えば、採用担当者向けに分かりやすく説明してもらう、似ている職種との違いを比較してもらう、候補者へ説明する際の表現を考えてもらうといった使い方ができます。
・現場へのヒアリング項目を考える
理系職種の求人を作成する際には、現場社員へのヒアリングが欠かせません。一方で、何を聞けば良いか分からず、仕事内容や応募条件だけを確認して終わってしまうこともあります。
募集職種や採用背景などをAIに伝えることで、現場へのヒアリング項目を考えてもらえます。具体的な仕事内容、使用する技術や設備、仕事の進め方、入社後の教育体制、活躍している人の特徴、仕事の難しさなど、求人や選考に必要な情報を幅広く洗い出せます。
また、「コミュニケーション能力の高い人」「主体性のある人」といった抽象的な要件について、どのような行動を指しているのかを確認する質問も考えられます。AIに質問項目を出してもらうことで、ヒアリングの抜け漏れを防ぎ、現場が求めている人材像を具体化しやすくなります。
・ヒアリング内容を整理する
現場から多くの情報を聞き出せても、その内容が整理されていなければ、求人やスカウトに活かすことは難しくなります。ヒアリングメモや議事録をAIに読み込ませることで、募集背景、仕事内容、必要な経験、教育体制、仕事の魅力など、項目ごとに情報を整理できます。
現場社員が専門用語を中心に説明している場合には、採用担当者や候補者にも分かりやすい表現へ言い換えることも可能です。また、説明が不足している部分や、追加で確認すべき内容を挙げてもらう使い方もあります。
一度のヒアリングだけで求人を完成させるのではなく、AIによる整理を通じて不足している情報を確認し、必要に応じて現場へ追加で質問することで、より具体的な採用情報を作りやすくなります。
・採用要件を見直す
現場から提示された採用要件をそのまま求人へ掲載すると、必要以上に応募条件が厳しくなることがあります。特定の技術やツールの使用経験が本当に入社時点で必要なのか、類似する経験で代替できないのか、入社後に習得できないのかといった視点も必要です。
AIに仕事内容と採用要件を伝えることで、必須条件と歓迎条件の整理や、別の経験との共通点を考えてもらえます。特に、類似する経験の候補を複数出して検討するなどは、AIの得意分野です。対象者を狭めすぎていないかを見直すための補助として活用することもできます。
求人・スカウト・候補者対応に活用する
・求人情報のたたき台を作成する
AIは、現場へのヒアリング内容や採用要件をもとに、求人情報のたたき台を作る場面でも活用できます。求人タイトル、仕事内容、仕事の魅力、入社後に身につく知識、募集要件など、掲載したい項目を整理して文章にできます。
理系職種では、仕事内容を詳しく伝えようとするほど、専門用語の多い求人になりがちです。AIに、専門外の人にも分かる表現へ変更する、専門用語に説明を加える、長い文章を読みやすく整理するといった指示を出すことで、候補者が仕事をイメージしやすい内容へ整えられます。
また、同じ求人について複数のタイトルや訴求案を出してもらい、比較検討もできます。ただし、AIは自社について全てを正確に把握しているわけではないことから、存在しない業務や制度を補ってしまう可能性もあります。内容の正確さについても、人による確認が欠かせません。
・スカウトテンプレートを作成する
ダイレクトリクルーティング(スカウトサービス)を利用する場合、募集する職種や対象者に合わせてテンプレートを作る必要があります。AIを活用すれば、職種別、経験別、訴求内容別など、複数のスカウトテンプレートを作成できます。仕事内容を中心に伝える文章、技術や製品の魅力を伝える文章、教育体制やキャリアを中心に伝える文章など、切り口を変えた案を作ることも可能です。
また、スカウトサービスで候補者を検索する際に、どのような専攻、経験、技術、キーワードを条件にすると良いかを考えてもらうこともできます。関連する専攻や類似経験まで視野を広げることで、これまで見つけられていなかった候補者に気づく可能性があります。
・候補者への連絡文を作成する
採用活動では、面談や面接の案内、日程調整、提出物の依頼、選考結果の連絡など、多くの文章を作成します。AIに連絡の目的や伝えたい内容を入力すれば、候補者へ送る文章のたたき台を作成できます。
文章を丁寧にする、短く読みやすくする、相手に配慮した表現へ変更するなど、既存の文章を調整する使い方もできます。よく利用する連絡については、あらかじめテンプレートを作成しておくことで、採用担当者ごとの表現のばらつきも抑えやすくなります。
・よくある質問や説明内容を整理する
説明会や面談、面接で候補者から寄せられた質問をAIに整理させることもできます。質問を分野ごとに分類することで、候補者がどのような情報を求めているのかを把握できます。
仕事内容、配属、使用する技術、教育体制、評価制度、キャリア、働き方など、同じような質問が繰り返されている場合には、求人情報や採用サイトで十分に説明できていない可能性があります。質問への回答集を作るだけでなく、求人情報や説明会資料の改善にもつなげられます。
面接や候補者への魅力付けに活用する
