理系学生の就活情報源とは?多様化する就活チャネルと採用広報の考え方

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理系学生の就職活動における情報収集は、就活サイトや企業ホームページだけで完結しなくなっています。

SNS、動画、口コミ、オープンチャット、大学・研究室経由の求人、先輩からの紹介など、学生が企業情報に触れる接点は広がっています。

この記事では、理系学生がどのような場所で企業の就職情報をキャッチしているのか、企業側が採用広報を考えるうえで押さえておきたい大枠を解説します。

理系学生の情報収集は一つの媒体で完結しない

理系学生の就職活動における情報収集は、以前よりも多様化しています。

かつては、就活ナビサイトや大学のキャリアセンター、合同説明会などが主な情報源でした。しかし現在は、次のような複数のチャネルを行き来しながら企業を知る学生が増えています。

 

・企業ホームページ、採用サイト
・就活サイト(求人サイト)
・逆求人サイト(ダイレクトリクルーティング)
・SNS、YouTubeなどの動画
・口コミサイト、オープンチャット
・大学、学科、研究室経由の求人情報
・教授、先輩、友人からの紹介
・OB、OG訪問
・部活、サークル、学生団体の協賛企業
・共同研究、産学連携で関わりのある企業

 

特に理系学生の場合、研究や授業が忙しく、就活に使える時間が限られていることも少なくありません。そのため、自分から幅広く企業を探すだけでなく、スカウト、学内で届いた求人、研究室の先輩、部活・サークルの協賛企業などをきっかけに企業を知り、その後に詳しく調べる流れもあります。

 

企業側は、「どの媒体に掲載するか」だけでなく、学生が企業を知ったあとに、どの情報源で理解を深め、不安を解消し、選考参加を判断するのかまで意識する必要があります。つまり、採用活動では「入口を増やすこと」と「知った後に理解を深めてもらうこと」の両方が重要になります。

 

就活サイト・企業HP・スカウトは企業を知る入口になる

・就活サイト

就活サイトは、今でも多くの学生にとって企業を知る入口になります。

 

企業名、募集職種、インターンシップ情報、説明会情報、応募条件などをまとめて確認できるため、就活初期の情報収集では使われやすいチャネルです。一方で、求人情報だけでは仕事の具体的なイメージや魅力までは伝わりにくいことがあります。

 

「技術職」「エンジニア職」と書かれていても、実際にどの製品やシステムに、どのように関わるのか、入社後にどの程度専門性を活かせるのかまでは分かりにくい場合があります。そのため、就活サイトをきっかけに興味を持った学生が、企業ホームページや採用サイト、社員インタビュー、SNS、動画、口コミなどを確認したときにも、仕事内容や魅力が一貫して伝わる状態をつくることが重要です。

 

・企業ホームページ、採用サイト

企業ホームページや採用サイトは、学生が企業理解を深めるための重要な情報源です。特に理系学生は、自分の専攻や研究内容とどのようにつながるのかを見ています。事業内容、製品やサービス概要、企業理念などを説明するだけでは、理系学生が自分事に考え、働く姿をイメージするのは難しい場合があります。

 

そのため採用サイトでは、事業の魅力だけでなく、技術領域、職種別の仕事内容、若手社員の業務例、配属や勤務地、研修制度、専攻とのつながりなどを具体的に伝えることが大切です。

 

・逆求人サイト(ダイレクトリクルーティング)

また、逆求人サイト(ダイレクトリクルーティング)も、理系学生が企業を知るきっかけになります。理系学生は専攻や研究内容をもとに、企業からスカウトを受け取ることがあり、自分では見つけられなかった企業を知るきっかけになります。特にBtoB企業は、学生などの個人に対する知名度が低い場合もあり、スカウトが企業認知の入口になることもあります。

 

