理系新卒採用におけるカジュアル面談の進め方|面接化させず、学生満足度を高めるポイント

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理系の新卒採用においても、スカウト後や選考前の接点として「カジュアル面談」を実施する企業が増えています。カジュアル面談は面接ではなく、企業と学生が相互理解を深めるための場です。

一方で、進め方を誤ると、学生に「実質的に面接だった」「聞かれるだけで終わった」と感じられてしまうこともあります。この記事では、理系新卒採用に取り組む人事・採用担当者向けに、カジュアル面談の目的、基本的な進め方、学生満足度を高めるポイントを解説します。

カジュアル面談は面接ではなく相互理解の場

理系採用では、スカウト応募後や本選考前の接点として、カジュアル面談を実施する企業が増えています。カジュアル面談は、通常の面接とは異なり、合否を判断する場ではありません。企業と学生が互いの理解を深め、仕事内容や技術領域、キャリアの可能性についてすり合わせるための時間です。

 

特に理系学生の場合、求人票や採用サイトだけでは、具体的な業務内容をイメージしにくいことがあります。研究内容や専攻が、実際の職種とどのようにつながるのかが分からず、応募を迷っている学生も少なくありません。そのため、カジュアル面談では、企業側が一方的に魅力を伝えるだけでなく、学生の関心や不安を聞きながら、意思決定に必要な情報を補足していくことが大切です。

 

ただし、カジュアル面談を「選考ではない」と伝えているにもかかわらず、面接のように形式的な質問を連続してしまうと、学生の満足度は下がりやすくなります。

 

「研究内容を教えてください」「興味のある業界はどこですか」「就活の軸は何ですか」といった質問自体が悪いわけではありません。問題は、質問が確認作業のように続き、学生が「評価されている」「一方的に聞かれている」と感じてしまうことです。

 

カジュアル面談では、冒頭で面談の目的を明確に伝えることが重要です。たとえば、次のように伝えると、学生も安心して話しやすくなります。

 

例:「本日は選考ではなく、相互理解を目的としたカジュアル面談です。会社や仕事内容について知っていただく時間にしつつ、〇〇さんのご関心や就職活動の状況についても伺えればと思います。」

 

このように最初に目的をすり合わせることで、学生は「面接」ではなく「情報交換の場」として参加しやすくなります。また、企業側もカジュアル面談を雑談だけで終わらせるのではなく、学生にとって有益な時間になるよう、簡単な流れを持って進行することが大切です。

 

カジュアル面談の基本的な進め方

カジュアル面談は、30〜60分程度で実施されることが多いです。進め方は企業ごとに様々であり、自社ならではの面談設計が必要です。現場社員との座談会に近い形式もあれば、人事が中心となって会社理解を深める形式もあります。

 

ここでは一例として、理系学生とのカジュアル面談を進める際の基本的な流れを紹介します。

 

1、冒頭で面談の目的を伝える

まずは、今回の面談が選考ではなく、相互理解を目的とした場であることを伝えます。「本日は選考ではなく、情報交換の場としてお話できればと思います」と一言添えるだけでも、学生は安心して話しやすくなります。

 

また、学生がカジュアル面談を通して何を知りたいのか確認しておくと、その後の説明内容を調整しやすくなります。「私からは~~の話を中心にできればと思いますが、〇〇さんから面談内で特に確認しておきたいことはありますか?」など、このような質問を通じて現時点の関心について聞いておきましょう。

 

2、お互いに簡単な自己紹介をする

次に、企業側と学生側で簡単に自己紹介を行います。企業側は、担当者の役割や立場を簡潔に伝えます。人事担当者であれば、採用全体を担当しているのか、理系職種を中心に担当しているのか。現場社員であれば、所属部署、担当業務、入社後のキャリアなどを簡単に共有すると、学生も質問しやすくなります。

 

学生にも、簡単に自分自身のことについて話してもらいます。ただし、この段階から細かく深掘りしすぎると、面接のような雰囲気になってしまいます。最初は学生の温度感や情報収集の段階を把握する程度にとどめるとよいでしょう。

 

3、自社や職種について説明する

続いて、自社の説明に入ります。会社概要や事業内容だけでなく、今回の求人がどの部署に関わるのか、どのような技術やテーマに取り組むのか、入社後にどのような業務から始まるのかを伝えることが重要です。

 

特に理系学生に対しては、抽象的な会社説明だけでは印象に残りにくい傾向があります。「ものづくりに関われます」「社会貢献性があります」といった表現だけでなく、実際にどの製品、設備、システム、研究テーマ、開発工程に関わるのかを具体的に説明すると、学生も働くイメージを持ちやすくなります。

 

4、課題や今後の展望も共有する

自社の良い面だけでなく、現在の課題や今後の展望も伝えると、学生はよりリアルに働くイメージを持ちやすくなります。

 

■伝える内容例

・若手社員に任せたい技術領域

・今後強化したい開発テーマ

・部署として解決したい課題

・入社後に最初は苦労しやすい点

・求められる学習姿勢やチームでの関わり方

 