・面接質問を考える
AIに募集職種や評価したい項目を伝えることで、面接質問の案を作成できます。技術や業務に関する質問だけでなく、これまでの経験、課題への向き合い方、チームでの役割、学習方法など、さまざまな観点から質問を考えられます。
候補者の履歴書や職務経歴書、プロフィールなどを適切な方法で整理できる場合には、記載内容を深掘りするための質問を作ることも可能です。また、面接官によって質問内容が大きく異ならないように、職種ごとの質問例や評価項目をまとめる用途にも使えます。
AIが作成した質問は、そのまま使用するのではなく、募集する仕事の適性や能力を確認する内容になっているか、採用選考で確認する必要のない情報を聞く質問が含まれていないかを確認しましょう。
・面接や面談の内容を整理する
面接官のメモや面談の文字起こしをAIで整理し、社内共有用の記録を作成できます。候補者の経験、希望する仕事、転職・就職活動の状況、関心を持っている点、不安に感じている点などを項目ごとにまとめられます。
次回の面接で確認したい内容や、面接官へ申し送るべき内容を抽出する使い方もあります。記録のフォーマットを決めておけば、担当者によって書き方が異なる場合でも、一定の形式で情報を共有しやすくなります。
ただし、AIによる要約では、候補者の発言の前後関係や細かなニュアンスが省略される可能性があります。必要に応じて、元の記録や面接官の認識も確認しましょう。
・候補者に合わせた魅力付けを考える
企業が伝えたい魅力と、候補者が知りたい魅力が一致するとは限りません。技術や製品に関心を持つ人もいれば、仕事の進め方、教育体制、キャリア、事業の社会的な意義などを重視する人もいます。
これまでの面談内容や候補者の希望を整理し、どのような情報を次回伝えると良いかをAIに考えてもらうこともできます。候補者の経験と仕事内容の接点、入社後に身につけられる技術、配属先の特徴、活躍している社員の事例など、候補者に合わせた魅力付けの案を出してもらえます。
一方で、候補者が話していない希望をAIが推測したり、実際には提供できない環境を魅力として提案したりする可能性もあります。本人とのやり取りや自社の事実に基づいて判断することが必要です。
・ネクストアクションを考える
AIは、候補者とのこれまでのやり取りを踏まえ、次に何を行うべきかを整理するアドバイザーのような役割も担えます。次回の面接で確認すること、追加で伝える情報、現場社員に確認すること、候補者へ連絡するタイミングなど、考えられる対応を複数挙げてもらえます。
候補者が不安に感じている点がある場合には、どのような情報を用意すべきか、誰から説明すると良いかを考えるヒントにもなります。また、面接後に連絡が止まっている、選考期間が長くなっている、候補者の関心が十分に高まっていないといった状況を伝え、対応案を検討することもできます。
複数の選択肢を得たうえで、候補者との関係性や自社の採用方針に合う対応を採用担当者が選ぶことが大切です。
・面接官への申し送りや振り返りに活用する
次の面接を担当する社員に向けて、候補者が関心を持っていること、不安に感じていること、確認してほしいこと、伝えてほしい魅力などをAIに整理させることもできます。
前の面接と同じ質問を繰り返してしまうことを防ぎ、選考全体を通じて候補者への理解や魅力付けを深めやすくなります。また、面接記録をもとに、質問が特定の内容に偏っていないか、候補者へ十分に情報提供できているかなど、面接官側の振り返りにも活用できます。
候補者だけを評価するのではなく、自社の面接やコミュニケーションを改善するためにAIを使うという考え方もあります。
採用データの分析や課題発見に活用する
・スカウトサービスや求人媒体の数値を分析する
スカウトサービスや求人媒体では、送信数、開封数、返信数、求人の閲覧数、応募数など、さまざまな数値を確認できます。AIに期間ごとの数値や求人ごとの実績を整理させることで、変化や共通点を見つけやすくなります。
例えば、求人は閲覧されているものの応募につながっていない、スカウトは開封されているものの返信されていない、特定の職種だけ反応が低いといった傾向を確認できます。課題がありそうな場所を見つけたうえで、求人タイトル、仕事内容、スカウトの訴求内容、送信対象など、見直すべき項目の候補を出してもらうこともできます。
・選考データを分析する
応募後の選考データについても、AIを活用して整理できます。書類選考、面談、一次面接、最終面接など、選考段階ごとの通過率や辞退率を比較することで、候補者が離れている場面を確認できます。
特定の面接後に辞退が増えている場合には、面接内容、選考期間、伝えている情報、候補者への連絡など、確認すべき項目を洗い出せます。採用経路、職種、時期などによる違いを比較し、成果が出ている方法と改善が必要な方法を整理することも可能です。
・自由記述やコメントから傾向を見つける
AIは、数値だけでなく文章の整理にも活用できます。候補者の辞退理由、面接官のコメント、アンケートの回答、採用担当者のメモなどを分類し、繰り返し登場している意見や課題を抽出できます。