ただし、スカウトを受け取った時点では、学生の企業理解はまだ浅い状態です。スカウト文だけで志望動機が固まるというより、「自分の専攻内容と関係がありそう」「まずは話を詳しく聞いてみたい」という入口になるケースが多いです。そのため、スカウト後には採用サイト、カジュアル面談、社員インタビュー、説明会などで理解を深めてもらう設計が重要です。

 

SNSや動画で企業を知る接点になる

SNSやYouTubeなどの動画コンテンツも、学生が企業を知る接点の一つです。Instagram、X、TikTok、YouTubeなどでは、企業の雰囲気、社員の様子、イベント情報、仕事風景、若手社員の声などを伝えることができます。

 

また昨今では、各SNSやYouTubeで採用・就活関連の情報発信を行う企業や個人も増えています。学生側も、就職活動として意識的に検索するだけでなく、日常的にSNSや動画を見ている中で、企業紹介、社員インタビュー、就活解説、業界解説などのコンテンツに触れる機会が増えています。

 

そのため、SNSや動画は「学生が能動的に企業を探す場」だけではなく、「日常の延長で企業や仕事を知る接点」としても捉える必要があります。

 

特に理系職種は、文章だけでは仕事内容が伝わりにくい場合があります。製品名や技術名だけでは学生がイメージしづらい一方で、写真や動画を通して、どのような製品に関わっているのか、どのような人の役に立っているのか、実際にどのように動いているのかが見えると、仕事を身近に感じやすくなります。

 

たとえばBtoBメーカーや部品メーカーの場合、学生が普段の生活で社名や製品名を意識する機会は多くないかもしれません。しかし、最終製品の中でどのように使われているのか、社会や産業のどの場面を支えているのかが動画で伝わると、企業や仕事への理解が進みやすくなります。

 

■動画やSNSの発信例

・若手社員の1日の仕事
・理系出身社員のインタビュー
・職種ごとの仕事内容紹介
・研究や専攻が仕事にどうつながっているか
・職場やチームの雰囲気
・説明会やインターンシップの様子
・技術系社員が感じている仕事の面白さ

 

SNSや動画は、企業を知る入口になる場合もあれば、すでに企業名を知っている学生や選考中の学生などが、追加で雰囲気を確認する場になるケースもあります。

 

口コミサイト・オープンチャットなどの非公式情報も見られている

学生は、企業が発信する公式情報だけでなく、口コミサイト、SNS投稿、オープンチャットなどの非公式情報も確認することがあります。

 

マイナビキャリアリサーチLabの調査(※)では、2026年卒学生の70.6%が、就職活動において口コミサイトやSNS投稿などの非公式情報・匿名情報をチェックしたことがあるとされています。また、非公式情報から得たい内容としては、社員の本音や不満点、実際の残業時間や労働時間、給与や待遇面の実態、職場の人間関係や雰囲気などが挙げられています。

 

これは、学生が企業の悪い面だけを探しているというより、入社後のギャップを減らすために、公式情報だけでは分かりにくいリアルな情報を確認していると考えられます。

 

特に、選考が進んだ段階や内定承諾を検討する段階では、次のような情報を気にする学生もいます。

 

・実際の残業時間
・配属や勤務地の決まり方
・若手社員の働き方
・面接や選考の雰囲気
・社員の人柄
・入社後のギャップ
・給与や福利厚生の実態
・職場の人間関係
・離職率や定着率

 

企業側から見ると、口コミサイトやオープンチャットの内容を直接コントロールすることはできません。しかし、学生が不安に感じやすい情報を公式の場で丁寧に伝えておけば、非公式情報だけで判断されるリスクを下げることができます。

 

たとえば、配属、勤務地、残業、評価制度、研修、若手の仕事内容、職場の雰囲気などは、採用サイトや説明会、カジュアル面談で先回りして伝えておきたい内容です。特に理系学生の場合、「希望職種に就けるのか」「研究内容は活かせるのか」「勤務地はどこになるのか」「配属はどのように決まるのか」といった不安を持ちやすい傾向があります。

 