課題を伝えることは、企業の印象を下げることではありません。むしろ、正直に話してくれる企業として、学生の信頼につながることもあります。

 

5、学生の関心や就活状況を確認する

自社説明だけで終わらせず、学生の関心や就活状況も確認します。ただし、質問を連続して投げかけると、面接のような印象になってしまいます。

 

「現在はどのような業界や職種を見ていますか」「就職先を考えるうえで大事にしていることはありますか」といった質問をしながらも、学生の回答に対して、自社で参考になりそうな情報やキャリアを考えるうえでのヒントを返すことが大切です。カジュアル面談では、学生に聞くだけでなく、学生が何かを持ち帰れる時間にすることを意識しましょう。

 

6、学生からの質問に答える

最後に、学生からの質問を受け付けます。学生にとって、カジュアル面談の価値は、求人票や採用サイトだけでは分からない情報を直接聞けることです。

 

配属、育成体制、若手の仕事内容、研究内容との接点、職場の雰囲気など、学生が気にしている点にできるだけ具体的に答えることで、面談の満足度は高まりやすくなります。また、時間内に答えきれなかった内容があれば、面談後にメールやメッセージで補足情報を送るのも有効です。

 

理系学生には技術・配属・キャリアを具体的に伝える

理系採用のカジュアル面談では、会社概要を説明するだけでは不十分です。学生が知りたいのは、「自分の学びがどのように活かせるのか」「入社後にどのような仕事をするのか」「どのようなキャリアを歩めるのか」といった具体的な情報です。そのため、自社説明では、事業内容に加えて、職種や部署に関する情報を具体的に伝えることが重要です。

 

■自社説明で伝える内容例

・募集職種が関わる製品・サービス

・製品や事業を通じた社会への貢献

・配属予定部署の役割

・募集背景

・扱う技術、設備、開発環境、分析手法

・入社後に最初に任される業務

・OJTや研修の進め方

・若手社員のキャリア例

・専攻や研究内容が活かされる場面

 

また、理系学生といっても、知りたいポイントは一人ひとり異なります。技術や製品そのものに関心がある学生もいれば、一緒に働く人や職場の雰囲気を重視する学生もいます。社会課題の解決に関心がある学生、働き方や勤務地を気にしている学生など、同じ理系学生でも志向性はさまざまです。

 

研究職を目指す学生と、設計開発職や生産技術職を目指す学生では、気になる情報も変わります。研究職に関心がある学生であれば、研究テーマ、技術領域、論文・学会発表の有無、研究開発の進め方などを知りたいかもしれません。一方で、設計職に関心がある学生であれば、担当する製品、設計工程、使用するツール、現場との関わり方などが気になることも。

 

このように、関心や志望職種に応じて説明の焦点を変えることで、理系学生は仕事内容を自分ごととして理解しやすくなります。

 

そして、理系学生にとっては「配属の仕組み」も重要な情報です。どのように配属が決まるのか、本人の希望はどの程度考慮されるのか、入社後に職種や部署が変わる可能性はあるのか。こうした点が曖昧なままだと、学生は応募や選考参加に不安を感じやすくなります。

 

カジュアル面談では、企業を良く見せることだけを目的にするのではなく、学生が入社後を具体的に想像できる情報を提供することが重要です。

 

学生へのヒアリングは「聞いて終わり」にしない

カジュアル面談では、学生に対しても一定のヒアリングを行います。注意点として、カジュアル面談は面接ではありません。面接のように質問を連続して投げかけると、学生は「選考ではないと聞いていたのに、実質的には面接だった」と感じてしまうことがあります。

 

一方で、質問すること自体が悪いわけではありません。学生の関心、就活の軸、現在見ている業界や職種、研究や学業で力を入れていることなどを聞くことは、相互理解のために必要です。

 

大切なのは、質問を「確認作業」で終わらせないことです。学生が話してくれた内容に対して、企業側からも考え方や情報を返すことで、面談の価値が高まります。たとえば、学生が「研究職と開発職で迷っている」と話した場合、単に次の質問へ進むのではなく、自社における研究職と開発職の違いや、理系学生がキャリアを考える際の視点を補足するとよいでしょう。

 

また、「専攻を活かすべきか、幅広く職種を見てもよいのか迷っている」という学生に対しては、自社で活躍している若手社員の例や、専攻と職種のつながり方、そして採用担当者自身の考えや意見を伝えることで、学生にとってキャリアを考えるヒントになります。

 

カジュアル面談で学生が得たいのは、企業情報だけではありません。自分の就活やキャリアを考えるうえでのヒントを得られることも、大きな価値です。そのため、質問は「聞いて終わり」ではなく、「聞いたうえで、何を返せるか」まで意識することが大切です

 

■カジュアル面談における質問例

・現在はどのような業界や職種を見ていますか。

・〇〇を専攻しようと思ったきっかけはなんでしたか。

・就職先を考えるうえで大事にしていることはありますか。

・技術を深めたい、幅広く経験したいなど、現時点での希望はありますか。

 