一件ずつ確認したときには個別の事情に見えても、複数の内容をまとめることで、仕事内容の説明不足、選考期間への不満、条件の認識違いなど、共通する課題が見つかることがあります。
・課題の原因や解決策を考える
数値や候補者の反応から課題が見つかっても、原因がすぐに分かるとは限りません。AIに現在の状況を伝えることで、考えられる原因、追加で確認したい情報、改善策の候補を出してもらえます。
例えば、スカウトの返信率が低い場合でも、送信対象、求人条件、件名、本文、送信時期など、複数の要因が考えられます。AIに一つの原因を決めてもらうのではなく、可能性を広く挙げてもらい、一つずつ確認することで、改善に向けた行動を考えやすくなります。
・人だけでは気づきにくい点を補う
採用担当者の経験や感覚は、採用活動を進めるうえで重要です。一方で、日々の業務に追われていると、数字の小さな変化や、複数の候補者に共通する反応を見落としてしまうことがあります。
AIは、多くの情報を同じ基準で整理し、比較することを得意としています。複数の求人に共通する応募率の低下、辞退理由に繰り返し現れる不安、面接官ごとの評価傾向など、人が一件ずつ確認するだけでは気づきにくい点を発見できる場合があります。
また、応募条件を厳しく設定しすぎていないか、自社が伝えている魅力が偏っていないか、特定の媒体や過去の成功例に依存していないかなど、採用担当者の中で前提となっている考えを見直すきっかけにもなります。AIに正解を決めてもらうのではなく、採用担当者が持っていなかった視点や、追加で確認すべきことを提示してもらう使い方が有効です。
採用でAIを利用する際の注意点
・個人情報の扱いについて社内ルールを決める
履歴書、職務経歴書、スカウトサービスのプロフィール、面接記録などには、候補者の個人情報が含まれています。AIツールによって、入力した情報の保存方法や、サービス改善・学習への利用、管理者向けの設定などは異なります。
そのため、採用担当者が個人の判断で利用するのではなく、使用を認めるAIツール、入力して良い情報、入力してはいけない情報、必要な設定などを社内であらかじめ決めておくことが大切です。
個人情報保護委員会も、事業者が生成AIサービスに個人データを入力する場合には、利用目的の範囲内であるか、入力した個人データがサービス提供者の機械学習に利用されないことなどを十分に確認するよう注意を呼びかけています。安全性を確認できていないAIツールへ、候補者の情報や面接記録をそのまま入力することは避けましょう。
まずは、専門用語の確認、ヒアリング項目の作成、個人情報を含まない求人やスカウトテンプレートの作成などから始める方法もあります。
・AIが作成した内容を必ず確認する
AIが生成した文章や説明には、事実と異なる情報が含まれることがあります。
求人情報に存在しない制度や仕事内容が追加される、専門用語の説明が自社の業務と異なる、候補者が話していない希望を推測するといった可能性もあります。AIの出力をそのまま公開・送信せず、実際の業務や候補者の情報と照らし合わせて確認しましょう。
・採否の最終判断は人が行う
AIは、情報整理や質問案の作成、課題の洗い出しなどを支援できますが、候補者の採否を決める役割まで任せるものではありません。過去の採用データや入力した情報に偏りがあれば、AIの出力にも偏りが反映される可能性があります。
厚生労働省は、採用選考について、応募者の適性や能力に基づいて行うことを基本としています。AIが示した評価や提案だけで判断せず、採用担当者や現場社員が候補者と向き合い、最終的な判断を行うことが重要です。
■参考サイト
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
まとめ
AIは、求人やスカウトの文章を作るだけでなく、専門用語の理解、現場へのヒアリング、面接準備、候補者への魅力付け、ネクストアクションの検討、採用データの分析など、幅広い業務に活用できます。
特に理系採用では、採用担当者と現場社員、候補者の間で、技術や仕事内容に対する理解の差が生まれやすくなります。AIに専門的な情報を整理させることで、それぞれの認識をつなぎやすくなります。また、採用活動に関する数値や候補者とのやり取りをまとめて整理することで、人だけでは気づきにくい課題や、新しい選択肢を見つけるきっかけにもなります。
一方で、AIの出力が常に正しいとは限らず、採用業務では候補者の個人情報も扱います。利用するツールや入力できる情報について社内ルールを決め、AIが作成した内容は人が確認することが必要です。AIに採用を任せるのではなく、採用担当者が候補者や現場社員と向き合うための時間と視点を増やす手段として活用していきましょう。
■関連情報
【企業様向け】
・理系採用ダイレクトリクルーティング「リケイマッチ」
・採用広報や会社理解促進「採用動画制作」
・採用戦略の企画・設計「採用コンサルティング」
各サービスの詳細や採用に関するご相談については、上記リンクよりご確認ください。
【求職者様向け】
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