これらを曖昧にしたままだと、口コミやオープンチャット上の情報を見て、不安が膨らむ可能性があります。

 

※出典:マイナビキャリアリサーチLab「公式情報だけでは足りない?学生が非公式情報に求める”リアル”とは~2026年卒新卒採用の振り返り~」

 

理系ならではの学内・研究室・学生団体経由の情報源

・学内求人

理系学生ならではの情報源として、学内・学科・研究室に届く求人情報もあります。大学のキャリアセンター、学科宛ての求人票、研究室に直接届く企業案内、教授や先輩からの紹介、学内説明会、学科別説明会などは、学生にとって信頼しやすい情報源になります。

 

特に理系学生の場合、研究室の先輩が入社している企業や、教授が知っている企業に対して安心感を持つことがあります。一般的な就活サイトで見つけた企業よりも、「研究室に求人が届いている企業」「先輩が入社している企業」「大学とつながりがある企業」の方が、心理的な距離が近く感じられることもあります。

 

また、学科や研究室に届く求人は、学生の専門分野と近い場合があります。機械系であれば機械設計や生産技術の求人、電気電子系であれば回路設計や制御系の求人など、学生にとって「自分に関係がありそう」と感じやすい接点になります。そのため、理系採用では、就活サイトやスカウトサービスだけでなく、大学・学科・研究室との接点づくりも重要です。

 

ただし、学内に求人を出すだけで応募につながるとは限りません。学生が企業名を見た後に、採用サイトや社員インタビュー、職種紹介ページを確認できる状態になっていることが重要です。学内経由で接点を持った学生が、その後に企業理解を深められる情報を整えておく必要があります。

 

・部活サークル等の協賛

また、部活・サークル・学生団体等への協賛企業も、学生が企業を知るきっかけになります。特に理系学生の場合、ロボコン、学生フォーミュラ、鳥人間コンテスト、プログラミングサークル、ものづくり系サークル、研究系学生団体、ハッカソン、技術系コンテストなどを通じて、企業名に触れることがあります。

 

このような接点は、通常の採用広報とは異なり、学生の活動や興味関心に近い場所で企業を認知してもらえる点が特徴です。学生からすると、「自分たちの活動を支援している企業」「技術領域に理解がある企業」「ものづくりに関心がある企業」として印象に残ることがあります。

 

もちろん、協賛したからすぐに応募につながるわけではありません。しかし、学生が就職活動を始めたときに、「名前を聞いたことがある企業」「自分たちの活動に関係があった企業」として思い出してもらえる可能性があります。

 

・共同研究や産学連携

さらに、共同研究や産学連携も、理系学生ならではの企業接点です。

 

研究室や大学と共同研究を行っている企業は、学生にとって身近な存在になりやすいです。「企業名を聞いたことがある」「先輩や同級生が共同研究先の企業と関わっている」「学会や研究発表で企業担当者と接点がある」「実験装置や研究費の提供元として企業名を知っている」など、採用活動前から企業認知が生まれていることもあります。

 

もちろん、共同研究先だから必ず応募につながるわけではありません。しかし、学生にとっては「自分の専門分野と関係がある企業」「研究内容を活かせそうな企業」として認識しやすくなります。

 

一方で、共同研究や産学連携の取り組みが、採用広報に十分活かされていないケースもあります。学生向けに「どのような技術領域で関わっているのか」「その研究が入社後の仕事とどうつながるのか」が伝わっていなければ、就職先の候補に挙がりにくくなります。研究部門や共同研究に関わる社員と採用担当が連携し、学生に伝えられる情報を整理しておくことも大切です。

 

企業が意識したい採用広報のポイント

理系学生向けに採用広報を行う際は、学生が一つの情報源だけで企業を判断しているわけではないという前提を持つことが重要です。たとえば、学生の情報収集は次のように、複数の接点を行き来しながら進むことがあります。

 