ただし、これらの質問を連続で聞き続けると、面接のような印象になってしまいます。一つ質問をしたら、その回答に対してコメントを返す。関連する自社の情報を伝える。学生が考えを整理しやすくなる視点を補足する。このように、会話のキャッチボールを意識することが重要です。

 

また、学んでいることや研究内容を聞くときは、単なる確認ではなく、興味を持って聞く姿勢が大切です。理系学生にとって、研究や専攻は時間をかけて取り組んできたテーマです。企業側が関心を持って聞いてくれるだけでも、学生は「自分の専門性を見てくれている」と感じやすくなります。

 

事前にプロフィールやエントリー情報で研究テーマ、専攻、使用技術などが分かっている場合は、面談前に目を通しておきましょう。理解できない用語や技術名があれば、あらかじめ簡単に調べておくだけでも、当日の会話の質は変わります。たとえば、次のような聞き方であれば、学生も話しやすくなります。

 

・プロフィールで〇〇という研究テーマを拝見しました。簡単に言うとどのような内容なのでしょうか。

・〇〇に取り組まれているとのことですが、どのようなきっかけでそのテーマを選ばれたのですか。

・その研究では、実験や解析、プログラミングなど、どのような作業が多いのでしょうか。

 

逆に、プロフィールに書かれている内容をまったく見ていない状態で一から質問してしまうと、学生によっては「自分に関心を持ってもらえていない」と感じることがあります。

 

特にスカウト経由のカジュアル面談では、企業側から声をかけている以上、学生は「自分のどこに関心を持ったのか」を気にしています。事前に分かる情報には目を通し、面談中にも「プロフィールを拝見して」と一言添えることで、学生への関心が伝わりやすくなります。

 

逆質問と面談後フォローで志望度形成につなげる

カジュアル面談では、最後に学生からの質問を受ける時間を必ず設けましょう。学生にとって、カジュアル面談の大きな価値は、求人票や採用サイトだけでは分からない情報を直接聞けることです。特に理系学生の場合、入社後の業務、配属、育成、現場の雰囲気、技術領域などについて具体的に知りたいと考えていることが多くあります。

 

■逆質問で聞かれる内容例

・新卒1〜2年目は、どのような業務を担当することが多いですか。

・研究で学んだ内容は、実務でどのように活かせると思いますか。

・配属先はどのように決まりますか。

・OJTやメンター制度はありますか。

・どのような人が活躍していますか。

 

こうした質問に対しては、できるだけ具体的に答えることが大切です。たとえば、「教育制度はあります」だけで終わらせるのではなく、入社後の流れが見えるように説明すると、学生の不安を減らしやすくなります。

 

また、回答しにくい内容についても、無理に良く見せる必要はありません。たとえば、配属や勤務地など、確約できない情報については、現時点で答えられる範囲を正直に伝えることが重要です。カジュアル面談では、誠実に答える姿勢そのものが、学生の信頼につながります。

 

さらに、カジュアル面談は実施して終わりではありません。面談後に、学生が次のアクションを取りやすいようにフォローすることも大切です。たとえば、面談後には、次のような対応が考えられます。

 

■カジュアル面談後のフォロー例

・面談のお礼を送る

・学生が関心を持った内容の記事や動画を共有する

・次回選考や説明会の案内を送る

・現場社員との追加面談を提案する

・学生の懸念点に対する補足情報を送る

 

特にスカウト経由の学生は、カジュアル面談時点ではまだ企業理解が浅いこともあります。そのため、面談の最後に、今後に対する温度感を軽く確認しておくと、その後の案内がスムーズになります。

 

たとえば、選考やインターンシップに参加したい意向がある学生には、次のステップを具体的に案内します。一方で、まだ検討中の学生に対しては、無理に選考参加を促すのではなく、関心を持ってもらえそうな情報を追加で共有したり、現場社員との面談を提案したりするとよいでしょう。

 

一方的に選考参加を求めるのではなく、学生の温度感に応じて、「少しでも興味があれば次の説明会をご案内できます」「もう少し職種理解を深めたい場合は、現場社員との面談も調整できます」といった形で、次の選択肢を提示することが大切です。

 

カジュアル面談は、選考前の接点であると同時に、学生が企業への理解を深める重要な機会です。面談中の会話だけでなく、面談後のフォローまで含めて設計することで、学生の納得感や志望度形成につながります。

 

まとめ

新卒採用におけるカジュアル面談は、面接ではなく学生と企業が相互理解を深めるための場です。特に理系学生の場合、技術領域や配属、キャリアの見え方によって志望度が大きく変わります。

 

質問をすること自体は問題ありませんが、聞いて終わりにせず、学生の関心に応じて情報や考えるヒントを返すことが重要です。事前準備と丁寧な対話を通じて、学生にとって有益な時間を設計しましょう。

 

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