・就活サイトやスカウトで企業名を知る
・企業HPや採用サイトで事業内容を確認する
・社員インタビューや動画で仕事内容を知る
・SNSでイベント情報や社員の様子を見る
・口コミやオープンチャットで実態を確認する
・学内求人や研究室経由で情報を得る
・OB・OG訪問や面談で疑問を確認する
・説明会やインターンで理解を深める
・複数の情報をもとに選考参加や内定承諾を判断する

 

このように、学生は一つの情報源だけで判断しているわけではなく、公式情報と非公式情報、オンライン上の情報とリアルな接点を組み合わせながら企業理解を深めています。そのため、就活サイトに掲載して終わり、採用サイトを作って終わり、SNSを更新して終わりではなく、それぞれの接点がつながっていることが重要です。

 

企業側が意識したいポイントは、主に次の4つです。

 

1. 職種と仕事内容を具体的に伝える

理系学生は、自分の専攻や研究内容がどのように活かせるかを重視します。「技術職」「エンジニア職」といった大きな表現だけでなく、研究開発、設計、生産技術、品質管理、解析、ソフトウェア開発、社内SEなど、職種ごとの違いを具体的に伝えることが大切です。

 

たとえば、研究開発では何を担当するのか、設計ではどのような製品や部品に関わるのか、生産技術ではどのような工程改善や設備導入を行うのか、品質管理ではどのような評価や分析を行うのかなど、学生が入社後をイメージできる情報が重要です。

 

2. 接点ごとの情報に一貫性を持たせる

採用サイト、就活サイト、SNS、動画、社員インタビュー、説明会、カジュアル面談などで伝えている内容がバラバラだと、学生は企業理解を深めにくくなります。

 

たとえば、求人情報では「研究開発職」と書かれているのに、採用サイトでは具体的な仕事内容が分からない。SNSでは雰囲気は伝わるものの、どの職種の社員なのか分からない。説明会では魅力的に聞こえたが、採用サイトで確認できる情報が少ない。

 

このような状態では、せっかく興味を持った学生が途中で不安を感じてしまう可能性があります。企業が伝えたいメッセージを統一しつつ、各接点で学生が知りたい情報を補足できるように設計することが重要です。

 

3. 学生が不安に感じやすい情報を先回りして出す

勤務地、配属、職種別の働き方、研修制度、残業、キャリアパスなどは、学生が気にしやすいポイントです。特に理系学生は、希望職種に就けるのか、研究内容は活かせるのか、配属はどのように決まるのか、勤務地はどこになるのか、入社後に技術を学べる環境があるのかといった不安を持ちやすいです。

 

これらを曖昧にしたままだと、口コミサイトやオープンチャットなどの非公式情報に頼られやすくなります。企業側から正確で具体的な情報を発信することで、学生が安心して応募・選考参加を検討しやすくなります。

 

4. 理系ならではの接点を活かす

大学、学科、研究室、部活・サークル、学生団体、共同研究、産学連携などは、理系学生にとって企業を知る重要なきっかけになります。求人媒体だけでなく、学生の専門性や活動に近い場所で接点をつくることも、理系採用では有効な採用広報の手段です。

 

特にBtoB企業や技術系企業は、一般的な知名度だけで勝負しにくいこともあります。だからこそ、学生の専門や活動に近い接点を増やし、企業を知ってもらう機会をつくることが大切です。また、こうした接点で企業を知った学生が、後から採用サイトやSNS、社員インタビューを確認したときに、仕事内容や魅力を理解できる状態にしておくことも重要です。

 

まとめ

理系学生の情報収集は、就活サイトや採用サイトだけでなく、SNS、動画、口コミ、オープンチャット、学内求人、研究室、OB・OG訪問、共同研究先など多様化しています。

 

企業側は、学生が複数の接点を行き来しながら企業理解を深める前提で、仕事内容や職種、配属、働き方などを具体的に伝えることが重要です。媒体ごとの発信を分断せず、学生が知りたい情報を一貫して届ける採用広報が求められます。

 

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